未公開株詐欺が多発。例えば、医療ベンチャー「ウィンメディックス」
未公開株詐欺については、金融庁が注意喚起を行っています。
「上場間近」、「値上がり確実」、「発行会社との強いコネにより入手」、「貴方だけに特別に譲渡します」などと称して未公開株の購入を勧められ、購入したものの、「発行会社に問い合わせると上場の予定はないと言われた」、「株券が届かない」といった相談が増えています。
ただ、未公開株詐欺のターゲットになるのは、お金を得たい一般投資家だけではないようです。
今回はがん患者をターゲットにした、非常に悪質なケースである医療ベンチャー「ウィンメディックス」について調べてみました。
このウィンメディックスは「がんを100%治す」とうたう医療ベンチャーだと毎日新聞で紹介されていて、現在もセミナーなどを開催しているとのこと。
太田敦子記者は「がんを100%治す」とうたい、がん患者らに自社の未公開株やヨウ素水を高額で売りつける東京の医療ベンチャーを追いました。「市長選を手伝うと言って候補者の陣営に入り込んだグループが、マルチ商法の勧誘をしているらしい」。そう耳にしたのがきっかけでした。患者やその家族に取材を重ねて浮き彫りになったのは、「きっと治る」と信じてすがる患者の心をもてあそび、多額の金を払わせるマルチ商法の実態です。記事を読み返すたびに胸が締め付けられ、手口の非情さに怒りがこみ上げてきます。この企業は社長が逮捕され、裁判中でも、全国でセミナーを開いて勧誘を続けています。新しい年も、その動きをウオッチするとともに、マルチ商法の問題を深掘りし、警鐘を鳴らしていきます。
医療ベンチャーは「ウィンメディックス」(東京都千代田区)。社長の白木茂被告(45)らが、金融商品取引法違反と組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕、起訴された。
「市長選を手伝うと言って候補者の陣営に入り込んだグループが、マルチ商法の勧誘をしているらしい」というのは、ありがちなケース。選挙になると事務所などには多くの人が出入りするので、マルチ商法の草刈り場となりやすいわけです。
ウィン社が未公開株の販売を広げる主な手立ては、全国を回る講演会だった。東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市で毎月のように開かれている。記者も知人からうわさを聞き、半年あまり足を運んだ。会場の様子を紹介したい。22年8月、繁華街にある会議室は200人近い参加者で埋まっていた。大半は中高年で女性が目立つ。つえをついた高齢者や、抗がん剤治療中とみられる帽子をかぶった人もいた。おもむろに会場を見回し「この中にがんで闘病中の人はいますか」と問いかける白木被告。手を挙げた人に対し、「どこのがんですか」「発症はいつ」「どんな痛みがありますか」などと、まるで医師の問診のように矢継ぎ早に質問を重ねていく。救いを求めるように病状を説明する患者に「わかりました。切っては(手術しては)だめ。この本に書いてある通りにすれば、がんは治ります」。そう言って、受付に山積みされた著書「末期がん患者を救った男」を指さした。続いて、自らの生い立ちや医療に対する持論、事業計画などをよどみなくスピーチ。娘をがんで亡くした話をするときは悲しげなBGMを流し、新規事業の説明では映像を駆使した派手な演出で盛り上げる。主な内容は半年間、ほとんど変わらなかった。がんの標準治療である抗がん剤治療を否定し、自社が開発した「コロイド化ヨウ素」を服用すれば治ると主張。「実験でマウスのがんは100%殺した。人間は7割だったが、残りの3割は意識に不安があるから。ヨウ素と睡眠や食事など五つの注意を守れば、100%がんは治る」と繰り返した。
白木茂容疑者の著書『末期がん患者を救った男 がん治療"逆転"の軌跡』は、2017年に幻冬舎から出版されています。監修は「山田 正文 医学博士」とのこと。
若くして起業家として名を馳せ、すべてを手に入れたと思っていた男。しかし突然、最愛の娘をがんに襲われる。そこから幸せが一変、絶望感に苛まれる地獄の日々がはじまった。手術、抗がん剤とあらゆる手を尽くすが救えず、ついに永遠の別れを迎える。そんなときに経営していた会社も倒産し、目の前がまっくらに……。しかしそのとき、医師ではない自分でもがんに立ち向かえるたった一つの方法に気づく。そして自分の才能を活かして生み出した、まったく新しい治療法とは……!?多くの患者を末期がんから救い続けている男の奇跡の物語。
■ 白木 茂 /シラキ シゲル東京都出身。20代から一貫して経営者としての道を歩んでいたが、まな娘の白血病死をきっかけに、難病患者を救うために自分の持てるビジネスの力を使うことを決意。現在、がん治療薬の販売を行う株式会社エスエーティおよび、多岐にわたる医療関連ビジネスに取り組む株式会社ウィンメディックスほか、複数社の代表を務めている。医療関連の総合企業グループを一代で築き上げた起業家であり、末期がんをはじめとする難病患者の救済者。
「20代から一貫して経営者としての道を歩んでいた」と書かれていたので、白木茂容疑者は会社員などを経験していないということでしょうか。1977年生まれなので、1987年以降に会社を経営し始めたと推測できます。学歴などはネット上に情報がなく、大卒か高卒かもわかりません。
