比較的新しいカタカナ英語を誤用していませんか問題 例えばアジャイル

「今は要件が明確に定まっていませんが、アジャイルで進めるので大丈夫です」という、いいかげんな言い訳を何度聞いたことか。

 あちこちで耳にするアジャイル。そういえば、千葉県市川市の前の市長も「アジャイル」という言葉を使っていました。
タウンミーティングで市民の声を聞いてきました。コロナ後は地域課題を聴きに伺おうと思います。施策が一年後に成果として届くのではなく、随時納品して随時修正する、そうしたスタイルが求められます。

#出かける市長 #タウンミーティング #アジャイル #市川市 #市川市長 #市川市役所 #村越ひろたみ

 なんなのでしょうね、アジャイル。


 アジャイルという言葉はあったものの、その概念が生まれたのは2001年なのだそうです。17名のソフトウェア開発者が話し合った結果として「アジャイル開発」という手法が誕生しました。
 その後、なぜか各方面でアジャイルという言葉が使われるようになりました。冒頭の引用のように、「まあ、かたく考えずにアジャイルで」みたいな。
 ただ、当方としては、なんでもかんでもアジャイルと言っているように思えて、スッキリしません。そんなわけで、アジャイルについて調べてみました。なお、ソフトウェア開発や経営学については、まったくの素人です。

 アジャイルと関連性のある言葉を調べたところ、「ウォーターフォール」「カンバン」「スクラム」がヒットしたので、これらの言葉をまとめてみました。


ウォーターフォール

 仕事をいくつかの局面に分けて順番に進めていく手法で、1960年代に誕生し、1970年に情報工学博士のW.W.ロイスが「Managing the Development of Large Software Systems」という論文を発表してその考え方が確立されたとのこと。上から下へ水が流れる滝に似ているので、ウォーターフォール(waterfall)と呼ばれています。
滝(写真/ぱくたそ)



  通常、いくつかの中間目標が設定されています。目標を達成すると次の局面に移ります。つまり、一つの局面が終わらない限り、その次の局面を始められません。
 また、前の局面に後戻りしないことが前提です。しっかりと計画を立て、組織が仕事の要件と制約を明確に理解した上で作業に取り掛かる必要があります。



カンバン

 「かんばん方式」は、トヨタ自動車の技術者である大野耐一氏によって開発され、1963年に全工場で採用されました。簡単な板切れ(かんばん)を使って視覚的に作業を管理することが特徴。後工程が必要な部品の発注書をかんばんとして前工程に渡し、前工程がそのかんばんに沿って生産するので、過剰な在庫など無駄を省くことができます。
トヨタ自動車75年史 第4項 トヨタ生産方式の構築と展開より

 これの発展形がカンバンで、アジャイルとよく併用されます。

スクラム

 ラグビーの「スクラム (scrum)」が語源で、「複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、人々、チーム、組織が価値を生み出すための軽量級フレームワークである。」と定義されています。

1980年代、日本の経営学者である野中郁次郎と竹内弘高は、当時の日本の製造業におけるイノベーティブな開発スタイルを分析し、「スクラム」と名づけて言語化した。このモデルは続く90年代、米国のジェフ・サザーランドらの手でソフトウェア開発に応用され、以降世界的に広がる「アジャイル開発」の代表的フレームワークとなる。

(写真/パブリックドメインQ)


アジャイル

 アジャイル(agile)は「機敏な」という意味で、小さく、素早く開発を繰り返していく手法です。仕様や要件で変更が起こりやすい場合、また、変化が激しく「今決めたことが来週には覆るかもしれない」という場合に適しています。
 アジャイルは、2001年に17人のアメリカの技術者が提唱しました。

Manifesto for Agile Software Development

Individuals and interactions over processes and tools
Working software over comprehensive documentation
Customer collaboration over contract negotiation
Responding to change over following a plan

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

私たちは以下の原則に従う:
顧客満足を最優先し、
価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。

要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。
変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。

動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします。

ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません。

意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。

情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。

動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。

アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。
一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。

技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを高めます。

シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。

最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます。

チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。



 素人目には、対人能力がかなり高くなければ、アジャイルは無理ではないかと思われました。
 もう一つは、ウォーターフォールを理解し、その限界がわかっているエンジニアだからこそアジャイルが効果的ではないかということ。そしてアジャイルの経験者が初心者に教えることが大切で、アジャイルについての本を読んだだけでは理解できない気もしています。
 情報処理推進機構の資料を読んだのですが、「これは、大変だ……」と思った次第です。
アジャイル型ロールは、従来型ロールとは概念が大きく変わり、従来型より広範な能力が求められる。
アジャイル型ロールは多様なタスクをこなす(多能工化している)ことを理解する。



 にもかかわらず、「ウォーターフォールはもう古い」「これからはアジャイルで」と決め打ちする人がいるとのこと。さらに、「偽アジャイル」「勘違いアジャイル」も発生しているようです。

【問題1】「アジャイル」という言葉を悪用する不適切なチームマネジメント
【問題2】「見積」を「確約」と捉えることによる時間外労働の強制
【問題3】2週間おきの「コミットメント」と長期的プランの対立


 「小さく」「素早く」とワードなどを拡大解釈したり、初めから理解できていなかったりする(それが言葉の悪用につながる)とのこと。



 アジャイルについて、ガートナージャパンのシニアディレクターアナリストの片山治利氏は次のように説明していました。

《アジャイル開発案件を始めるときに押さえておくべき6つのポイント》
(1)「なぜ、アジャイル開発であるか」について共通認識を持つ
(2)ソフトウェアの品質を疎かにしてはいけない
(3)迅速な意思決定の仕組みを整える
(4)案件の外部・周辺にある阻害要因を克服する
(5)ウォーターフォール型で開発するチームとの調整を図る
(6)未経験者の育成の仕組みを整える

 思いついたことを、とにかくやってみる。
 計画は、立てない。
 後先は、考えない。

 そんな話ではないですよね。これは軽挙妄動。

 そういえば前の市長は、市庁舎のトイレにガラス張りのシャワー室を360万円使ってこっそり設置して、それを青少年教育施設「少年自然の家」の男性用浴室に125万円で移設して、最終的には撤去されたようです。
 アジャイルじゃないよね。これは税金の無駄遣い。


■主な参考資料
トヨタ自動車75年史 第4項 トヨタ生産方式の構築と展開

情報処理推進機構アジャイル開発の進め方

Wikipedia

 特に市民の皆様から御理解いただけなく、厳しい御意見を多くいただいた市長室のシャワー室、また、スマートi-BOX、市本、合わせまして、かかった総事業費は約9,070万円でございます。
市川市議会

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