ラーメンは醤油よりとんこつのほうが太りにくい? 血糖値上昇の新事実

 糖化年齢を高くしないために大切なのは、食後血糖値の上昇を抑えることだ(「糖化年齢」については"血糖値が上がりやすい人は老ける? 若々しさを左右する「糖化年齢」"を参照してください)
 その具体的な方法を2018年6月28日に放送の「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京、夜7時58分から)で紹介していたのが、「なごみクリニック」院長の亀川寛大(かめかわ かんだい)医師。

 亀川医師自身が血糖値コントロールを行って、15キロの減量に成功しています。著書で、下腹ポッコリの見事な中年メタボ体形から、スッキリ細マッチョに変身したビフォー・アフター写真が紹介されていました。



 そして、患者さんにも血糖値が上がりにくい食事法を指導しながら、手軽に生活に取り入れられるように血糖値が上がらない外食メニューの調査を行っています。そのデータをもとに、番組では双子のお笑いコンビである「ザ・たっち」に食事法を指導。この2人が体を張って検証したのですが、視聴者の予想を裏切るような驚きの結果が出ました。

 血糖値が上がりにくい食事法はどっちなのか、ザ・たっちによる検証を紹介しましょう。


チーズたっぷりパスタのほうが
食後血糖値が上がらなかった!
 
 ザ・たっちの兄はたくやで、弟がかずや。この2人は身長と体重だけでなく、トイレのタイミングもほぼ同じなのだそうです。
 たくやとかずやは、食後血糖値を調べるために、まず、24 時間血糖値測定器を装着しました。

 そして亀川医師がミッションとして課した外食メニューをそれぞれが食べて、血糖値の変化を調べました。

○ミッション1 ラーメン店でトッピングありとなし
 ラーメン店で、弟のかずやはトッピングなし、兄のたくやはトッピングありを食べるのがミッション。たくやのラーメンには、もやしやタマネギといった野菜が山盛りに載せられ、さらにチャーシューが3枚追加された。たくやのほうが、明らかに食べる量もカロリーも多い。
 ところが、食後血糖値はたくやよりもかずやのほうが先に上がっていったのだ。

○ミッション2 ハンバーガー店でアイスコーヒーか牛乳か
 ハンバーガー店で、ハンバーガーと一緒に飲むドリンクを、弟のかずやはアイスコーヒーに、兄のたくやは牛乳にした。
 すると、食後血糖値はたくやよりもかずやのほうが急激に上がった。

○ミッション3 パスタ店でトッピングありとなし
 パスタ店で、2人ともミートソースパスタを食べる。ただし、弟のかずやはトッピングなしで、兄のたくやはチーズをたっぷりとかけて食べることになった。
 その結果、たくやよりもかずやのほうが食後血糖値はすぐに上がっていった。

○ミッション4 ラーメン店で醤油ラーメンかとんこつラーメンか
 ラーメン店で、かずやはあっさりとした醤油ラーメンを、たくやはこってりとしたとんこつラーメンを食べた。
 すると、かずやの血糖値がどんどん上昇し、140mg/dlに迫る勢い。一方のたくやは、血糖値の上昇が穏やかだった。

 以上のように、私たちが「不健康」「太りそう」と思って敬遠しがちなメニューのほうが、血糖値が上がりにくいという結果が出てしまったのです。

脂質やたんぱく質が
糖質の吸収を穏やかにする

 亀川医師の解説では、脂質やたんぱく質が糖質の吸収を穏やかにするということ。
 ミッション1では、チャーシューが血糖値の上昇を抑える役割を果たしていました。そのため「むしろチャーシューを食べていただきたいですね」と亀川医師がコメント。
 同様に、ミッション2は牛乳の乳脂肪、ミッション3ではチーズの乳脂肪、ミッション4についてはとんこつスープに含まれる骨の髄から出たたっぷりの脂肪によって、血糖値が上がりにくくなったわけです。

 カロリー計算が中心である食事指導では、目の敵にされてきた脂肪。しかし、血糖値を上げないという観点では、むしろ脂肪を上手に摂取して、糖質量を減らしたほうがよさそうです。

文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
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