薬との付き合い方2 さじ加減の見極めが大事

 ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html



 医薬品、つまり薬は、さじ加減が大切。これは、料理とも通じる気がしています。

 例えば塩。スープに加える量が少なすぎると、全然味がしません。しかし、間違って大量に入れてしまったら、そのスープは飲めたものではありません。
 以前に、塩を保存している容器のふたが壊れ、スープにどっさりと塩が入ってしまったことがありました。おそろおそる味見をすると、しょっぱさを通り越して体に震えが……
 身をもって、「使い過ぎはよくない」とわかりました。
 
 塩以上に薬は、使い方を間違えると健康を害するリスクが高くなるものです。

 薬の効果とリスクは、以下の式で表されます。
薬の効果とリスク=用量ー反応関係=薬物曝露時間(薬物と体が接触してる時間)×曝露量(薬物が体の中に入っていった量)

 そして、投与量と効果または毒性の関係は、以下のとおりです。
〇無作用量  何の影響も見られない投与量
〇最小有効量 薬理効果が現れる最小の投与量
〇治療量上限(最大耐用量) 効果は強いが、有害反応が出る一歩手前の投与量
〇中毒量 効果よりも有害反応が強く現れる投与量
〇最小致死量(LD0) 死に至らせる最小の投与量
〇50%致死量(LD50) 動物の半数が死亡する投与量
〇確実致死量(LD100) 動物のすべてが死亡する投与量

※最小有効量~治療量上限が「治療量(臨床用量)」
※最小致死量~確実致死量が「致死量」
時事メディカル中毒〔ちゅうどく〕 より


 治療量を越えた量を1回で投与したら、薬の毒性が現れる危険性は高くなります。
 また、たとえ少量でも、薬を長く使い続けたら、体の組織や臓器の機能を損なうこともあるのです。「薬物性肝障害」はその一例。加えて、がんや胎児の奇形なども発生する可能性があります。

 新たに薬を開発した際には、その安全性を確かめるためにさまざまな試験が行われます。
〇 Good Laboratory Practice(GLP)に準拠した 薬効ー薬理試験、一般薬理作用試験
〇医薬品毒性試験法ガイドラインに準拠した 単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験、遺伝毒性試験、がん原性試験、依存性試験、抗原性試験、局所刺激性試験、皮膚感作性試験、皮膚光感作性試験
〇Good Clinical Practice (GCP)に準拠した 臨床試験

 試験管内での試験や動物実験、臨床試験を経て、安全な治療量を設定することができなければ、薬として販売できないのですね。

 さらに、製造販売後にも調査や試験が行われています。調査や試験、安全管理の基準が、Good Post marketing Study Practice ( GPSP) とGood Vigilance Practice (GVP)です。

 塩などの食品よりも薬のほうが、体に与える影響が大きいため、基準が厳しくなっているわけですね。

■参考資料
時事メディカル中毒〔ちゅうどく〕
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