もっと楽しくPTAの広報紙を作るには? その6 運動会での撮影は「いい写真を撮る」以上に「無難に撮る」ことが大事

  老いも若きも楽しみにしているのが、小学校の運動会。かわいい子どもや孫のために、張り切っている人は少なくありません。


 ですから、当然、小競り合いがあちこちで起こっています

 昨年度も広報委員だった私は、「広報」と書かれた腕章を着けて運動会に参加したのですが、やや高齢の女性(とても元気そうで、足腰も弱っていない)から「敬老席が足りない!」とクレームを受けました。
 広報の私はまったくの無関係。ですが、「私は広報なんですけど……。まあ、今年はお年寄りの方が多いですね」などと対応し、学校には特に報告はしていません。

 また、撮影用として保護者が交替で使用するスペースに、いすを置いて占有しているおじいさんがいました。このおじいさんに注意をしているパパさんがいて、それでもおじいさんは動かず、小さな言い争いになっていました。

 他校の話ですが、運動会前日の夜中に運動場に忍び込んで、場所取りをしている保護者がいるそうです。

 以上のように、学校への報告の有無を問わず、運動会に小さなトラブルはつきもの
 ましてや腕章を着けていれば目立つので、「広報委員が目障り」といった広報委員に関するクレームを学校側につける保護者がいるのは当然ではないでしょうか。

 ですから、学校にクレームが来ても、運動会の最中に「邪魔だ。どけ!」などと文句が飛んできても、広報委員の責任ではないと私は考えます。
 観客席にいる保護者もテンションが上がっているわけで、通常の状態ではないのですから。
 広報委員が写真撮影中に文句を言われたら、場所を移動すればいいだけのこと。

 ただ広報委員は、PTAの仕事として運動会を撮影しているのです。文句を言われたら、やはり嫌な気持ちになります。

 ここでは、運動会の撮影で嫌な気持ちにならずに済むようなテクニックを挙げておきます。

運動会の撮影で嫌な気持ちにならずに済むテクニック

1 「撮影の仕事をしています」という服装にする
 運動会でもヒラヒラした服装の保護者はたくさんいます。こうした服装で撮影していると、保護者の中ならともかく、グランドの中だと浮いて悪目立ちをします。
 つばの広い帽子も然り。

 ですから、広報で撮影をするのなら、地味でスポーティーな服装にして、いかにも「撮影はPTAの仕事ですから」という雰囲気を出したほうが無難です。
 くれぐれも、ファッション誌に掲載されている「運動会コーデ」などしないように……

2 スマホで大量に撮影しない
 保護者の中にはすっごいレンズのカメラを持っている人がウジャウジャいます。
 そのような人には、スマホで撮影している広報委員は「記念撮影かよ!」という印象になりがち。
 ましてや気合を入れて撮影している自分の前に立たれると、「どけよ!」とイライラします(このイライラは私が経験済み)。

 はっきり言って、広報紙の写真撮影はスマホでじゅうぶん。最近のスマホはカメラ機能が非常に高く、広報委員だからといって一眼レフを買う必要はまったくありません。

 しかし、スマホは周囲から「記念撮影かよ!」と思われがちで、大量に撮影しているとプライベート用の動画を撮っていると勘違いされる可能性も高くなります。

 スマホしか持っていない人は、2~3枚撮影したら観客席に戻り、腕章を外して応援することをお勧めします。

3 撮影する前に、周囲を見回す
 「撮影しなければ!」というプレッシャーが強いと、周囲が見えなくなりがち。
 なかには本部の前で撮影してしまって、「怒られちゃった」と話している広報委員もいました。本部テントが目に入らなかったのでしょうね。

 ですから、必ず撮影する前に周囲を一度見回しましょう。
 後ろにどんな人がいるのか確認し、すっごいレンズを着けたカメラの持ち主がいたら、撮影場所をずらしたほうがいいでしょう。
 私の場合は、周囲に知り合いがいたら手を振って「広報の仕事なの!!」とアピールしています。

4 「自分が提出するのは2~3枚」と、カット数は少なくてもいいことを意識する
 1つの競技で撮影するのは1枚でじゅうぶん。ブレてさえいなければかまいません。さらに言うと、少々ブレていても掲載時には気になりません。

 広報紙は大きくてもA3サイズ。
 ここに1~6年生の出し物と競技、さらには組体操や騎馬戦、応援合戦、開会式、閉会式などの写真を入れるのです。1つの出し物の写真は、入れるとしても1点だけ。サイズもかなり小さくなります。

