【ほったらかし投資勉強会】成功は再現性が低く、失敗は再現性が高い

 私事ではありますが、30年以上働いてきて、実感するのです。

成功は再現性が低く、失敗は再現性が高い

 成功した人のマネをしても、なかなか成功に至りません。逆に成功した人が、その成功体験をもって同じことを何度も繰り返し、失敗した例を知っています。

 失敗した人のマネをすると、簡単に失敗します。そのデータを失敗学会が失敗知識データベースとして蓄積しています。
○失敗学会

○失敗学のすすめ

 さて、ネット上には「50万円を50億円に増やした」「5年で1億ためる」「巨富を築く」という成功体験の文言が踊っています。
 こうした文言が使われている本を確認したところ、バリュー投資(割安株投資)とグロース投資(成長株投資)という、東証マネ部!でも紹介されている代表的な運用スタイルの紹介でした。

 この2つのスタイルは、アクティブ・ファンドで採用されています。そして、インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの運用成績を比較すると、インデックス・ファンドのほうが優位という結果が出ていると、『ほったらかし投資術』(朝日新聞出版)では書かれていました。

 その理由として、次が述べられていました。

 市場が「効率的」とは、市場で形成される資産価格(株価など)は、情報を瞬時に正確に反映するのでアクティブ運用にチャンスが生じない状況を指しますが、現実の市場では株価の誤りや、情報への反応の遅れ、または過剰反応などが頻繁に起こっていて、市場は理論化が想像したような意味での「効率性」からは程遠い状態にあります。
 しかし、これを利用して儲けようとする側の人間の能力がごく限られていることと、個々人の投資判断能力の差が安定しない状況にあることが、特定のアクティブ運用者が勝ち続けることが難しいことの原因でしょう。

 もちろん、「勝ち続けることが難しい」とはいえ、果敢にチャレンジして勝つ人がいて、そうした人がネットなどで情報を発信しているのでしょう。ただ、情報発信者をあてにして、やり方をまねて運用しても、うまくいくとは限りません。
 チャンスはあるものの、それは賭けと似たような印象。

 そのため、経済的独立を達成するための投資とは切り離し、あくまでも娯楽の範囲で「50万円を50億円に増やした」「5年で1億ためる」「巨富を築く」手法を試してほしいと思います。
 

 最後に、バリュー投資(割安株投資)とグロース投資(成長株投資)をまとめておきます。

 ウォーレン・バフェット氏が採用しているバリュー投資は、株式の本来の価値よりも安いと判断する銘柄に重点を置き、市場平均を上回る収益率を上げようとする運用です。PER(株価収益率、割安度を測る)やPBR(株価純資産倍率、企業の価値と株価が一致していないこと)、その他の株価評価尺度を使って、相対的に割安な銘柄を見つけようとします。企業価値に比べて株価が割安な銘柄に投資するというファンダメンタルズ(経済のマクロ面あるいは個別企業の財務状況などのミクロ面についての指標)を重視した投資法ともいえます。

○PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり当期純利益 ※PERが15倍超であれば割高、15倍未満であれば割安
○PBR(倍) = 株価 ÷ 1株当たり純資産

●グレアムのミックス係数 PBR(株価純資産倍率)×PER(株価収益率)< 22.5
●ネットネット株:現金などの流動資産から総負債を差し引いた「正味流動資産」の3分の2よりも時価総額が小さい銘柄
『株で億兆の富を築く バフェットの法則』

バリュー投資の父ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』




 ピーター・リンチ氏が採用しているグロース投資は、利益の成長率が高い銘柄に重点を置き、利益成長に伴う株価の上昇で収益を上げようとする運用です。個々の企業やビジネス分野の調査がベースで、ROE(自己資本利益率、収益性を測る)はグロース株を見つける上で重要な指標の一つです。

○ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
○伸び率(売上高) = (当期の売上高ー前期の売上高) ÷ 前期の売上高


■ 『ほったらかし投資術』 以外の主な参考資料
アクティブ運用の2つの「投資哲学」について

バリュー型とグロース型

グロース株とバリュー株の違いとは?指標を使った見分け方も紹介

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