どんな人でも、子どもに性虐待を行うリスクがある問題について

  非常に興味深い記事を見つけました。



 記事のタイトルにある「ペド」は、ペドフィリア(小児性愛、英: pedophilia)の略で、通常13歳以下の幼児・小児を対象とした性愛・性的嗜好のこと。 

 また、精神障害の一つに、「小児性愛障害」があります。

小児性愛障害は,思春期前の小児または若年青年(通常13歳以下)を対象とする性的興奮をもたらす反復的な強い空想,衝動,または行動を特徴とするが,本人が16歳以上で,かつ空想または行動の対象である小児より5歳以上年長の場合に限り診断される。

 小児性愛は嗜好であって、実際にトラブルを引き起こすと小児性愛障害になるということ。極端な話、嗜好自体には何の問題もありません。

 この記事では、『9人の児童性虐待者』(著/パメラ・D・シュルツ 牧野出版)の内容が引用されていました。

 私が本研究中に出会った児童性虐待犯すべての中で、「ペドセクシャル」──すなわち、思い出せる限りにおいて、子どもだけに性的欲望を抱いていたと述べる、悔悟の念が見られない小児性愛者──と呼べるのはたった一人しかいなかった。それは自信を持って言える

 パメラ・D・シュルツの研究では、性虐待を行った加害者の多くが、自身も過去に性虐待を受けていて、日常生活の不安やストレスが加害発動の一因になっているとのこと。

 子どもに性虐待を行うのは、幼い子どもにしか性的欲望を抱けないというのではなく、無力で無抵抗な子どものほうが憂さ晴らしをするには都合がよかったという話になります。
 また、大人に対する場合とは違って通報したり訴えてきたりしないことから、成功体験となって、再び子どもに性虐待を行うという繰り返しです。
 『9人の児童性虐待者』というタイトルの下には、NOT MONSTERSと書かれています。深読みすると、怪物ではなく普通の人に、子どもに性虐待を行うリスクがあるということ。




 記事には、性加害をやめられない人も参加する回復プログラムについて紹介されていました。

医師はわたしに説明してくれたものだ。「被害者のことをどう思っているかとか、反省しているかとかは、治療にはあまり意味がないのです。自分の歪んだ認知をどう変えてゆくのか。今月はそれをしなかったか。そのことに絞った治療をしています」。性被害に遭ったことのある方にとっては、何を言っているのかと怒りがこみあげてくるかもしれない。だが、嗜癖行動としての性加害を思うとき、それはもはや治療の対象なのであって、反省でどうにかできるものではない。

 ストレスが衝動的な性的欲求につながると、どんな大人でも子どもに性虐待が加えてしまうリスクがありそうです。そして加害者が「ああ、子どもがかわいそうだ」「悪かった。もうしません」などと反省したところで治療にはならないわけです。
 子どもへの性虐待を防ぐには、次のようなことが考えられるでしょうか。
○ストレスにされされると、ムラムラと衝動的な性的欲求が高まる傾向がある人は、認知行動療法(※)を行う
○過去に子どもに性虐待を行った人物に、子どもを接触させない
○性虐待を受けたら相談できるような体制を整る
○性虐待を行った人物には処罰や社会的制裁を加える(成功体験にさせない)


※認知行動療法については、以下で詳しく説明されています。
 
Powered by Blogger.