10代女子にも増えつつある尿漏れ! 早急に骨盤底筋群トレーニングに取り組もう

 長寿化・社会の高齢化が進むとともに、尿漏れや頻尿といった「シモの病気」に注目が集まっているのですが、思いがけない話題に驚きました。

 「10代の健康な女子の中にも、尿漏れで悩んでいる子がいるんですよ」

 そう教えてくれたのは、骨盤底筋群トレーニングのインストラクター。彼女のもとには、10代女子も訪れるのだそうです。

 「ジャーッと漏れるのならともかく、チョイ漏れ程度ならば尿パッドなどで対処できますよね。それに『恥ずかしい』ということもあって、泌尿器科を受診しないようです」

 もしかしたら、シモの病気の潜在的な患者数は、意外に多いのかもしれません。
 しかし10代女子は今のうちに対処しておかなければ、出産後に尿漏れが悪化したり、高齢になって子宮脱や直腸脱に悩まされたりする可能性があります。「恥ずかしいから……」「とりあえずパッドで……」と放置せずに、骨盤底筋群のトレーニングに取り組むことをお勧めします。

尿漏れは
骨盤底筋群の衰えが原因
 
 骨盤底筋群とは、その名のとおり、骨盤の底(下部)にある複数の筋肉の総称です。
 骨盤の中にある肛門、直腸、膣、子宮、膀胱などの臓器は、骨盤底筋群がハンモックのように支えています。そのため、骨盤底筋群が衰えると、尿漏れだけでなく、子宮が垂れ下がって膣から出てくる「子宮脱」、直腸脱が肛門から出てくる「直腸脱」が引き起こされやすくなるのです。

 女性だと、妊娠・出産をきっかけに尿漏れに悩まされるケースが多々あります。インストラクターの女性もそうだったのですが、徐々に悪化してチョイ漏れでは済まなくなり、紙おむつを着用するようになったのだそうです。ご本人はとても若々しく見えて、「まさか、この人が尿漏れで紙おむつ?」と意外に思いました。

 シモの病気関連でさまざまな人にお話を聞いたのですが、「尿パッドが不快だった」「かゆくなった」という声は少なくありません。そのような人に対して「パッドやおむつを着けていればいいじゃないか」と言っても、なんの助けにもならないようです。

 また、「年を取ったのだから、尿漏れなどは仕方のないこと」というのも誤解のようです。

 「加齢が原因だったら、10代の女子は尿漏れになりませんよね」

 そうきっぱりと、インストラクターは話していました。彼女には高校生の娘がいるそうですが、体育祭に行ったときに驚いたのだそうです。

 「しゃがめなくて、突っ立っている女子がけっこういたんですよ。どうも筋力が弱っていて、ずっとしゃがんでいることがキツイようです。日常生活の中でも、和式トイレを使ったり、床から立ち上がったりする動作が減っていますからね。
 そうそう、電車の中でもパカッと股を大きく開いて座っているでしょ? あれじゃ、筋肉が緩んじゃいますよ」

 昔の生活とは違って下半身の筋力を使わなくなった分、意識して骨盤底筋群を鍛える必要が出てきたといえそうです。

継続すれば筋肉は
何歳からでも鍛えられる

 骨盤底筋群トレーニングをネットで検索すると、さまざまな方法がヒットします。インストラクターの女性によれば、どんなトレーニングでもかまわないけれでも、継続することが大事なのだそうです。
骨盤底筋群トレーニング(看護roo!より)

 上のイラストの姿勢で、「尿を途中で止める」感覚で骨盤底筋群に力を入れます。
 ちなみに、インストラクターの女性は「きんちゃく袋を閉じるように、膣をギューッと縮めてから、引き上げるイメージ」と話していました。

 「最初は『骨盤底筋群に力を入れて』と言っても、ほとんどの人ができません。緩んでいるから、当たり前なんですよ。
 ただ、やり方がよくわからなくても、なんとなくでも続けていれば効果が出てきます。
 それから、あまり熱心にやり過ぎると、途中で挫折してしまうんです。『毎日できなかったから、もうだめだ!』って、まったくやらなくなってしまう。ですから、焦らず、怠けず、とにかく続けることを第一に考えてほしいですね」

 インストラクターの女性も、自己流の骨盤底筋群トレーニングで、1週間で派手な尿漏れが治ったのだそうです。この経験から、さまざまトレーニング方法を研究してインストラクターになり、個人個人に合った指導を行ってきたとのこと。70代の女性でも改善していると話していました。

 骨盤底筋群トレーニングについては、あおむけで行うトレーニングだと骨盤底筋群を比較的意識しやすいのだそうです。立ったり座ったりしている状態だと、臓器が重力で引き下げられて骨盤底筋群に負荷がかかっているため、力を入れにくいのかもしれません。まずは寝て行うことから始めるといいでしょう。

 尿漏れについては、人知れず悩んでいるケースが多く、親子でもなかなか言及しづらいトピックス。ですから、尿漏れの記事が掲載されている雑誌や書籍を食卓の上に置いて、「骨盤底筋群トレーニングで改善する」とさりげなくアピールしてほしいものです。
 骨盤底筋群トレーニングには、一切お金はかかりません。必要なのは、本人の継続する意志だけです。

 骨盤底筋群トレーニングの取材を終えて電車に乗ると、制服姿の女子たちが股をパカーンと開いて座席に座っていました。心の中で、そっと「骨盤底筋群にもうちょっと力を入れて。股をキュッと閉じておこうよ」とつぶやいた次第です。
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