ウィキペディアにもページがありました。
白木 茂(しらき しげる、1977年9月28日 )は、日本の起業家。株式会社ウィンメディックス 代表取締役社長、一般社団法人コロイド化ヨウ素研究学会 代表理事、一般社団法人 SES協会 代表理事、海外では英国のWin-Medics Holdings 代表取締役社長、Medics Kingdom 代表取締役社長、スイス国のSHIGERU AG 代表取締役社長。
株式会社エスエーティは、2005年3月創業で、住所は東京都千代田区神田三崎町2丁目17-2のようです。
医薬品や化粧品・美容機器などの製造・販売を行う会社医薬品をはじめ化粧品や美容機器の他、健康器具等の製造・販売並びに通信販売及び輸出入を手掛ける会社。
株式会社ウィンメディックスは、2016年3月創業とのこと。ホームページがご立派。
一般社団法人 SES協会
⇒東京都千代田区神田須田町1丁目5番10号相鉄万世橋ビル702号にあるようだが、実態はよくわからず。
Win-Medics HoldingsとMedics Kingdom
⇒55 Baker Street, London, United Kingdom, W1U 7EUにあるようだが、実態はよくわからず。
SHIGERU AG
⇒立派なホームページがある。
視覚障害を持つ人々のためのヘルステック製品の開発と高い光感受性を持つ人々の生活の質を改善するために私たちが開発しているソリューションです
ホームページによれば、スイス大使館のスイスビジネスハブのサービスを利用しているのだとか。
そのほかにも、白木茂容疑者はいろいろと手を広げていたようです。派手にPRしていました。
株式会社ウィンメディックスAI遠隔医療システム及び抗がん剤用新規DDSの研究開発をしている日本国医療系ベンチャー。独自の“次世代“国際的医療エコシステム(WinMed™)の構築を目指しており、AIだけでなく、医療機関による正確且つ敏速な鑑別診断を実現するため、様々なウェアラブル型検査機器の開発も推進しております。代表の白木の著書「末期がん患者を救った男」(発行:幻冬舎メディアコンサルティング)は、多くの癌で悩むご家族や患者に読まれています
日本国メディカルベンチャー、抗がん医薬製剤の開発に着手世界最高峰医療研究機関カロリンスカ研究所ボードメンバーであるトルケル・ファルケンベルグ博士がサイエンティフィックアドバイザーに就任
世界初!中国最高の医療集団、中国医学科学院/北京協和医学院グループと日本医療系ベンチャーの事業提携 北京協和医薬科技開発総公司と弊社遠隔診断技術を用いた日中医療機関連携プラットホーム構築のお知らせ
また、国連世界平和協会人権大使なのだそうです。
![]() |
https://x.com/search?q=%E7%99%BD%E6%9C%A8%E8%8C%82&src=typed_query |
国連世界平和協会?
調べてみたら、NPOのようです。
特定非営利活動法人United Nation World Peace Association北海道札幌市北区北34条西4丁目1-1ル・シエルN34 1F北川 房雄
北川 房雄代表理事のプロフィールは、次のとおり。カイロプラクターのようですね。
1960年4月23日 北海道夕張市生まれ。旭川工業高卒業後、(社)北海道治療師会医学院、全国キネシオテーピング協会、フィリピンST・マイケルインターナショナルカレッジ留学、カリタスファミリーカレッジ留学、ラサールダスマカレッジ留学、MRCカイロプラクティック学院講師を歴任。(後略)
"人権大使"の白木茂容疑者は、実際は詐欺まがい(未公開の株式を無登録で売却など)で金を集めて、女性に貢ぎ、キャバクラでの飲み代の使い、高級時計・高級車を購入していたとのこと。
詐欺まがいの金→キャバクラ、愛人、高級品
いつも同じパターンだな……
金融商品取引法違反の容疑で逮捕された、健康食品販売会社ウィンメディックスの社長、白木茂容疑者(45)と元取締役の西昭洋容疑者(42)。“ヨウ素製剤”とは、白木容疑者の会社が、がん治療の新薬として開発していると説明している「コロイド化ヨウ素」のこと。
一般社団法人日本先制臨床医学会なるところのWebサイトで、「コロイドヨード療法」というものの説明がされていました。「一般社団法人」というのは、もう、なんというか……
コロイド・ヨード療法免疫療法不要な細胞や活性酸素・有害物質を吸着して体外へ出す
IOダインとは、元素であるヨード(ヨウ素)を水素と結合させコロイド化する事により、ヨードが持つ毒性をなくし、細胞がそのヨウ素を利用できるようにしたものです。コロイドとはイオンや分子よりも大きい粒子が気体、液体、固体中に分散している状態のことで、色々な物質は身体内ではコロイド状態で細胞に供給されています。
コロイドについては、マヨネーズを例にして説明することが多いですよね。コロイドとは、2種類の物質を混ぜたときに、そのうちの1つが小さな粒になって、もう片方に均一に分散している状態。
また、ヨウ素はヨードとも呼ばれています。
ヨウ素は原子番号53の原子ですが、多くはイオン化(ヨウ化)した他の物質と結びついています。 ヨードはドイツ語(ヘブライ語)でヨウ素を意味していますが、当ホームページではヨウ素およびヨウ化物の意味で使用しています。
コンブなどの海藻に多く含まれているヨード。毒性があるのでしょうか?
