【ファクトフルネス2】ファクトフルネスのルール

■事実誤認を招いて私たちの心をかき乱す、人間の本能

1.分断本能
2.ネガティブ本能
3.直線本能 
4.恐怖本能 
5.過大視本能
6.パターン化本能 
7.宿命本能 
8.単純化本能 
9.犯人探し本能 
10.焦り本能

Gapminder Slidesより


■ファクトフルネスの大まかなルール
大半の人がどこにいるのかを探そう
悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう
直線はいつかは曲がることを知ろう
リスクを計算しよう
数字を比較しよう
分類を疑おう
ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう
ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう
誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう
小さな一歩を重ねよう

Gapminder Slidesより

 私たち人間は、現実を把握する力がチンパンジー以下のようです。

 理由は何でしょうか。

 つい世界をドラマチックに、悲観的にとらえてしまう人間の脳の問題だと、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の著者であるハンス・ロスリングは次のように語っています。


 人間の脳は、何百万年にもわたる進化の産物だ。わたしたちの先祖が、少人数で狩猟や採取をするために必要だった本能が、脳には組み込まれている。差し迫った危険から逃れるために、一瞬で判断を下す本能。唯一の有効な情報源だった、うわさ話やドラマチックな物語に耳を傾ける本能。食料不足のときに命綱となる砂糖や脂質を欲する本能


 他の動物と比べて、運動能力が高くないうえ、さほど力も強くない人間が数千年にわたって生き延びてこられたのは、こうした本能のおかげです。別の言い方をすれば、楽観的で判断が遅く、他者と協力できず、蓄えも持たない種は滅んだのかもしれません。

 ただ、現代人は、この本能のために心身を病んでいるようです。


瞬時に何かを判断する本能と、ドラマチックな物語を求める本能が、「ドラマチックすぎる世界の見方」と、世界についての誤解を生んでいる。


 「針小棒大」「急がば回れ」といった四字熟語や格言があるということは、本能的な行動で不都合が生じているのは、私たち人間も古くから気づいていたのでしょう。それでも戒めるのは難しいわけです。


 念のために言っておこう。ドラマチックな本能は、人生に意味を見出し、毎日を生きるために必要不可欠だ。すべての情報をふるいにかけ、すべてを理屈で判断しようとすれば、普通の暮らしは送れない。砂糖や脂質を完全に断つべきではないし、手術で感情を司る脳の部位を切除すべきでもない。
 けれども、ドラマチックな本能は抑えるべきだ。さもなくば、ドラマチックなものを求めすぎるあまり、ありのままの世界を見ることはできない。何が正しいのかもわからないままだ。


 ハンス・ロスリングは、私たちは圧倒的な知識不足であると指摘します。

 ちょっと驚きますよね。インターネットの発達で、さまざまな情報を、大量に、瞬時に手に入れられる生活を送っています。それなのに知識不足とは!

 考えてみれば「情報=知識」ではないのです。


訓練を積めば、ドラマチックすぎる世界の見方をしなくなり、事実に基づく世界の見方ができるようになるはずだ。たくさん勉強しなくても、世界を正しく見られるようになる。判断力が上がり、何を恐れ、何に希望を持てばいいのかを見極められるようになる。取り越し苦労もしなくてすむ。


 不平不満が多く、うつっぽい気分に落ち込みやすい人ほど、ありのままに世界を見ることができていないようです。私も気を付けなければと思いました。

 人間が持っているドラマチックな10種類の本能は冒頭に挙げたとおりで、【ファクトフルネス1】未知の感染症によるプチパニック状態にこそ大切な『ファクトフルネス』 でも紹介しました。

 本能に支配されて、感じるままに考えずに行動し、激情に駆られ、他者を批判し、不安・ストレスから砂糖やら脂肪やらをドカ食いして生きるのか。
 本能を知り、知識を蓄え、心穏やかに生きるのか。
 私たちには2つの選択肢があるようですね。


 世界中のすべての人が、事実に基づいて世界を見る日がいつかやって来るだろうか? 大きな変革はなかなか想像できないものだ。でも、そんな日がやってきてもおかしくないし、いつかきっとやってくると思ている。理由は2つ。一つは、正確なGPSが道案内の役に立つのと同じで、事実に基づいて世界を見ることが人生の役に立つからだ。もうひとつは、もっと大切なことだ。事実に基づいて世界を見ると、心が穏やかになる。ドラマチックに世界を見るよりも、ストレスが少ないし、気分も少しは軽くなる。ドラマチックな見方はあまりにも後ろ向きで心が冷えてしまう。
 事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界をよくし続けるために私たちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ。

Powered by Blogger.