薬との付き合い方3 微妙な立ち位置の健康食品
※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。
〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html
「ビタミンCや葉酸、カリウムが含まれているオレンジは、健康食品です」などとは表現しません。栄養価の高い野菜や果物を「健康食品」と呼ばないということです。
こうした点からもわかるように、「健康食品」という言葉は「栄養補助食品」「サプリメント」の意味で、なんとなく使われています。ちなみに、厚生労働省の説明では、「健康食品」「栄養補助食品」「健康補助食品」「サプリメント」などに行政的な定義がないとのことです。
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| photo by Polina Tankilevitch(Pexels) |
古くから「薬(医)食同源」という言葉がありますが、健康志向が高まっていることから、数十年の間キリンビールにアサヒビール、明治製菓など数々のメーカーが健康食品を売り出しています。
医薬品の開発については、 にもあるように、数々の試験があります。だからこそ、「血圧を下げる」など、身体構造や機能に影響する効果を表示できるわけです。
食品については、基本的に、こうした効果を表示できません。
ただし、微妙な立ち位置の食品があるのです。それが「保健機能食品」。「特定保健用食品」「機能性表示食品」「栄養機能食品」の総称で、一般食品と医薬品の中間に位置しています。
例えば、キシリトールを含んでいる食品は、特定保健用食品として「虫歯の原因になりにくい食品です」などの表示が許可されています。また、ビタミンやミネラルを含む食品は、栄養機能食品として「鉄分の吸収を助けるビタミンCが〇mg」などと表示できるのです。
なお、保健機能食品の管轄は、厚生労働省から、2009(平成21)年に創設された消費者庁に移行したそうです。2015(平成27)年4月「食品表示法」が施行され、この法律に基づいて「機能性表示食品制度」が整えられています。
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| 健康食品 - 厚生労働省より |
それにしても、健康食品は栄養ドリンクだったり、顆粒だったり、お菓子みたいになっていたり、形状はさまざまですが、圧倒的に錠剤・カプセル型のものが多いですよね。きっと安く作れるのでしょう。
錠剤型だと、口に入れて水で流し込むだけなので、手軽に取れます。ただ、私たちは「まあ、健康"食品"だからね」と適当に利用していると、体の機能を損なうなど、健康被害が生じる可能性が高くなります。
オレンジの健康食品があるとしたら、オレンジのエキスを抽出して固めて錠剤型にするのでしょう。成分組成といい濃度といい、果物として口にしているオレンジとは別物。そんなオレンジの健康食品を「健康にいいから」と大量に飲めば、胃腸に負担がかかるのは当たり前ですね。
また、厳しく管理されている医薬品とは違って、あくまでもごく一部ですが、メーカー側が安易に作って売っている危険性も考えられます。医薬品の成分も混ぜた健康食品を「よく効きます!」だなんて吹聴して売っていた例もあるため、信用できるメーカーかどうかを確かめたほうがよさそうです。
さらに、薬と健康食品の飲み合わせで、薬の作用が弱まったり、逆に強くなりすぎたりするケースがあります。一般食品についても、「抗凝固剤のワルファリンを使っているときには納豆を食べてはいけない」などと言われています。ワルファリンの効果が得られなくなるからです。
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| 納豆のビタミンKがワルファリンの作用を阻害 |
まさに「薬食同源」。薬が毒にならぬように、食品として普段口にしているものにも「なんとなく」ではなく、きちんと情報を確認しておきたいですね。
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| 健康食品 - 厚生労働省より |
■参考資料
時事メディカル中毒〔ちゅうどく〕
https://medical.jiji.com/medical/026-1001-99
健康食品 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood_d.pdf
機能性表示食品制度の概要と現状 - 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/pdf/kinousei_kentoukai_160122_0003.pdf




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