【ほったらかし投資勉強会】論点を見極める

 2022(令和4)年のデータでは、日本人の健康寿命は男性で72.57歳、女性で75.45歳です。
 認知症や寝たきりではない、言い換えると脳も体も健康な状態で、自分が生きている範囲のことだけしか考えられないし、行動もできません。
 加えて、老化や死、そして地球の反対側にあるブラジルなどについては、日本に住む個人の努力だけではどうにもならない問題も多いものです。

 人生では、数多くの問題に遭遇します。

 問題解決で大切なのは、解決法をあれこれと探る前に、論点がきちんと設定されているかどうかを見極めることです。そもそも論点が根本的にずれていたり、自分や世間にとって優先順位が低いテーマになっていたりすると、解決したところで建設的でもなければ、生産性もなく、誰も幸せにはなりません。
 問題を解決するために、大量に解決法をひねり出したり、多方面に素早く対応したりするのではなく、論点を見極めるのです。

論点かどうかの判断材料1 次の自分の行動の方向性が決まる


 自分を取り巻くさまざまな“問題”が、実は問題ではないことがあります。
 例えば、ショッピングモールでケーキ店の前を友人たちと通りがかると、複雑にデコレーションされたケーキがあったとしましょう。


 「このケーキを、どうやって切り分けようか」と切り方をスマホで検索したり、みんなで話し合ったりして、それなりに楽しい時間を過ごすかもしれませんが、そもそも誰もそのケーキを食べたくないこともあります。また、高すぎて、買えないこともあります。ケーキを買わない限り、「どうやって切り分けるか」という問題は友人たちの間では発生しないのです。いわゆる「捕らぬ狸の皮算用」。
 もちろん、会話のネタとして“問題”は存在するし、場が盛り上がるでしょうが、何の生産性もありません。その理由は、次の行動の方向性が決まらないからです。つまり、今すぐに、答えを求める必要がないため、実は解決すべき問題ではないのです。話し合いの前提の事実認識を間違えているケースといえるでしょう。
 ケーキ店の前での論点は、そのケーキを食べたいのか、あるいは食べたくないのかにあります。食べたければ、価格が次の論点になります。


論点かどうかの判断材料2 世間一般の予想を覆す可能性がある


 食塩をなめるとしょっぱく感じることは、ほとんどの人が知っています。ですから、「食塩をなめるとしょっぱい」「しょっぱい食塩が存在する」は論点になりません。わざわざ常識を議論しても、実験で確認しても、生産性がないからです。
 「食塩をなめてもしょっぱいと感じない」「誰がなめても甘く感じる食塩がある」は論点になり得ます。
 「やっぱり、これまでと同じだ」「思ったとおりだった」という答えが予想されていることは、問題として取り上げる必要性はあまりないのです。


論点かどうかの判断材料3 答えが出せる問題である


 「私たちは、なぜ生きるか」などは、宗教などでもない限り、容易には答えが出せないテーマです。また、個人差も大きく、話し合ったり実験で確かめたりして結果が見つかることもないでしょう。

 世の中には解けない問題が多数あります。自分の力で解けるであろう問題を解くために、時間と労力を使うほうが建設的です。
 「人生で何をやるべきか」といった大きな問いに対しては、「今日一日をどのように過ごすか」などのように細分化して、解答できる問いに再設定するといいでしょう。


論点かどうかの判断材料4 実感を伴っている

 大量の情報がネットに流れる中、ケーキが欲しいときには、ケーキ店の情報をたくさん検索するのではないでしょうか。しかし口コミを見ると、おいしいと好印象のものもあれば正反対のものもあって、混乱することも珍しくありません。
 ひたすらネット情報を集めるよりも、実際にお店に行って直接ケーキを見たり、においをかいだり、客や店員の様子など雰囲気を捉えたり、実際に食べてみたりして、自分の感覚を使うほうが正しい判断ができるものです。

 さまざまなことを知れば知るほど、賢くなるわけではありません。情報を判断する能力には限度があり、情報が多いほど混乱するからです。
 また、誤情報が混ざりやすくなるだけでなく、なんだかわかったような気になって、論点を外しがちともいえます。
 現場に足を運ぶ時間やお金、労力を使いたがらず、効率性・経済性(手っ取り早さ、安さ)を求めると、愚かな間違いを犯しやすくなるものです。

 特にお金については、大量の“お得な”情報がネットに流れています。また、今は紙幣や硬貨ではなく、数字で示されるため、お金の実体が伴っていません。一例が、給与の札束での手渡しと銀行振り込みとの差です。
 そもそも、お金は手段であって、それ自体に価値はありません。お金が交換することで初めて効用が生み出されるので、「どれだけお金を回し続けることができるのか」が論点になります。
 にもかかわらず、数字として記号化されたお金に価値を見出して、「どうやったら数が増えるのか」「どうやったら稼げるのか」「どうやったら節約できるのか」の優先順位が高いのだと勘違いします。すると、気持ちよくお金を使えないばかりか、お金を使う行為に罪悪感さえ覚えることもあります。
 死んだらお金は使えないし、若さもお金で買えません。

 経済評論家の山崎元さんは、お金の使い道について、7つの例を挙げていました。

① 稼ぐ能力への投資
② 今しかできない経験への支出
③ 成長する経験への支出
④ 継続的価値のある物の購入
⑤ 人間関係への投資
⑥ 時間への投資
⑦ 他人のために気持ちよく使えるお金

「お金を思い切って使えない人」の深刻な問題点とは何か

 節約術や投資法をあれこれと探る前に、自分にとって建設的で生産的なお金の使い方を、一度落ち着いて考えるといいのかもしれません。
 



■参考資料

「お金を思い切って使えない人」の深刻な問題点とは何か

肉体言語で考えてごらんよ。
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