どうして月経痛が起こるのだろうか ~子宮腺筋症

 本来は子宮の内部にあるはずの子宮内膜組織が、子宮の筋層の中に入り込んでいる病気を子宮腺筋症といいます。
腫瘤形成型(子宮筋層の一部に子宮内膜組織が入り込む)

びまん型(子宮筋層に全体的に子宮内膜組織が入り込む)


 月経では、筋層の中で子宮内膜組織が厚くなって出血し、炎症を起こします。その出血は子宮の筋層の外に排出できません。
 言い換えると、月経と同じ現象が筋層の中で繰り返されているということ。

 ですから、内出血をし続け、月経時に子宮が収縮すると激痛が走ります。

 子宮内膜症が妊娠を経験していない人が発症しやすいのに対し、子宮腺筋症は妊娠・出産を経験した人に多いといわれています。

 子宮腺筋症は、MRI(核磁気共鳴画像)検査や血液検査で診断されます。
 血液検査で見るのは、CA125という卵巣ガンの腫瘍マーカーです。子宮腺筋症や子宮内膜症でもCA125が高くなるので、スクリーニングや診断に役立ちます。
 月経中や、その直後にCA125は高くなるので、血液検査は違う時期に受けましょう。

 子宮腺筋症と子宮筋腫との類似点は子宮が大きくなるということ。そして成熟期の30代に多く、閉経すると少しずつ徐々に縮小します。
 違いは、子宮筋腫は正常の筋層との境界がはっきりしているので、子宮筋腫だけを取り除く「核出術」ができるのですが、子宮腺筋症ははっきりしていません。
 そのため、以前の手術法は子宮全摘術でしたが、最近では高周波切除器で病変部分だけを切除(核出)できるようになりました。しかし、実地している医療機関は限られていて、先進医療のため医療費(技術料)が高額です。

■参考資料
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/12.html
https://kasumigaura.hosp.go.jp/outpatient/senkinsyou_qa3.html#2


文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

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