人生を無駄遣いしないように『頭に来てもアホとは戦うな!』
一度しかない人生だから、自分にとって大切なことにエネルギーを注ごう!
『頭に来てもアホとは戦うな!』(著/田村耕太郎 朝日新聞出版)は、そんなメッセージが込められた一冊です。
●正義感が強い … 「成敗してやる」「説教してやる」と怒りに固執する勧善懲悪思想
●自信にあふれる … 「自分が正しい」「自分のほうが頭がいい」「相手を論破できる」「相手に勝てる」という自信
●責任感が強い … 「自分のせいで」と背負い込む勘違い
●プライドが高い … 他人と張り合って自分を見失う未熟者(大人の癖に……)
●おせっかい … お人好しで純粋
これらが、アホと戦うアホの特徴。
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ヨッ、正義の味方! |
つまりは、アホと戦うアホはナイーブ(英語本来の意味は「子どもっぽい」)ということ。
日本社会だと、議論は個人の人格攻撃と捉えられがちで、吹っ掛けると敵を増やすことになりかねません。
だから、「無駄に戦わない」「戦うべきタイミングと相手を選ぶ」ことが大切になるのです。
ムキになってアホと真正面から関わっても、また、「どうしてあなたはアホなのか」を説明しても、憎まれたり恨みを買ったりするだけで、いいことは一つもありません。
〇精神状態が多少おかしい
〇イライラして切れやすい
〇将来の不安から自暴自棄になっている
〇高圧的な態度で、バカな屁理屈を組み立てる、いわゆる「論破」好き
このようなアホに絡んでいくのも、絡まれるのも、時間とエネルギーを無駄にするので損をするだけです。
アホをたしなめたとしても、子どもっぽい自己満足が得られるだけで、自分の評判は逆に落としてしまいます。
たしなめたことで「恥をかかされた」とアホはこちらに憎しみを覚え、面倒くさい事態に陥ってしまい、周囲からは「やっちまったな」とあきれられてしまうからです。
また、アホから、これまたアホな理屈で「論破」されて、すっきりしない嫌な気分になっても、仕返し・リベンジ・腹いせ・蒸し返し・過剰な深読みや、やけ食い・アルコールで気を紛らわせるのはやめておきましょう。
覆水盆に返らず。
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太公望(呂尚)が、復縁を求めてきた妻に対して言った言葉とのこと |
時間は巻き戻せません。過去の遺物にこだわって、将来的に憎まれたり、体調を崩したりして、傷を深めるのは愚かな行為です。
アホは承認欲求を満たしたいから、誰彼かまわず絡みたいだけです。その点において、こちらが相手にしてあげないことが最大の仕返しだといえます。
とても大切な存在ならばともかく、そうでないアホの誤りをわざわざ指摘する必要はありません。
そして、真正面からの議論を避けたほうが、前向きな成果が得られます。日本では、議論が個人への人格攻撃ととらえられる場合があります。ですから、議論を吹っかけたことで、時間やエネルギーだけでなく、自分の評判も失うことになりがちだからです。
また、自分の誤りは、さっさと認めてしまったほうが省エネということになります。
議論の勝敗は、相手と自分ではなく、聴衆が決めます。間違えを認めた態度を聴衆が評価したら、それで議論は勝ちになるわけです。言い負かした者や正しい者が勝つとは限りません。
ちなみに、名著といわれる『人を動かす』(著/デール・カーネギー)には、以下が書かれているそうです。聴衆は、こんな原則を守る人を認めるともいえるでしょう。
■人を動かす3原則
1 批判も非難もしない。苦情もいわない。
2 率直で、誠実な評価を与える。 → 相手を認め、顔を立てる
3 強い欲求を起こさせる。 → 相手の立場に立ち、相手と自分に共通の利益を見つけ、提示する
■人を説得する原則
1 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
2 おだやかに話す。
3 相手が即座に"イエス"と答える問題を選ぶ。
4 相手に思いつかせる。
5 人の美しい心情に呼びかける。 → 正直で公正な人間として扱われると、なかなか不正はできない
アホへの批判・非難・苦情、あるいは誤りを指摘するおせっかいのためにエネルギーを費やすよりも、自分のために時間とエネルギーを使ったほうが充実した人生になります。
正しくありたい・好かれたい・認められたいという気持ちが強いあまりに、人生を無駄遣いしないように。
■人を動かす3原則
1 批判も非難もしない。苦情もいわない。
2 率直で、誠実な評価を与える。 → 相手を認め、顔を立てる
3 強い欲求を起こさせる。 → 相手の立場に立ち、相手と自分に共通の利益を見つけ、提示する
■人を説得する原則
1 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
2 おだやかに話す。
3 相手が即座に"イエス"と答える問題を選ぶ。
4 相手に思いつかせる。
5 人の美しい心情に呼びかける。 → 正直で公正な人間として扱われると、なかなか不正はできない
『孫子の兵法』には、「敵の10倍の戦力であれば、敵を包囲すべきである。5倍の戦力であれば、敵軍を攻撃せよ」と書かれているそうです。
言い換えると、五分五分や2~3倍程度なら、攻撃しないほうがいい、もっと言えば逃げたほうがよいということになるでしょう。
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photo/Visually Us |
そうなってくると、相手の状況と力量が把握できない限りは、アクションを起こさないほうがいいわけです。反射的な行動はNGで、カッとしたときには幽体離脱して、自分を上から観察するように意識をするといいそうです。よく使われるのは「俯瞰的に見る」という言葉ですね。
相手と自分を観察して、相手にアップサイド(将来の見込み)がありそうなら関わる、そうでなければ一目散に逃げて、お互いに忘れるのが幸せなことなのです。
人生は一度きり。いつ、私の大事な人たちとの別れがやって来るのかは、わかりません。
自分の人生の核となる人たちとの時間を大切にして、やりたいことを今やっていき、そのときを迎えたほうがよさそうです。
アホへの批判・非難・苦情、あるいは誤りを指摘するおせっかいのためにエネルギーを費やすよりも、自分のために時間とエネルギーを使ったほうが充実した人生になります。
正しくありたい・好かれたい・認められたいという気持ちが強いあまりに、人生を無駄遣いしないように。
戦うべき相手はアホではなく、アホと戦おうとする自分。
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