「戦略とは、何をやらないかを決めることです」 マイケル・ポーター

選択

戦略とは、何をやらないかを決めることです。 
戦略の中核を成す原則は、「顧客のためのユニークな価値を創出する」「何をして何をしていないかを明確にし、選択する」の2つです。
リーダーシップとは、日々の活動の中で選択をすることだと思います。
しかし、素晴らしいリーダーや企業が他と一線を画しているのは、その選択の積み重ねがユニークで、結果的に本物の価値を生み出しているからです。
ターゲットを広くした同業者よりも、狭いターゲットに絞るほうが、より効果的でより効率のよい戦いができます。

差別化

他人と違っていることが、その人間の”武器”になります。
競争優位を得るには、価値活動を低コストで行うか、差別化によって高価格を可能にするかのどちらかです。
事業において最も大切なことは、他社とは違う独特の方法で(顧客や社会の)ニーズを満たすことです。
ニーズを満たすことから利益が生まれます。
利続が先にあって、その後にニーズがあるのではありません。
当たり前のことに聞こえるでしょうが、実際には「どうすれば利益を得られるか」と考えるところから事業を始める人が多すぎる気がします。
企業は自社がどのような会社なのか一貫したイメージを築き上げなければなりません。
他社とは異なる選択をすることで差別化を図ると同時に、万人を喜ばせるのとは別の方向へ進む。戦略の本質を簡潔に言い表せばこうなります。
戦略の本質は独自の道を生み出すことにあります。
ポジションを広げるのではなく、掘り下げることに専念しましょう。
失敗から学んでニーズに密着した技術に変えると、追随者でも差別化を達成できます。

社会貢献

『人を喜ばせる』という思いは、資本主義の神髄です。
多くのビジネスリーダーは投資家や株主のためにしなければならないことばかりを考え、時として「会社が成功するために必要なことは何か」という大局を見失っています。
私はいま、戦略についてプレゼンテーションをする際は必ず、戦略より良いものにするために戦略と社会貢献のリンクをどう活用すべきかについて言及しています。
事業戦略の社会的な側面は、製品の模倣や独自の生産プロセスよりも模倣することが難しいことが多いからです。
すべての利益が等しいわけではありません。 社会的目的を含む利益は、資本主義のより高い形態を表し、企業とコミュニティのポジティブなサイクルを生み出します。

その他

日本企業の歴史的な強みと個性は、組織の全部門が協力して企業全体の質を高めることができる「トータルクオリティー」の概念に体現されていたと思います。
一方、日本企業は歴史的に、戦略の分野が弱かった。
戦略というものがいまだに十分に理解されていません。
競争業者がいるから、競争優位を高めることができます。
技術リーダーは先頭を走りながら革新を続けなければなりません。





 マイケル・ポーターの書籍は読んでいないものの、ネットなどで紹介されているその言葉は「まあ、そうだよね」と納得できるものばかりです。
 ただ、「経営戦略の神様」と呼ばれているポーターの理論も、万能ではないようですね。

 第1世代はポーターに代表されるように、利益の上がりやすい構造を持つ場(業界)を探索・選択し、そこに経営資源を投下する。つまり分析レベルは「業界(industry)」でした。続く第2世代はバーニーに代表されるRBVのように、競争優位の源泉を個別企業の特殊性・異質性(firm heterogeneity)に求めるものです。いかに同業他社に存在しない、自社特有の(VRIO(注)を満たす)経営資源を保有するかを重視します。

※VRIO:Value(経済価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)


 とはいえ、上記のように、第1世代がなければ、次の世代も生まれることはなかったでしょう。
 ポーターの代表的な考えを拾ってきました。

競争の収斂

企業が他企業を模倣し、やがてどの企業も見分けがつかなくなって、顧客の判断基準が価格だけになること


競争優位を築く3つの基本戦略

コスト・リーダーシップ戦略 「同じ商品を提供するのなら、安く提供できるほうが勝つ」
差別化戦略 「多少価格は高くても、それ以上に価値があるものを提供できれば勝てる」
集中戦略

業界の収益性に影響を与える5つの力

業界内の競合
新規参入の脅威
代替品の脅威
売り手の交渉力
買い手の交渉力


企業の活動が最終的な付加価値にどのように貢献しているのか、その量的・質的な関係を示すバリューチェーン(価値連鎖)

購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケティング
サービス


コスト・ドライバー(コスト推進要因)

1 規模の経済性
2 習熟度
3 キャパシティ利用のパターン
4 連結関係:自社のバリューチェーン内、または他社の活動との関係性によって、トータルのコストが下がる
5 相互関係:自社の他の事業との協力などによってコストが下がる
6 統合:川上または川下の活動を自社内に取り込んでコストを下げる
7 タイミング
8 他の要因とは無関係なポリシー選択
9 立地
10 制度的要因

コスト・ビヘイビア

コスト推進要因の組み合わせ

差別化

使用基準:商品の性能、デザイン、販売促進案、過去の販売データなど
シグナル基準:ブランド力、クチコミ、カリスマ販売員の存在など


□参考資料
「戦略の本質」を問い直す

『マイケル・ポーターの競争戦略54』 著/中野明 朝日新聞出版

Powered by Blogger.