終末期医療を考える2 治療どころか検査も拒否して、がんとともに生きる
85歳。女性。足のむくみがひどく、持病の脊柱管狭窄症が原因と疑って整形外科を受診。
ここで大きな病院での検査が必要と診断され、そのまま総合病院へ入院。エコーで大腸に大きな腫瘍が見つかり、医師は「ほぼ間違いなくがん」と考えました。
しかし、確定できなかったのです。女性が「手術するつもりがないから、検査は不要」と突っぱねたからです。
そのため、輸血でひどい貧血の治療を行い、退院しました。一人暮らしでは心配なので、看護付きの施設に移り、引っ越し後の片づけや趣味で忙しく暮らしています。
私は終末期に関連する情報を集めていたのですが、検査まで拒否した例は今回が初めてでした。
ただ、この女性が主張するとおり、手術を希望しないのならば、検査も不要と主張するのは筋が通っています。
85歳という年齢を考えれば、検査そのものが苦痛で、体力と気力を奪うものに違いありません。今、がんでも元気に暮らしているのは、不要な検査を行わなかったことが関係しているように思われました。
多くの患者が、医師から手術や検査を勧められると、そのまま受け入れてしまいがちではないでしょうか。
病気と闘わない。
そのためには、終末期をどのように過ごしたいのかを患者側がしっかりとイメージし、できれば勉強しておくことも重要なのでしょう。
なお、この女性は看護師だったこともあり、代替医療などに頼ってはいません。手術と検査は拒否したものの、総合病院の担当医のことは気に入っているように、「あの先生に看取ってほしい」と話していました。病院も、それを受け入れています。
円満に、すべてを断るという選択肢もあるのです。
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