自分らしく人生を全うするために知っておきたい「延命治療」と「エンディング」

  『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(著/中村仁一、幻冬舎)は、発行部数が51万部を超える大ベストセラーになりました。

 ピンピンコロリで逝きたいと考える人は多く、家族も理解を示している。しかし、いざ脳梗塞で倒れたりがんが発見されたりすると、本人も家族もパニックになり、結果として延命治療を受けてしまう。
 このように、本書には書かれていました。


 また、本人が希望していない処置を、本人の意識がないときに家族や親せきの希望で行うこともあります。
 実際、親が望んでいない延命治療を、普段は関わりのない親戚が子どもに「延命治療をさせるべき」「自分の親を殺す気か」などとごり押ししたケースが存在します。

 ある程度の年齢に達し、穏やかに最期を迎えたいのなら、頭も体も元気なうちに最優先事項を決めて、書面にして保管し、家族などが書面の存在をわかるように手続きを行っておくことが重要です。

 延命治療に対する意識が高いのは、親をはじめ家族の介護や看護を経験した女性のようです。
 あくまでも『クラナリ』編集人の元同僚に限りますが、「そんなこと、考えたことないよ」「自分の親の延命治療? 任せっきりだったから、知らないな」といった反応をする男性がほとんどでした。

 「死について考えるのは縁起が悪い」ととらえる風潮もあります。その一方で、少子高齢化や非婚化が進む中、比較的若い世代で「自分の人生を整理して考えたい」「周りに迷惑をかけず、自分らしく生きていきたい」と前向きに「エンディングノート」を作成する人も出てきています。

 エンディングノートとは、年齢を重ねてきた人間が、これからどうやって生きるのかの意思表示をし、自分らしい未来を選ぶための方法の一つ。

 私たちは生まれる場所も親も選べません(一部、「自ら選んで生まれてきた」という説を唱える人もいますが)。
 しかし、ある程度の年齢になれば、人生をどこで誰と過ごすのかは自ら決めることができます。

 現在の状況を見極めて、将来をどう生きるのかを具体的に考え、自分らしい未来を実現させるためにエンディングノートを使うのです。

 家族間のコミュニケーション術(ごり押しに対するNoの言い方を含め)なども含めて、延命治療・エンディングについて、まだ若く健康なうちから頭の片隅に置いておきたいものです。
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