2-3 積極的に取り入れられている運動療法

 2-3 積極的に取り入れられている運動療法

 慢性腎臓病の治療については、食事療法が中心です。腎臓の機能低下を招いている病気の治療とともに、患者さんのステージに合わせた食事指導が行われています。

 一方、運動療法については、血圧がコントロールできなくなっている、むくみがひどくなっているといった症状がひどく悪化している場合ではない限り、ほとんどの患者さんに指導されています。
 筋肉こそ力なり。
 腕や足などを動かす筋肉(骨格筋)からは、マイオカインという物質が分泌されていて、腎臓などの器官を保護する働きなどがあるとわかっています。加えて、マイオカインは脳に働きかけて、認知機能の向上やストレスの軽減を促します。
 なにより、日常動作をスムーズに行うには、筋肉は必要不可欠です。

 実は2010年頃までは、慢性腎臓病の標準治療として運動制限が行われてきました。体を動かすことで手足の筋肉に血液が送られ、腎臓の血流が減って機能が低下すると考えられていたのです。
 しかし最近では、むしろ運動で筋肉を維持したほうが腎臓の機能が保たれる、場合によっては回復することがわかり、運動が積極的に取り入れられています。

 運動は、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満の改善につながります。
 そして、運動した時点では手足などの筋肉へ血液が集まっていても、その後は腎臓を含めた全身の血流がよくなります。「ちょっとヘトヘト」という強度の少し強い運動をした後は、タンパク尿が増えるなどしますが、一時的なものです。
 運動に限らず、散歩したり、軽く体操したりして体を動かすことは、気分転換につながります。
 現在では、透析療法を受けている患者さんにも、積極的に運動療法を指導している病院があります。血液透析では週3回、1回当たり4時間を体を動かさずに過ごすことから、活動量が減って筋力低下につながりやすいためです。透析治療中に、ベッドの上で下半身の筋肉を鍛えるトレーニングを患者さんに指導している病院もありました。

 運動療法の代表的なものが、ウォーキングです。目安は次のとおりです。
○1回30分
○ウォーキングを含めた1日の歩数は6000~8000歩
○週3回
○普段の呼吸が保てる範囲(いわゆる「ニコニコペース」)
○こまめな水分補給

 朝起きた後や空腹時、食後1~2時間は避けて、安全に運動療法を行いましょう。慢性腎臓病のステージがG4(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)の場合は、主治医と相談して運動療法を取り入れるようにします。

■主な参考資料
『腎不全の緩和ケア』(監修/東京ベイ・浦安市川医療センター 鈴木利彦 南山堂)
腎臓内科医から見た腎不全患者の緩和ケアの現状と課題
柴垣 有吾

 我々は保存期CKD患者へのperson-centeredケアへの取り組みの1つとして、積極的な運動介入を行っている。(中略)優位に身体機能を向上させるだけでなく、なんと認知機能も改善することを示してきた
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