【『わが投資術』で考える就職先・取引先選び】就職先・取引先のスクリーニングに投資を応用する(経営者が9割)

 フリーランスの編集者として働くようになって、テレビドラマシリーズの「家政婦は見た!」の家政婦の石崎秋子(女優は市原悦子)の気分を味わうことも珍しくありません。
「家政婦は見た!」



 一例です。
 知人が転職した会社を、半年でまた転職しました。その会社をA社としましょう。ちょっとした経緯で、私はA社の仕事をすることになったのですが、「あら、いやだ……。これじゃ半年で辞めるわけね」と納得しました。


LINEのスタンプにも「あら、いやだ……」(LINEストアより)



 さまざまな家庭で働く家政婦のように、さまざまな企業で仕事を手伝うフリーランスとして社内の意思決定を垣間見てきました。そして、『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(著/清原 達郎 講談社)に掲載されている投資での「成長性見極めポイント」は、就職先・取引先の成長性や持続性を判断するポイントと同じではないかと考えました。

成長性見極めポイント

1.経営者がその企業を成長させる強い意思を持っているか(必要条件)
2.社長と目標を共有する優秀な部下がいるか
3.同じ業界内の競合に押しつぶされないか
4.その会社のコアコンピタンス(強味)は成長とともにさらに強くなっていくか
5.成長によって将来のマーケットを先食いし、潜在的マーケットを縮小させていないか
6.経営者の言動が一致しているかどうか
 本書の小見出しに、次があります。
小型株の成長性は「経営者」が9割

 著者は数多くの経験者と面談をしてきて、中小企業の場合は、経営者の比重が大きいと判断しています。
 大企業については、経営資源が豊富なため、比重は低くなります。

 中小企業の場合、上場していないことも珍しくありません。そのためPERなどを知るの困難というか、不可能です。
 しかし、たいていはホームページを作っているので経営者の経歴などはわかります。また、ちょっとした会話(インタビュー記事など)から、偏見や決めつけの強さ、自信のなさなど、「あら、いやだ……」という要素が浮かび上がってくることもあります。



 もう一つの小見出しを紹介します。
「イメージの悪い業界」こそチャンス

 成長性がないと世間的に思われがちな業界やイメージの悪い業界は、投資だけでなく、就職先・取引先の“穴場”です。

 ちなみに、冒頭で紹介したA社については医療系の参考書などを作る出版社でした。イメージはいいでしょうし、参考書という点でも手堅い印象を受けますよね。ただ、「家政婦は見た!」的視点では、成長性はおろか持続性も危うい状況です。社内の意思決定が遅く、一貫性がなかったためです。参考書ということで、ターゲットが学生にもかかわらず、WEBでの情報提供がほとんど進んでいませんでした(古い中小出版社にありがち)。
 なお、A社に在籍していた知人は、「自分が何をやりたいか具体的にわからない状況で会社を安易に辞める」ことはせず、半年という短い期間で転職先を決めていました。

 ではESG投資は「まったくナンセンスだ」とばっさり切り捨てていました。ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をつなげたものです。 環境や社会に配慮して事業を行っていて、適切なガバナンス(企業統治)がなされている会社に投資しようというのが、ESG投資です

 生活費を稼ぐという観点では、好き・嫌い、楽しい・楽しくない、かっこいい・かっこ悪いは別として考えたほうがよさそうです。「好きを仕事に」「意識の高めの複雑なテーマの仕事はかっこいい」と思われがちですが、収入や待遇、将来性の判断が狂って、生活苦に陥る可能性が高くなります。
 就職先・取引先が上場している中小企業の場合では投資でのスクリーニングの手法が、上場していなければ経営者と業界のイメージをスクリーニングに用いることが有効と考えられます。
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