銀行口座に知らない人から振込された際に、お金を引き出したらダメな件(2023年12月8日初出、2025年7月26日更新)

 銀行口座が詐欺に利用された話がX(Twitter)で流れてきました。

 銀行口座に知らない名義で振込があった
→知らない名義の人から「間違えて多く振り込んでしまった」と電話がかかってきた
→知らない名義の人から「多く振り込んだ分だけ、返金してほしい」「そちらに人を行かせるので、現金を渡してほしい」と電話で言われた
→通報し、警官と一緒に待機
→現れた人物逮捕

 このような話題だったのですが、意外だったコメントはこれ。
お金を勝手に振り込まれても引き出したら自分も同罪。
サギには過失が適用されないので減刑がないという。


 「銀行口座に知らない名義で振込があった」という場合には、その口座が詐欺に利用された可能性が高いわけです。

 Xでは、似たようなケースも紹介されています。
 SNSでの懸賞に当たったため、銀行口座を教えたところ、懸賞よりも多い金額が振り込まれたとのこと。返金を求められたので応じたら、知らないうちに詐欺の受け子として利用されていて、結果、警察に逮捕されました。


 勝手に銀行口座を利用されたので、ある意味、被害者ではありますが、法律的には違うようです。

 兵庫県弁護士会のサイトには、次のような説明があります。

Q
 使っていなかったA銀行の通帳を記帳したところ、身に覚えのない30万円が振り込まれて残高が30万100円となっていました。誤振り込みだと思います。お金を引き出し、パチンコに使った場合、どうなるのでしょうか。

A 
30万円は口座名義人のあなたが事実上、自由にできる状態にありますが、民法上、返還義務を負うお金なので使うことはできません。

 使ってしまった場合ですが、銀行の窓口で引き出したときは詐欺罪(刑法246条)、ATMからは窃盗罪(同235条)になります。詐欺罪は「詐欺行為によって人を錯誤に陥らせて財物を交付させる」犯罪です。銀行の窓口で引き出した場合は、窓口の銀行員をだましたと評価でき、詐欺罪が成立します。窃盗罪は「他人が占有する財物を、他人の意思に反して自己の占有に移す」犯罪です。 ATMから引き出した場合は機械相手であって「人をだます行為」がないので詐欺罪にはなりませんが、銀行の意思に反してお金をあなたの占有に移していると評価でき、窃盗罪になります。




 ちなみに、間違えて入金された場合は、銀行に依頼して「組戻し」を行うとのこと。手続きを行うのは、入金した側。
 ですから、「多く振り込んだ分だけ、返金してほしい」などと依頼された場合は、「そちらで組戻しを行ってください」と伝えましょう。
 ただ、身に覚えのない入金については、銀行に相談してから、警察に連絡したほうがよさそうです。



 冒頭のケースで驚いたのは、銀行口座と電話番号がセットで詐欺師に知られていたこと。 
一般の人より事業者が狙われそう。請求書に口座も電話番号も書いてるし、振り込みも沢山あって、だまされそう。

 請求書に記載している銀行口座は、こまめに残高をチェックして、覚えのない入金があれば金融機関に確認を取ったほうがよさそうです。
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