 「撮影しなければ!」「たくさん撮らなければ!」「いい写真を撮らなければ!」と責任を感じる必要はありません。どうせ数枚しか掲載できないのですから。

試しに作ったラフ。A3でこれ以上の写真を入れたら、写真の出来もへったくれも関係ない

 全学年全種目の写真を載せるのはサイズ的に厳しいし、もし全写真を載せるとしたら写真の出来などわからないほど小さくなります。

5 グランドの中で数人集まって立ち話をするのは避ける
 広報委員同士で相談したいのでしょうか、2~3人が集まって、グランドの中で立って話をしている光景を目にしたことがあります。正直、非常に目立っていました(悪目立ち)。
 相談をしたいのならば、グランドから出て行うのが原則。どうしてもグランドの中で行いたい場合は、中腰になり、できるだけ目立たないように気をつけたほうがいいでしょう。

6 掲載できない・撮影しても喜ばれない写真があることを意識する
 保護者の中には、さまざまな事情があって、子どもの写真を広報紙などに掲載してほしくない人もいます。子どもの写真を掲載するには、事前に子ども本人と保護者の承諾が法律的に必要なのです。
 また、掲載できないような事情はなくても、自分たちの想像していた写真と違う場合(変顔になっている、太って見えるなど)、やはり掲載してほしくないと思うかもしれません。

 以上のことから、保護者が広報委員、あるいは広報委員と親しい場合に限定して、子どもの顔を撮影するという選択肢もあります。撮影した写真を子どもとその保護者に見せて掲載許可が取りやすいし、先方も「この写真は嫌」などと率直に伝えられるでしょう。
 ただ、運動会ではどうしてもたくさんの子どもが写り込んでしまうのですが。

 写真掲載にはさまざまな配慮が必要です。いい写真かどうかよりも、子どもや保護者の権利が優先されるのです。

 だったら、「撮影しなければ!」「たくさん撮らなければ!」「いい写真を撮らなければ!」と責任を感じてヘトヘトになるよりも、撮影は数点に留めて、かわいい我が子を精一杯応援して運動会を楽しんだほうがいいのではないでしょうか。

 上の写真は、広報委員として撮影している私を、なぜかママ友が撮影したもの。この写真から、グランドの周囲はコーンが傾くほど保護者でギューギューだと伝わってきますね。運動会というのは、保護者がハイテンションになる、異様な空間なのです。

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「文句を言われてまで写真を撮るのか」
「肖像権を配慮して子どもの後ろ姿ばかりを撮影した写真を、わざわざ載せる意味はあるのか」
「PTA広報紙に運動会の写真は必要か」
「PTA広報紙に意味はあるのか」
「そもそもPTAは必要か」
と、上記を書きながら考えてしまったのですが、現状、広報委員として運動会で写真を撮ることが決定している人がいれば、少しでも参考になると幸いです。

※写真選びのコツ

 刷り上がった広報紙を見て、「こんなはずじゃなかった!」とがっかりしたことのある人も少なくないのでは?

 通販印刷では試し刷りができません。
 学校や自宅のプリンターで出力した状態と、刷り上がったものが大きく異なり、「なんだか薄い」「色が予想と違う」「あんなにがんばって作ったのに」というマイナスの感情を抱いてしまうこともあるようです。

 PTAの広報紙で写真を使うときには、以下の点に注意するといいでしょう。


○ちょっと暗い感じの写真を選ぶ
 写真は、パソコン画面で見たときよりも紙に印刷した画像のほうが褪せてみえるはずです。高精細な印刷でない限り、色が飛んでしまうのです。

 特に広報で使っている紙の多くはつるつるとして、表面に光沢があるため、普通紙以上に色が飛んでしまいます。

 ですから、パソコンで見たときに「ちょっと暗いかな」ぐらいの写真を選ぶことをお勧めします。
写真明るめ

写真暗めのこちらを選ぼう



○人物の体に要注意
 一般的にひざ下・ひじ下だけが写っていない人物写真は、不吉だとされています。指先だけが写っていない写真についても、同じことが言えます。

 去年、私が広報委員になったときにはそのような写真が掲載されそうになっていました。
 「学校の広報紙だからいいかな……」と迷ったのですが、写真を掲載された子どもの保護者が不快に思う可能性もあったので、トリミングをやり直したほうがいいと伝えました。

 ちなみにひざ下が写っていない写真は太ももで、ひじ下が写っていない写真は肩でトリミングをします。

※写真を大きく掲載したいときの注意点

 カラー印刷では、写真の原寸で350dpiの解像度が必要です。
 文章の説明程度に写真を掲載する場合は気にすることはありませんが、写真メインで大きくしたいときには撮影・保存で注意しましょう。

 解像度は密度で、データ容量(MBなど)とは直接的には関係していません。容量が軽くても解像度は十分という場合も、その逆の場合もありました。あくまでもこれは個人的な経験なので、詳しいことを知りたい人はネットで調べてください。


 広報紙でデザイナーに発注する場合は、あらかじめ写真について問い合わせ、アドバイスを受けるといいでしょう。
A4の1/2サイズなど、大きく写真を使うときは要チェック


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