大学生が「ブラックインターンシップ」にあったときの対処法を集めてみた ~インターンシップ期間中のマインドコントロールにも要注意

 複数の就職サイトの情報で、大学生のインターンシップ参加率の調査結果が、2026年卒では85%を超えていました。
 インターンシップは「職業体験実習」「就業体験」とも呼ばれ、学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行う制度です。経団連と国公私立大学のトップで構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が定めるインターンシップの要件は、主に「就業体験」「指導」「実施期間」「実施時期」「情報開示」の5つです。


 かつては会社見学や職場体験もインターンシップと呼ばれていたようですが、令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わりますによると、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ(試行)」をインターンシップと呼ぶとなっていました。

 汎用的能力・専門活用型インターンシップには、無給と有給の場合があり、募集要項にどちらなのかが書かれているとのこと。ただ労働が伴うのであれば、有給です。

 では、労働とは何なのでしょうか。
 これにはさまざまな意味があり、使う人によって指している内容が異なるのですが、厚生労働省のサイト・書類(複数)を見ると、以下のとおりです。

労働とは何か

〇見学や体験的な要素が少ない。
〇使用者からの具体的な仕事の依頼に対して、「受けます」「受けません」を決める自由が学生にはない。
〇仕事のやり方について、使用者から具体的に「こうやってください」と指示されている。
〇仕事をする場所と時間が使用者によって管理されている。
〇依頼を受けた学生にしか、仕事はできない状況だ(代わりの人がいない、ほかの人に仕事を振れない)。
〇学生が直接の生産活動に従事し、それによる利益・効果が当該事業所に帰属する。



1 「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」であること
  ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
  イ 業務遂行上の指揮監督の有無
  ウ 拘束性の有無
  エ 代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)
(2)「報酬の労務対償性」があること
2 「労働者性」の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
(2)専属性の程度
(3)その他

 インターンシップで問題になっているのが、ほぼただ働き(無給、またはそれに近い)を大学生にさせる「ブラックインターンシップ」です。多くの大学が注意喚起を行っていました。以下、太字はクラナリ。
勧誘する人は、「就活に役立つ経験ができる」、「営業スキルを身につけることができる」という誘い文句で皆さんに近づき、インターンシップと称する活動に皆さんが参加することを呼びかけます。このインターンシップと称する活動は、不当に皆さんの大切な時間、やりがいを搾取しようとするインターンシップ(いわゆる「ブラックインターンシップ」)であるという実態も報告されています。最低賃金を下回るような水準の報酬が前提となる業務委託契約(雇用契約ではない)等により、単純作業や長時間の拘束を強いる内容です。


 令和6年度地域別最低賃金改定状況によると、千葉県の最低賃金時間額(時給)1076円。なお、令和7年度(10月1日~)には最低賃金は1140円へ引上げされる予定です。
 労働が伴っているにもかかわらず、時給1076円未満のインターンシップはブラックインターンシップといえるでしょう。

 ブラックインターンシップなどの相談は、大学のキャリアセンター、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)、新卒応援ハローワークのいずれでも可能です。

 市川市の場合は、千葉労働局雇用環境・均等室で、最寄りの労働基準監督署及び総合労働相談センターは船橋市にあります。

□都道府県 労働局・労働基準監督署 一覧


 就活生については、仕事の経験が乏しく、将来の不安も抱えている傾向が強いため、ブラックインターンシップ期間中のマインドコントロールも心配しています。時間・やりがいを搾取されているにもかかわらず、「私の成長のために!」「仕事を与えてくれたのだから、感謝しなければ」と思い込まされて、結果、ブラックインターンシップを行っているブラック企業に就職してしまうという悲劇も起こり得ます。

□ブラック企業によるマインドコントロール

 マインドコントロールの手口などを、ブラックインターンシップとブラック企業に応用させると、以下のとおりです。

特徴

○貸しを作りたがる(「教えてあげた」「やってあげた」など)
○自宅から遠くの場所で仕事をさせたり、長時間拘束したり(泊りがけ)、何度もLINEを送ったりして、家族や友人などから孤立させる
○インターンに参加した学生たちを批判させ合う
○「あなたのことを〇〇って呼ぶ」など、やたら愛称をつけたがる
○「一緒に成長しよう」「もっと頑張れるはず」とあおる
〇「ありがとうございます」「感謝しています」など“ありがたい言葉”をやたら連呼させる
○家族や友人などプライベートの部分までネタとしてさらけ出している→親密さを演出している


 テレビCMをたくさん打っている有名企業のいなば食品については、2024年に、新卒社員への“ボロ家ハラスメント”などが報道されました。

▢「ウラに契約違反と“女帝”の存在が…」“CIAOちゅ~る”のいなば食品で一般職の新入社員9割が入社拒否「逆らうと、どうなるかわからない」
ゆるすぎる…」いなば食品への世間の対応、なぜ騒動がくすぶったまま放置されているのか?
 学生はテレビCMなどで名が売れている企業に殺到する傾向があるため、直接消費者と接触しないBtoBの会社(部品や原料の供給などを主体とする会社)は、応募してくる学生が少なく、地域密着で小回りの利く地方の就活エージェントに学生集めを頼る傾向があります。
いなば食品で新卒・入社辞退者続出、事前説明と実際の雇用条件に相違か



 大手あるいは有名企業志望の就活生は多いと思います(自分もそうでした)。ただ、「大手だからホワイト」と思い込むのは非常に危険だと、いなば食品の例からもわかります。
 「大手だけど、ブラックインターンシップだな」「やたら“ありがたい言葉”を使いたがるな」と違和感を覚えたら、その企業からとっとと逃げる、大学のキャリアセンターや親に相談するなど、速やかに対処してほしいと思います。


■主な参考資料
【注意喚起】友情商法・ブラックインターンシップ(携帯電話の契約の営業など)にご注意ください。

大学生の「タダ働き」が蔓延? 夏休みの「ブラック・インターン」の実態と対処法

第80回 “ガクチカ”と“ブラックインターン”の関係

【注意喚起】長期インターンシップについて ー友情商法・ブラックインターンシップにご注意くださいー

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若者の就職活動における法的課題

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