腎臓を巡る、長く、曲がりくねった物語 その3 パイプラインの話 動脈・静脈

  ※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。

 「クラナリさん、動脈の中をきれいな血が、静脈の中を汚い血が流れているんですよね?」

 2年ほど前にそんな質問を受けて、頭がクラクラしました。きれい・汚いって、どうやった判断するんじゃい!

 単純に、心臓から送り出された血液が通るのが動脈、心臓に戻る血液が通るのが静脈です。

動脈・静脈(看護roo!より、一部改変)



 酸素の量が、動脈を流れる動脈血は多く、静脈を通る静脈血は少なくなっています。
 では、エネルギー(栄養)や老廃物の量はどうかというと、結果として、「関係ない」。

 心臓に戻る血液には、肝臓から出てきた栄養たっぷりの血液も含まれていれば、全身の細胞から出てきたゴミ(老廃物)だらけの血液も含まれているからです。
 私たちが暮らす地域のように、上水道と下水道がはっきりと分かれていません。

 全身の血液は心臓に集められて、肺でガス交換されて酸素たっぷりになってから心臓に戻り、再び全身へと送り出されます。

 心臓から全身に送り出される血液の1/5~1/4(20~25%)が、腎臓に送られます。
 腎臓は2つ合わせて300g程度。体重の1/200の重さしかない臓器に、1/5~1/4の血液が送られる理由の一つは、ここで血液のゴミが捨てられるから。

 ただ、腎臓でゴミが取り除かれた血液も、太い静脈(下大静脈)で、全身の細胞から出てきたゴミだらけの血液と混ざっちゃうんですよね。
 「それでいいのか?」と自分は思ったのですが、人間の体にはそのほうが都合がいいのかもしれません。
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