世の中のほとんどの人は「好意的な読者」ではないという現実に気づくことが、文章上達の第一歩

 作文教室で強調してきたのは「世の中のほとんどの人は好意的な読者ではない」ということ。

 自分が書いた文章を丁寧に読んでくれるのは、とても仲の良い友人ぐらいです。世間の人は、それほど親しくない人の文章には興味を抱かないうえ、誤読するのが当たり前と考えたほうがいいでしょう。

 それでも、自分が書いた文章を読んでもらいたい、自分の考えと気持ちをわかってもらいたいと望むのならば、「わかりにくさ」を取り除くことが大切です。

 文章の「わかりにくさ」が発生する理由は、次の7つ。
(1) 書き手が、書く目的を見失っている
(2) 「読んでもらいたい」「わかってほしい」という謙虚さがない
(3) 主語と述語、形容詞と形容される言葉の対応がわかりにくい
(4) 事実・推測・意見の区別がつかない
(5) 推測・意見に根拠がない(独りよがり)
(6) 思いつくままに書いている(書く前に、内容を整理していない)
(7) 段落の順番が混乱している
 この7つと逆のことを行えば、わかりやすくなるわけです。

 

 名文については、読み手の好みの問題。一方の悪文は、小説だろうがエッセイだろうが説明文だろうが条件が共通しています。「This is 悪文」は提示できるのです。
 表現を盛るよりも悪文を減らすことが、文章上達の第一歩。

 どんなに立派な内容でも誤字脱字が混ざると文章全体の信用度が下がるように、悪文が混ざると読後感が残念な文章になりがちです。
 ですから、すごい文章を作ろうと励むよりも、悪文を減らすように注意するほうが、文章全体の印象をグンと上げることにつながるわけです。

■作文ワークショップの内容

1 基本のルール
句読点、記号の使い方
主語と述語の対応
修飾語と被修飾語の対応

2 順序・統一
○縦書きの文 上から下に書く
○横書きの文 左から右に書く
○時間 過去から未来へ流れる
○思い出 現在から過去へさかのぼる
○地図 北を上にして描く
○呼び名 姓や名、愛称をごちゃまぜにしない(表現の統一)

3 区別 
意見と事実
発言と思い

4 整理
書く前の準備
読み手の設定

5 短文を書く
手紙を書く(苦情の手紙)

6 長文を書く 
文章の構造
表現の多様性(語彙力)

7 推敲
リズム
接続詞
具体性



■接続詞の使い分け

付加 そして、しかも、および、かつ
選択 あるいは、または
換言 つまり、すなわち、要するに
例示 例えば
対比(前と後は同じ重み)(逆接) しかし、ところが、だが
転換(前よりも後を言いたい)(逆接) しかし、ところが、だが
補足(後よりも前を言いたい)(逆接) なお、もっとも、ただし
条件 なら、れば、たら、
譲歩条件 しても、したところで
理由 なぜなら、というのも
帰結 ので、だから、それゆえ


■根拠とは

理由 「なぜ?」の答え
原因 因果関係を説明
根拠 結論(主張)の説得力を強めるために挙げる理由
※循環論法 論理学で、論点先取の虚偽の一。証明すべき結論を前提に用いる論法。循環論証。
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