発達障害が糖質制限で治せる可能性も! 不登校が解消し偏差値もアップ

 2012年に文部科学省が行った調査で、全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立の小・中学校の通常の学級に在籍する児童・生徒の6.5%に「発達障害」の可能性があると示されています(「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」)。
 つまり、1クラスに1~2人の割合で、発達障害の子どもがいるということです。

 発達障害は、次の3つに分類されています。
●自閉症スペクトラム
 アスペルガー症候群や自閉症などを含む発達障害。他人とかかわることやコミュニケーションが困難で、こだわりが強く、反復行動が見られる。
●学習障害(LD)
 知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論するという5つの能力で困難さを抱えている。
●注意欠陥・多動性障害(ADHD)
 不注意、多動性(じっとしていられない)、衝動性の3つの症状が見られる。

 調査で発達障害の可能性があるとされた子どものうち、学習面で著しい困難を示していたのは4.5%、行動面で著しい困難を示したのは3.6%、学習面と行動面ともに著しい困難を示しているケースは1.6%と報告されているます。

 この調査は通常の学級が対象なので、特別支援学校などの児童・生徒は含まれていません。そのため、子どもたち全体で考えると、発達障害の割合はさらに高くなるでしょう。

 「私は47年にわたって教員や塾講師として子どもたちに接してきましたが、昔はこれほどまで発達障害の子どもは多くいませんでした。自分の子ども時代では考えられないことですよ」と語るのは三島塾塾長の三島 学氏。
 発達障害が増えた原因として考えられるのが、食生活なのだそうです。



不登校の解消や偏差値アップなど
数々の実績がある

 三島塾は「糖質制限」の食事を子どもたちに提供している、ユニークな学習塾。
 この塾には難関校を受験する子どもだけでなく、不登校の小学生、学習障害の中学生、21歳の浪人生、36歳で再受験を目指している大人も通っています。不登校が解消した、親への暴力がやんだ、偏差値がアップしたという、数々の実績があるからです。「学習障害と言われていた子どもも、東大に行けたんですよ」と三島氏。

 「発達障害は生まれつきだから治らない」というのは大きな誤解のようです。


 糖質制限とは、たんぱく質・脂質がたっぷりと含まれている肉類や卵、チーズなどを食べて、糖質を摂取しない食事法。
 なぜ糖質制限で発達障害が改善したのか。その理由を三島氏は人間の脳の成り立ちで説明しています。

 「脳を構成しているのは脂質が約60%、そしてたんぱく質が約40%です。このことから、脳にとって重要なのは脂質とたんぱく質だとわかりますね。『脳が働くためには糖質が必要』というのは大間違い。私たちの体は脂肪やたんぱく質から『ケトン体』を作れ、ケトン体が脳のエネルギー源になっているんです」

 過去の栄養学では、糖質の一種であるブドウ糖が脳の大切なエネルギー源になっているため、糖質を含む炭水化物の摂取は欠かせないものと教えられてきました。しかし三島氏は、糖質は不要どころか、脳に悪影響を与えると話します。

 「糖質の摂取で急激に血糖値が上がります。するとインスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げるわけですが、このときに猛烈な眠気などが起こります。
 さらに下がり過ぎれば、今度は血糖値を上げるアドレナリンというホルモンが分泌されるんです。アドレナリンは筋肉を緊張させたり、血圧を上げたりします。ですからアドレナリンが出ていると落ち着かず、イライラしてしまいます。多動性や衝動性と結びつくわけです」

 発達障害の症状を、食事に含まれている糖質が引き起こしているということです。

 子どもの脳の成長に、脂質とたんぱく質がたくさん必要だと、三島氏は強調します。発達障害の子どもには脳の栄養が不足しているため、糖質など取っている余裕はないのです。

「まず野菜」はNG!
「まずお肉」を子どもに勧める

 「食事の最初に野菜を食べるという『食べ順ダイエット』というものが流行しましたが、成長期の子どもには不向きです。野菜に含まれている食物繊維でおなかがいっぱいになってしまって、大事な脂質とたんぱく質が十分に摂取できません。最初に食べるべきなのは肉類や卵、チーズ。例えば唐揚げを子どもが満足するまで食べさせたら、もうご飯はいらなくなっちゃんですよ」と三島氏。

 大事な我が子に発達障害の可能性があったとしても、将来を悲観する必要はまったくありません。クヨクヨと悩んだり、涙を流したりする暇があったら、糖質まみれのお菓子などをすべて処分して、脂質・たんぱく質がたっぷり含まれている肉類や卵などを買ってきましょう。

 子どもの発達障害は食事で治る可能性があるのです。三島氏が指導してきた子どもたちが、それを証明してくれています。


三島 学(みしま・まなぶ)
三島塾塾長。1950年、宮城県生まれ。大東文化大学大学院中国学博士課程修了。高校教員、代々木ゼミナール予備校講師を経て、2008年、三島塾を立ち上げる。一貫して教育に携わり、40年を超える経験を活かした教育指導には定評がある。

※この記事は、2018年7月19日に三島氏をインタビューした内容をもとに作成しています。最新情報は三島氏に直接お尋ねください。


文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
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