小さく始めて、少しずつ賛同者を巻き込み、持続可能な形が見えた段階で組織化する 地域コミュニティの作り方
市民団体やNPOなど地域コミュニティをいくつか観察したのですが、空中分解するケースは少なくありません。
空中分解の原因として最も多いのは運営費。「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉どおりです。例えば演劇を行っている団体は、練習場や舞台を借りる費用が必要となるわけですが、会費だけではまかなえないようで、存続の危機を訴えつつ寄付を呼びかけていました。
非営利団体の場合、助成金(民間の財団などによる)と補助金(行政による)が活動の資金になりがちですが、なかなかに競争率が高いものです。また、「1回は受けられたものの、2回目以降はダメだった」という話も耳にしました。助成金や補助金を得るには、そのための戦略をかなり練る必要がありそうです。
理念はどんなに素晴らしかろうと、何をするにも結局はお金。コミュニティが大きくなればなるほど、運営費もかさむ傾向がありました。逆をいえば、お金が集まらないうちは、コミュニティの規模と活動をコンパクトにしておいたほうが無難ということ。「お金は後からついてくる」というのは、景気がよかった頃のお話です。
もう一つのポイントが、メンバーの同質性です。似た者同士ほど、トラブルが発生するとなぜか非常にこじれるという傾向が見られました。
人間関係でトラブルを起こすのは、時間の無駄。コミュニティ存続のためであれば、たとえ気の合う相手でも必要以上に深入りせず、つかず離れず程度がちょうどいいでしょう。
多様性を保つには、自己主張が激しい人、正義感や思い込みが強い人、マウントを取ろうとする人、マルチ商法の人とは、大きく距離を取ったほうがよさそうです。こうした人は異なる意見を持つ人を敵視する傾向があり、穏やかに活動したいと望む多数派が敬遠するからです。自己主張が激しい人は広報活動などに手を挙げがちですが、できるだけ表に出ないポジションにいてもらうことをお勧めします。
一般論として、気に食わないと思う機会が多い人については、周りが悪いわけではなく、自分が「これだけが正しい」と思い込んでいるのです。
気に食わないことに、いちいち目くじらを立てない。
気に食わない人でも、避けない。
相手と自分は別の人間なのだから、考え方や感じ方が違うのは当たり前のことです。「気に食わない」「嫌い」などと自分の主張ばかりしていたら幼稚な人だと思われるので、気をつけたほうがよさそうです。
気に食わないことをいちいち解決していると、人生なんてあっという間に終わってしまいます。ですから、あまり深くは考えず、やりすごすといいでしょう。永遠にペンディングでもかまいません。
嫌いな人と無理につきあう必要はないものの、友人レベルではなくコミュニティの一員レベルだったら適当な距離感を保てるでしょう。メンバーのいい面だけを見て活動をし、互いに依存せず、少しでも一致しているところがあれば「まあいいか」と妥協して、それ以外の部分はペンディング。コミュニティの運営では、程よい距離感が大事です。
コミュニティの立ち上げ時には熱意や善意の塊であっても、1年ほどたつと薄れていくものです。「続けるのも大変だから解散かな……」と思ったところで、赤字があると誰かが責任を取る必要が発生して、身動きが取れなくなるのではないでしょうか。
その点では、時間とお金をかけて最初から組織化を目指すのではなく、毎月1回の無料の勉強会などを小さく試して、将来像や目的が固まってから組織化するほうが負荷が少ないはず。
また、組織化においては、同じメンバーで固定する必要はなく、目的その他に応じて入れ替えて、仲よく、楽しく運営できる形を保てればいいでしょう。地域コミュニティは、基本的に非営利で、仲間であっても友人ではありません。
異常を踏まえて、今回は、持続可能なコミュニティの作り方を検討しました。
将来像 (Vision)や目的 (Purpose)は理解しやすい言葉にする
○シンプルで端的→「誰が何について、何をすることで、どのような人にどんな形で役立つか」というフックを提示
○素朴な欲求に根差す言葉(NG例として「新しい風を吹き込む」という抽象的な言葉)
マズローの欲求階層説
生理的欲求: 食・睡眠・排泄などの生命維持
安全の欲求: 秩序、健康、経済的安定(金)、危険の回避
所属と愛の欲求:出会い、 グループに所属(帰属意識)、孤独の回避
承認の欲求: 認められたい、褒められたい、愛されたい
自己実現の欲求:成長したい、達成感を得たい
※仕事はすべての欲求に関係しがち
| 出典:看護roo! |
○欲求を絞る
○早く小さく試行しながら、少しずつ目的の解像度を上げる(最初に目的を固める必要はないし、頭の中だけで理屈をこねくり回さない)
発信する情報を絞る
○受け取る側の「自分とどのような関係あるのか」「自分の価値にどう繋がるのか」という疑問を解決する情報に絞る
○簡潔に示す
調整や運営をフォーマット化する:負荷を減らす
○見極め:無用の活動を効率化しても無駄であるのに変わりない
○心理的・物理的負荷を減らす仕組み:マニュアルやテンプレート、運営メンバーなど
○定例化:毎年1回、夏などとあらかじめ決めておく
○行きつけの場所やたまり場:イベントを設定する必要がなく、「今日もいるかな」と顔を出しやすい
※会議や懇親会で予定が埋まっても、何も生み出していないことは多々ある
固定費をゼロにする:負荷を減らす
運営スタイルを決める:負荷を減らす
3つのスタイル
主催者が判断するワンマン:トップダウン
少人数の運営メンバーで話し合う
全員の意見を持ち寄る:ボトムアップ
○1つのスタイルに絞る→「ボトムアップとしておきながら実際はトップダウン」というダブルスタンダードは不信感のもと
○コミュニティに貢献することで欲求が満たされる仕掛けを作る
○ボトムアップの場合、解決策が出るまでに時間がかかる(会議に時間が取られて前に進まない)
知名度は後で上げる
○「とにかく、何かしていていたい」が動機だと、イベントなど、目立つことや流行りものに手を出しがち
○人を集めるために知名度を上げる必要はない(モチベーションのある人は知名度がなくても寄ってくる)
※趣旨をよく理解せず、出会いだけを求めて参加する人が増えるとトラブルが発生して運営者への心理負荷が重くなる
やたらつながりを増やそうとしない
○価値観の合わない人との話のすり合わせは疲れる
○会議や懇親会などで忙しいときには何も生み出していないことが多い
○悪貨は良貨を駆逐する:フリーライダー(タダ乗りする人)やマルチ関係者などが現れて、本来いてほしい人が遠のく
○社会的地位が高くてもコミュニティの趣旨を理解できない人は参加を断る
定期的に更新する
○運営メンバーが固定されると組織が腐りがち→新人が入らず古参メンバーも足が遠のき、活動ではなくコミュニティの維持自体が目的となる→運営費が集まりにくく空中分解
○更新時期を決めておく(多くの企業だと4月が異動シーズン)
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