「金融的な損得には厳しいが、生活まわりのお金は無意識に扱ってつじつまが合う」という姿勢
なぜ突然、世界は物価高の波に飲み込まれたのか?
ウクライナへの侵攻ではなく、パンデミックが原因のようです。渡辺努氏(経済学者。東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。東京大学公共政策大学院教授)の論文の中で、その説明がされています。
残念ながら日本では、物価高→賃金アップとはなりそうもありません。会社員以上にシワ寄せが来るのが、下請け。フリーランスは、今後一層厳しい状況に置かれるでしょう。
しかし、だからといって目先のこまごまとした節約に走るのは避けたほうがよいと、経済評論家の山崎元氏は語っていました。「お金のことを気にせずに生活して、結果的には常につじつまが合うような金銭感覚を持っていることが理想的ではないだろうか」とのこと。
普段の生活での生活は大らかに。
金融取引では厳密に。
大きな支出から順に考える。
間違えるとしたら無難なほうに間違える。
要は1円2円で目くじらを立てるのではなく、家計全体の無理・無駄をなくすことが大事なのです。
さらには、生活防衛資金を確保した上で、投資を行う必要も、インフレ下では求められるかもしれません。
世界的なインフレで、現金の価値は減少。現金を株式などへ投資するマネーシフトが必要になってきます。
インフレ時に現金を多く持つのは得策ではありません。物の値段が上がり、現金の価値が下がるインフレは、現金保有に対する課税のようなもの。
1年間に4%を超える物価上昇と15%以上の円安が同時に起こった場合には、日本の金融資産に対する警戒モードに入ると考えるべきなのだそうです。
ただし、だからといって不安をあおられないよう気をつける必要があります。長期的に、リスクに応じた収益を積み上げる(リスクプレミアムを集める)ようにするのが投資の鉄則。
生活防衛資金とは、万が一のために備えてキープする資金、つまり、守りのための「無リスク資産」です。
ある家計調査では、2021年の4人世帯の1カ月当たりの支出額は、約32万円でした。
1カ月の支出が32万円と想定すると、「生活防衛資金は生活費の2年分」と考えた場合、768万円が目安となります。
生活防衛資金に、近々かかると予測がつく子どもの教育費をプラスして、無リスク資産(銀行の普通預金など)を持つようにします。
ところで、渡辺努氏の論文によると、アメリカでは物価高と賃金高が同時進行しています。
一方、日本はデフレを引きずっていて、物価高はジワジワと進むものの、賃金高は起こっていないという状況。現時点での日本は、職場での人手不足をあまり実感していないことも、賃金高につながっていない一因のようです。
以上のことから、株式などの取得を検討するときには、アメリカの企業のほうが安心といえそうです。インフレに対応する形で、企業を含めた社会が変化していっているので、日本の企業は取り残されている可能性もあるからです。
山崎元氏のお勧めは、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)。上場投資信託(ETF)ならば、MAXIS全世界株式(オールカントリー)上場投資信託。
ところで、「シワ寄せが来るのが、下請け。フリーランスは、今後一層厳しい状況に置かれるでしょう」と前述しました。すでに厳しい状況に突入していて、業績がよくないでは「フリーランスの労働を買いたたく」現象が起こっています。要は、ギャラをケチってくるという話。
「だったら、もっと働かないと!」とフリーランス側が焦ると、買いたたきは一層進むでしょう。クライアントから、「これだけギャラを減らしても大丈夫だったんだから、次はもうちょっと減らしてみようかな。だって仕事が欲しい立場なんだからね」などと足元を見られるからです。
なるべくなら、代わりの少ない仕事を選んだほうがいいでしょう。「誰でもできそう」と見なされる仕事は、買いたたかれます。
ポイントは、見なされるという点。実際にやってみたら難しくて、「これは大変!」と初めてわかる仕事でも、簡単そうでありふれている仕事だったら買いたたかれるのが資本主義の世界。
焦りも、まだ若いうちならば人生勉強や修行として役立つかもしれません。しかし、中高年はストレスと疲れ、憤りを増すばかり。なりふりかまわず動いていたら、老化が加速します。
それに、人材として考えた場合、仮に、まったく同じ能力の人間が2人いた場合、若い人のほうがより大きな価値があるということ。
ですから、自分が身を粉にして働くのではなく、お金に働いてもらうという要素も持っておくわけです。
なお、株式については、「卵を一つのかごに盛るな」理論がここでも通用するようで、幅広いジャンルを長期保有するのが安心要素となります。
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