「どうしてこの本を選んだのか」が自分でもわからない子どもたちへ

 こんなTweet(X?)が流れてきました。

夏休みになると読書感想文がらみのツイートが大量RTを引っ提げて回ってくるが、
今の時代の読書感想文はこのようにシステム化されているので、
特にこだわりが無ければ書くことができるようになってるのよね。

ウチの子も文章は苦手な方なので大助かり。

 「ウチの子も文章は苦手」と書かれていますが、違うんじゃないかなと思ったのです。それには、もちろん理由があります。
photo/ぱくたそ


 私が作文教室を開いていたときのことです。読書感想文体験コースには、子ども自身が選んだ本を持ってきてもらっていました。

 教室で、小学4年生の子どもに聞きました。
 「どうしてこの本を選んだの?」
 「……」
 「もしかしたら、表紙の絵がかわいいから?」
 「いや……」



 えっ? 本を教室に持ってきたんでしょ? 自分で選んでいるんだから、理由ぐらいわかるでしょ?
 そう思いますよね?
 私は思いました。

 だから、非常に驚いてしまったのです。

 なお、この子は読字障害や書字障害などもない、一般的な小学4年生です。普通に文章は書けていました。

 私のほうは「自分が読む本を選んだ理由がわからない」ことに戸惑いつつも、「読書感想文は、本を丸写しするんじゃないんだよ」「この本で、おもしろいと思ったところってどこかな?」などと話しかけ、それだけで体験コースの時間は終わってしまいました。

 この子だけではありません。「どうしてこの本を選んだのかが、自分でもわかっていない」という子どもは複数いました。

 私は教育者ではないので、心理の分析などはできません。
 それでも思ったのは、「読書感想文の宿題があるから、なんとなく書けそうな本を図書館から借りてきたんだろうな」ということです。本に対する好き嫌いはなく、「読みなさい」と指示されたときや「読まなければならない」と思ったときは、ひとまず読むのでしょうが、それだけ。きっかけも感想も何もないのです。
 冒頭で紹介したTweetには「特にこだわりが無ければ」と書かれていますが、本選びの時点でこだわりがない子どもも珍しくはありません。

 このような経験から、「本選びの段階で、私が関わらなければならない」と方向転換をしたのでした。

 具体的な選び方については、「子ども向けの本に限定しない」ことが第一。
 そして、「読書感想文を書くためではなく、自分の生活に役立つ本を選ぶ」わけです。
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