【ほったらかし投資勉強会】「保有資産は、約20年かけて積み上げた元本に対して約230%、約1億3000万円」『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』




 『ほったらかし投資術』(朝日新聞出版)の共著者である水瀬ケンイチさんの著書『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』(フォレスト出版)については、「投資を続けるのが怖い」という人にお勧めです。水瀬ケンイチさんの約20年の軌跡が、リーマン・ショックや東日本大震災など、世界的な出来事とともに、第5章で詳しく紹介されています。
 下のグラフから、一時はリスク資産(投資信託の評価額)が元本を下回っていますが、2013年以降は加速度的に上回っていることがわかります。2004年の時点では300万円台だった資産が、2023年には約1億3000万円になっています。

保有資産は、約20年かけて積み上げた元本に対して約230%、約1億3000万円
『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』第5章より



 本書では「失敗しないインデックス投資の手順」が紹介されています。

失敗しないインデックス投資の手順
①家計の状態を把握する
②生活防衛資金を貯める
(貯金しながら投資を始めてもOK)
③自分の「リスク許容度」を把握する
④資産配分を決める
⑤ネット証券の口座を開く
⑥決めた投資商品を毎月1回積み立てて寝かせるだけ!
年に1回リバランス!


 [ほったらかし投資術]実行マニュアルとの違いは、「生活防衛資金」。

〇[ほったらかし投資術]実行マニュアル:3~6カ月の生活資金を確保
〇『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』:2年分の生活費に相当する「生活防衛資金」

 つまり、普通預金で確保するのが望ましい金額に、大きな差があるのです。

 ただ、2年分の生活費を確保するのは、なかなかに難しいものです。『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』には、次のように書かれていました。

 では、生活費の2年分が貯まらないと一切投資を始めてはいけないのかというと、そんなことはありません。「生活防衛資金を貯めながら投資をすればよい」のです。

 この文言から、3~6カ月の生活資金を確保できたら、投資用と貯蓄用にお金を回し、生活費の2年分がたまるまでは貯蓄を続けるという考え方もできそうです。

 また、[ほったらかし投資術]実行マニュアルにおける「リスクを自問して決める」という考え方は、なかなか難しいのではないでしょうか。大事なことではありますが。

 『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』では、自分のリスク許容度を知る方法が3つ紹介されています。そのうちの一つが「③夜ぐっすり眠れるかどうか」です。

 『ウォール街のランダム・ウォーカー』では、リスク許容度の把握は、「科学よりは芸術の領域に属する」として、人それぞれ違うことを強調しています。
 「本当にあなた自身にとって最適な資産構成になっているかどうかは、あなたがそれで夜ぐっすり眠れるかどうかにかかっている」と説いています。

 クラナリがほったらかし投資勉強会を行う中では、若い人ほどリスク許容度が高く、年齢が高くなるにつれて低くなるという反比例の関係が認められました。前期高齢者では、「投資なんて!」という具合に、「投資」という言葉自体に拒絶反応を示した例があります。
 ただ、「老後のお金をどうしよう……」と焦っている場合、さらには夜遅くの場合は、リスク許容度が高いというか、「持ち金全部を投資に!」といった危うい傾向が見られました。

 お金に対する私たちの態度は「科学よりは芸術の領域に属する」そして「理屈よりも感情の領域に属する」のかもしれません。

 『ほったらかし投資術』と『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』を読み比べたわけですが、個人的には『ほったらかし投資術』で十分という印象です。本体価格も、前者が790円に対し後者は1600円です。ただ、冒頭で述べたように、「投資を続けるのが怖い」という人はぜひ読んでみてください。投資だけでなく、私たちを取り巻く経済は山あり谷ありだと実感できるはずです。
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