調べたところ、1811年、フランスの化学者であるベルナール・クールトアがヨウ素を発見したとのこと。「ヨウ素剤の歴史」という論文を読んだ限りでは、毒性はわからず……
ヨウ素剤の歴史
ヨードは甲状腺ホルモンの原料で、過剰に摂取すると甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺中毒症が起こるようですが、「毒性」と呼ぶのは違う気もします。
わからないことばかりではありますが、「100%」をうたっているビジネス、やたらとフレンドリーな人たちには要注意ということでしょうか。
■追記 2024年8月4日
ウィンメディックスは、「株式会社ME.Link」と社名を変えたようですね。
株式会社ME.Linkの事業者は遠藤達矢。ウィンメディックスの社長代行で、警視庁に逮捕されていたようです。
「ウィンメディックス・白木茂・西昭洋 第6報本日(5月3日)、警視庁白木茂・西昭洋再逮捕・遠藤達矢社長代行逮捕の報道」
株式会社ME.Linkは、めちゃくちゃ怪しいセミナーを行っているようです。
潜入レポートです。がん患者や高齢者をターゲットにしたME-Link社(旧ウィンメディックス)セミナーは真偽不明の景気の良い話や陰謀論で固められ、暗号通貨が入ったというカード(5千円)申し込みに参加者が群がっていました。ほぼ無料で読めます。注意喚起を広げてください
潜入レポートに、「ネサラ・ゲサラ」というワードが出てきたので調べたら、『ネサラ・ゲサラ(NESARA/GESARA)がもたらす新時代の経済システムとは!?』という本がヒット。この本について、バリューブックスではAIが次のようにまとめていました。
こんな内容です。本書は、ネサラ・ゲサラと呼ばれる新しい経済システムに関する理論を展開。ケネディ暗殺や9.11など過去の出来事に新たな見解を提示し、経済改革が世界をどう変えるのかを探る。こんな方におすすめです。陰謀論や新しい経済システムに興味がある読者、従来の歴史や経済に疑問を持っている人に適しています。この本の内容に関わるキーワードを教えます。負債免除、通貨リセット、資産再分配、世界秩序、金融系統、経済改革感想を短いワードで言うと…。興味深い, 啓発的, 疑問を感じる, モヤモヤするこの本を読んだ方の反応をまとめてみます。陰謀論を主題とするこの本は、特定の読者層からは興味深く読まれている。一方で、トランプ前大統領の政治的動向に関する最新コメントが欠けていたことで、一部読者には不完全な印象を与えた。
アマゾンの紹介文です。
FRB、BIS、SWIFT……ディープステートたちが労せずして世界中のお金の90%以上を懐に入れてきたシステムが崩壊!?しつつある今、現在、世界中で広く行われている資本主義金融経済システムとは全く異なる、新たな経済システムが水面下で進行していると言われています。その新たなシステムが、「NESARA/GESARA」です。政治、経済、文化、世界情勢など幅広いテーマについて、豊富な知識と深い考察で発信しつづける真実系のパワーブロガー・笹原俊さんが、今、世界の奥底で何が起こっているのかを解説。現行の金融経済の問題点から、NESARA/GESARAが発動された後の世界についてまで、あなたがまだ知らない真相情報が満載の一冊!
ディープステートについては、ウィキペディアで以下のように説明されていました。
ディープステート(英: deep state、略称: DS[1])、または闇の政府[2]、地底政府[3]とは、アメリカ合衆国連邦政府の一部(特にCIAとFBI)が金融・産業界の上層部と協力して秘密のネットワークを組織しており、選挙で選ばれた正当な米国政府と一緒に、あるいはその内部で権力を行使する隠れた政府(国家の内部における国家)として機能しているとする陰謀論である[1][2][4][5][6]。「影の政府」と重複する概念でもある。
成城大学のサイトには、陰謀論がアメリカの分断を招いていると指摘されていました。
襲撃者の多くは、あることを信じていました。「この世界はディープ・ステイトという巨大資本と共産主義が合体したものによって支配されつつある」「トランプ氏はディープ・ステイトから世界を救おうとしている」…。そうした陰謀論を醸成する書き込みがSNSで大量に流布されたのです。中には「民主党要人は少年少女を拉致してきて血をすすっている」とか「水道に毒を流している」といった類いの荒唐無稽なものもありました。 実はこれ、中世以来ユダヤ人迫害に使われた「噂」とそっくりなのです。ユダヤ人がそうした悪事を働いているという噂が流れるたびにユダヤ人コミュニティが焼き討ちに遭い、多数の犠牲者が出ました。
最近の都知事選でも、陰謀論が数多く飛び交いましたね。なんだかな医師も立候補していました……
陰謀論と“健康”“医療”は、親和性があると思い知らされた次第です。
Leave a Comment