薬との付き合い方17 呼吸器系に現れる薬の副作用

 ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html


 呼吸器系に現れる副作用には
(a) 間質性肺炎
(b) 喘息
があります。


(a) 間質性肺炎

 東京逓信病院のサイトには、間質性肺炎について以下のように説明されています。

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間質性肺炎は語尾に肺炎が付きますが、肺炎とはまったく異なる病気です。肺という臓器をコップにたとえると、コップの中で起こる病気が肺炎で、コップ自身が侵される病気が間質性肺炎です。間質性肺炎の方がより広い範囲で病気が起こり、息切れなどの症状が強くなります。治療もコップの中を洗えば済む肺炎に比べ、コップ自身の修繕が必要な間質性肺炎は一般的に難治性です。

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 肺炎は、細菌やウイルス、マイコプラズマなどの微生物の感染、あるいは食べ物や飲み物の誤嚥などによって起こる肺胞の炎症です。


 一方、間質性肺炎は、肺胞と肺胞の間にある「間質」に炎症が起こって、肺胞とその周辺の毛細血管との間で酸素・二酸化炭素のやり取りができなくなってくるのです。


重篤副作用疾患別対応マニュアル間質性肺炎 より

 間質性肺炎の症状は以下のとおりで、カゼや気管支炎と区別しにくいものです。

〇息切れ・息苦しさなどの呼吸困難(階段をちょっと上っただけで息切れがする)
〇空咳(痰の出ないセキ)
〇発熱


 薬が原因の間質性肺炎は、薬を使い始めて1~2週間程度で起こることが多いとのこと。原因となる薬品は、抗がん剤(分子標的薬を含む)、抗生物質、抗不整脈薬(アミオダロン)、抗リウマチ薬、漢方薬(小柴胡湯など)などで、総合感冒薬(かぜ薬)のような市販薬でも起こることがあるとのこと。

 症状は一時的で、自然と回復することがあります。その一方で、肺がガチガチに硬くなる「肺線維症」に移行することもあるため、薬の使用をやめて受診することが大事です。


(b) 喘息

 薬による喘息は、以下の症状がある人に発症しやすいとされています。

〇通年性(非アレルギー性)の鼻炎
〇慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
〇鼻茸(鼻ポリープ)
〇嗅覚異常
〇成人になってからの喘息
〇季節に関係のない喘息


 そして、以下の症状が、内服薬や坐薬、外用薬などを使って1時間以内に、上から順に現れます。

〇鼻水・鼻づまり
〇咳
〇喘鳴(息をするときにのどがゼーゼー、ヒューヒューと鳴る)
〇呼吸困難
〇顔面の紅潮
〇目の充血
〇吐き気
〇腹痛
〇下痢


 薬に含まれていた原因物質が体から出ていけば、症状が和らぎます。そして軽い症状なら半日程度で回復しますが、重症になると24時間以上続き、窒息による意識消失から死に至るリスクもあります。


 内服薬に限らず、以前に薬で喘息発作を起こしたことのある人は重症化しやすいので、注意が必要です。同じ種類の薬の使用は避けましょう。

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