母親にもサイコパスは存在する 『モンスターマザー』
「まさか、自分の子どもが通う学校のPTAにサイコパスがいるなんて!」
そう思いたくなりますが、母親にもサイコパスはいます。
端的な例が、『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(著/福田ますみ 新潮社)に紹介されていました。高校生の少年を自殺に追い込んだのは、実は母親だったというノンフィクション。
この母親は執拗に学校関係者を責め立て、マスコミや教育評論家を巻き込んでいきます。その結果、少年の自殺は大きなニュースへと発展していきます。
平気でうそをつくこの母親は、サイコパスの特徴と見事に合致しています。詳細は本書を読んでもらうとして、「まさか実の母親が……」という思い込みがいかに危険であるかということだけお知らせしたいと思います。
では、サイコパスにはどのような特徴があるのでしょうか。
『診断名サイコパス ー 身近にひそむ異常人格者たち』( 著/ロバート・D・ヘア 早川書房)には、サイコパスを見分けるためのチェックリストが掲載されています。
◇精神病質チェックリストの概要
<感情/対人関係>
● 口達者で皮相的
● 自己中心的で傲慢
● 良心の呵責、罪悪感の欠如
● 共感能力の欠如
● ずるく、ごまかしがうまい
● 浅い感情
<社会的異常性>
● 衝動的
● 行動をコントロールすることが苦手
● 興奮がないとやっていけない
● 責任感の欠如
● 幼いころの問題行動
● 成人してからの反社会的行動
PTAなどの地域活動の場合は、サイコパスは以下の行動を取ると推測できます。以下のような人物はいませんか。
□ボランティアという前提を無視して、「長」のつく係という理由だけで、周囲の人間に指示や要求を行う。それが、どんどんエスカレートする。
□その指示や要求の目的は、周囲の人間にはいまひとつわからない。しかし質問すると逆ギレするので、周囲は口をつぐむしかない。
さらに、平気でうそをつくし、自分でも何を言っているのかわからないままにペラペラとしゃべり続けます。『診断名サイコパス ー 身近にひそむ異常人格者たち』には、次のように書かれていました。
同じ人間の口から、嘘だけでなく、いくつか矛盾した発言が発せられている。聞き手がとまどってあたりまえだ。まるで、サイコパスはときに自分がなにを言っているのかわからなくなり、たがいにつながらない言葉や考えが入り組んできてもいっこうにかまわないかのようだ。
サイコパスにはこれといった目的はなく、周囲の人間をただコントロールしたいという欲求だけが強いようです。
どうしたら周囲をコントロールできるのかに敏感で、学習するので、サイコパスは相手の目を熱っぽく見つめたり、身体的な距離を縮めたり、芝居がかった動きをしたりするとのこと。
心理的な面でもし相手に弱点がいくつかあれば、サイコパスはかならずそれを見つけだして利用し、相手を傷つけて当惑させたまま放り出していく。
子育て中の母親というものは、悩みが尽きないものです。そのような悩みや困っていることをサイコパスは嗅ぎ出して、フレンドリーに急接近してきます。
「私と一緒」
「私だったら力になれる」
しかし、サイコパスは他人をコントロールしたいだけ。傷つける言葉や共感するような言葉を投げかけてきて(アメとムチ)、右往左往する姿が見たいようですね、サイコパス自身に自覚があるかどうかは別として。
ところで、映画やドラマでは、残忍だがとても頭が切れるという人物設定でサイコパスが描かれています。これは事実と異なり、通常の人間と同様、高い知能を持つ天才もいれば低い知能の凡人以下もいるのだそうです。
知能の低いサイコパスは、おそらく、会社では出世できないでしょう。というより、うそをつくから解雇されるケースもあるかもしれません。その結果、劣等感をくすぶらせ、ボランティアの場で「長」になろうとしたり、しつこくクレームをつけたりすると考えられます。
サイコパスな母親への対応として、基本的には、たっぷりと距離をおいて、紋切り型の対応をすること。話し合いは平行線で終わることを念頭に置いたほうがいいでしょう。
「子どものためを思って、ここは穏便に」とサイコパスの要求をのんでいると、次第に心が病んで、逆に子どものためにならないかもしれません。母親の精神的な健康は、子どもにとって大事だからです。
サイコパスはいかなる人間同士の交流も、"餌をまく"チャンス、競い合い、あるいは相手の意志を試す機会として見る傾向があり、そこにはひとりの勝者しかいない。彼らの動機は人を操作し、奪うことなのだ。
以下の言動を取る人は、サイコパスの可能性があるので「同じ母親同士だから」という油断は禁物です。
●頻出ワード
「あなたと私は似ている」「あなたの気持ちがよくわかる」
「私はあなたのためにやってあげた」
悪いことをやった後で「誰にも言わないでほしい」
「そんなことは言っていない」
●言動
オーバーな言動をする支配欲が強く、上下関係を作ろうとする
権威や所属感を重視する(孤独感が強い)
常習的に、ありえないようなうそをつく(経歴詐称)
協調性や忍耐が求められるチームワークが苦手
うそ・不正が暴かれても恥じることはない(恥や罪の意識が欠落)
すぐに「自分こそ被害者」「不当な扱いを受けている」といった態度を取る
●実例
「福岡篠栗5歳児餓死事件」の赤堀恵美子(48)容疑者は、サイコパスの特徴と合致しています。
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毎日新聞サイトより |
子育て中の母親というものは、悩みが尽きないものです。そのような悩みや困っていることをサイコパスは嗅ぎ出して、フレンドリーに急接近してきます。
「私と一緒」
「私だったら力になれる」
こんな言葉で、ターゲットを取り込んでいくわけです。
赤堀恵美子容疑者については、見た目も太っていて、「まさか、これでサイコパスなの?」と不思議に思う人もいるでしょう。
![]() |
東京新聞サイトより |
サイコパスで有名になったのは「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターで、「恐ろしく頭が切れる」「シャープ」という印象を私たちに植え付けました。
実際は、違います。
愚鈍でだらしがなく、すぐばれるウソばかり繰り返すサイコパスも珍しくありません。
これまでに数人、サイコパスに出会ってきたのですが、その半数が男女問わず赤堀恵美子容疑者にそっくりの「親しみやすい体形」という印象。
それで、多くの人が油断してしまうのかもしれませんが、粘着力はハンパありません。さらに「いい人」を嗅ぎ分ける嗅覚もハンパないのです。
顔のよしあしや体形、雰囲気に関係なく、サイコパスは私たちの周囲に普通に存在しています。
そして福岡のサイコパス事件といえば、以下の2つ。
〇太宰府市主婦暴行死事件(2020年)
〇北九州監禁殺人事件(2002年)
太宰府市主婦暴行死事件でも、子どもを持つ母親が狙われました。
核家族化が進み、家庭というのは親子だけの密室になりがち。また、母親の多くが、夫への不満や子どもへの心配などの悩みを抱えていて、サイコパスの標的になりやすいといえます。
5歳児餓死事件で、我が子を餓死させた母親の碇利恵容疑者について、ネット上では非難する声も多数上がっています。
しかし、サイコパスについて無防備である限り、私たちの誰もが碇利恵容疑者のように取り込まれていくリスクがあるのです。
繰り返しますが、赤堀恵美子容疑者も母親。つまり、自分にも子どもがいるにもかかわらず、他人の子どもを餓死させるという行為を行っています。
母親だから
幼稚園のママ友だから
ぽっちゃりしていて親しみやすいから
地元の人だから
地域の活動で出会ったから
そんな理由で、油断はしないほうがいいということ。サイコパスは、いつも寄生するターゲットを狙っています。
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