小児科待合室には感染リスクも? 「子どもを受診させること」の意味
2~3時間待ちは当たり前……これは人気アイドルの握手会ではなく、カゼのシーズンに小児科で診察を受けるまでの待ち時間です。待合室の中にはセキが止まらない子ども、ぐったりして涙目の子どもだけでなく、比較的元気であちこち歩き回っている子どももいます。親が「とりあえず医師に診せておこう」と思って子どもを連れてきたのでしょう。
混雑する小児科の待合室に長居することのデメリットは、時間を無駄に過ごしてストレスがたまるだけではありません。待合室の中に充満するウイルスや細菌といった病原体によって、子どもたちが別の病気に感染するリスクが高まるのです。
米国小児科学会(AAP)では、外来施設での感染症を防ぐためにさまざまな対策を発表していまs。
子どもを病院に連れて行く前に、次の2つを天秤にかけてみてはいかがでしょうか。
感染症リスクの高い場所にわざわざ子どもを連れて行ってまで医師の診察を受けたほうがいいのか、自宅でゆっくりと症状の経過を見守っているほうがいいのか……
「患者が自宅からおもちゃを
持参するほうがよい」という声明
長い待ち時間の暇つぶしをするため、小児科のクリニックではおもちゃや絵本が用意されています。こうした備品、特にぬいぐるみは、子どもに触らせないほうがいいのかもしれません。
米国小児科学会は、「清潔にし続けることが難しいぬいぐるみなどのおもちゃは病原菌を媒介する可能性があるため、患者には自宅からおもちゃを持って来てもらうほうがよい」などといった声明を2017年10月23日に発表しました。
声明では、待合室のおもちゃについて以下の対策を勧めています。
○患者の家族には自宅からおもちゃや絵本を持って来ることを勧め、複数の子どもが待合室のおもちゃを共有する機会を減らす
○おもちゃが使用されるたびに洗うのが理想的だが、毎日診察時間が終わったら清潔にすることも許容される
○おもちゃはせっけんを使用して汚れを洗い流した上で消毒して乾燥させる
○ぬいぐるみなどは清潔に保つことが難しいため望ましくない
さらに、米国小児科学会はセキやクシャミのエチケット、そして手指衛生の重要性についても強調。小児科医に対し、セキやクシャミが出そうになった場合は手ではなくひじで鼻や口を覆うことを求めるポスターなどを掲示し、待合室にマスクやアルコールベースの消毒剤を用意しておくように勧めています。
安易に子どもを小児科に
連れて来る例も
子育て真っ最中の私個人の印象ではありますが、子どもを小児科に受診させる際に、自宅から絵本やおもちゃを持参する親は、日本ではごく少数。セキ込んでいる子どもでもマスクを着用させていない例が、しばしば見受けられました。
子どもの医療費を市区町村が助成して、小児科を受診した際に窓口負担がほとんどないケースも多いものです。目に見える金銭の支払いが少ないために、軽症の子どもでも親が気楽に小児科に連れて来ているのかもしれません。
しかし、冒頭でも述べたが、病院の待合室にはウイルスや細菌といった病原体がウジャウジャいるのです。さらなる病原体をまき散らさない気配りや、感染から子どもを守る覚悟が親には必要ではないでしょうか。
小児科医も、普段から親が子どもの体調を把握して、受診するかどうかを見極めてほしいと語っていました。
■受診したら処方されるのは当たり前? 見直したい「薬への意識」
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2019/03/blog-post_53.html
自分の子どもが病気に感染するリスクを減らすため、そして緊急性の高い子どもたちの待ち時間を減らすためにも、「子どもを受診させること」の意味をしっかりと考えたいものです。
混雑する小児科の待合室に長居することのデメリットは、時間を無駄に過ごしてストレスがたまるだけではありません。待合室の中に充満するウイルスや細菌といった病原体によって、子どもたちが別の病気に感染するリスクが高まるのです。
米国小児科学会(AAP)では、外来施設での感染症を防ぐためにさまざまな対策を発表していまs。
子どもを病院に連れて行く前に、次の2つを天秤にかけてみてはいかがでしょうか。
感染症リスクの高い場所にわざわざ子どもを連れて行ってまで医師の診察を受けたほうがいいのか、自宅でゆっくりと症状の経過を見守っているほうがいいのか……
「患者が自宅からおもちゃを
持参するほうがよい」という声明
長い待ち時間の暇つぶしをするため、小児科のクリニックではおもちゃや絵本が用意されています。こうした備品、特にぬいぐるみは、子どもに触らせないほうがいいのかもしれません。
米国小児科学会は、「清潔にし続けることが難しいぬいぐるみなどのおもちゃは病原菌を媒介する可能性があるため、患者には自宅からおもちゃを持って来てもらうほうがよい」などといった声明を2017年10月23日に発表しました。
声明では、待合室のおもちゃについて以下の対策を勧めています。
○患者の家族には自宅からおもちゃや絵本を持って来ることを勧め、複数の子どもが待合室のおもちゃを共有する機会を減らす
○おもちゃが使用されるたびに洗うのが理想的だが、毎日診察時間が終わったら清潔にすることも許容される
○おもちゃはせっけんを使用して汚れを洗い流した上で消毒して乾燥させる
○ぬいぐるみなどは清潔に保つことが難しいため望ましくない
さらに、米国小児科学会はセキやクシャミのエチケット、そして手指衛生の重要性についても強調。小児科医に対し、セキやクシャミが出そうになった場合は手ではなくひじで鼻や口を覆うことを求めるポスターなどを掲示し、待合室にマスクやアルコールベースの消毒剤を用意しておくように勧めています。
安易に子どもを小児科に
連れて来る例も
子育て真っ最中の私個人の印象ではありますが、子どもを小児科に受診させる際に、自宅から絵本やおもちゃを持参する親は、日本ではごく少数。セキ込んでいる子どもでもマスクを着用させていない例が、しばしば見受けられました。
子どもの医療費を市区町村が助成して、小児科を受診した際に窓口負担がほとんどないケースも多いものです。目に見える金銭の支払いが少ないために、軽症の子どもでも親が気楽に小児科に連れて来ているのかもしれません。
しかし、冒頭でも述べたが、病院の待合室にはウイルスや細菌といった病原体がウジャウジャいるのです。さらなる病原体をまき散らさない気配りや、感染から子どもを守る覚悟が親には必要ではないでしょうか。
小児科医も、普段から親が子どもの体調を把握して、受診するかどうかを見極めてほしいと語っていました。
■受診したら処方されるのは当たり前? 見直したい「薬への意識」
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2019/03/blog-post_53.html
自分の子どもが病気に感染するリスクを減らすため、そして緊急性の高い子どもたちの待ち時間を減らすためにも、「子どもを受診させること」の意味をしっかりと考えたいものです。
文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
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