読み手が疲れない文章を書くには? その2 入試などでレポートを書くときの注意点

 今、入試などでレポートを書いている人も多いのではないでしょうか?

 レポートのテクニックについては、さまざまなサイトで紹介されているのでそちらを参照してもらうこととして、最近、ちょっと気になった点を挙げておきます。

●学部などの名称を間違っていませんか?

 「いやいや、まさか!」と思いますよね。
 しかし、実際にあったのですよ、学部の間違え。具体的には、一字抜けていました。
 提出前に、大学や学部、学科などの名称を確認しましょう。

●人名を間違っていませんか?

 例えば「さいとう」なら「斉藤」「齋藤」「斎藤」など、複数の漢字があります。ですから、人名の確認も重要です。
 なお、一般的には初出はフルネーム+氏または+教授、以降は名字+氏または+教授となります。

 ただし、手紙形式の場合には、○○大学○○学部教授○○先生と敬称にしましょう。初出はフルネーム+先生、以降は名字+先生ですね。


●同じ事柄について、複数の表記を行っていませんか?

 例えば「ビタミンC」については、「ビタミンC」「VC」「アスコルビン酸」といった表記があります。一つの文章では一つの表記で統一しましょう。


●要求されていることに応えていますか?

 「○○を踏まえて、あなたの意見を述べてください」と要求されているのに、○○を無視して話を進めているケースは珍しくありません。
 同様に、質問に答えていないケースもありました。

 "上手な"文章を書く必要はありません。今、あなたに求められていることを書きましょう。

 『クラナリ』編集人が多くの文章を読んできた中で気づいた、起こりやすい日本語の誤りは以下の6つです。

起こりやすい日本語の誤り 6

①主語と述語が対応していない
②修飾語と被修飾語が対応していない
③難解な言葉や慣用句を誤用している
④「~したり、~したりする」といった形式が崩れている(「学校を無断で休んだり、早退などをする」、など)
⑤敬語を誤用したり、統一していなかったりする(「人」と「方」がごちゃ混ぜになっている、など)
⑥略語を使っている(仲間内でしか通用しない用語を使っている、など)

 間違えないようにするための対策は、以下の2つです。

●とにかく、一文を短くする
●敬語を使わない

イラスト/イラストミント



 ところで、「論文」には「難しい」「疲れる」というイメージがありませんか?

 確かに、論文で使われている用語は難しいのですが、文章の構造はいたってシンプル。そのため、過去に作文教室を開いていたときには、起承転結ではなく「はじめ・なか・おわり」形式で文章を書くことを子どもたちに勧めていました。

 そのようなこともあり、「読み手が疲れない文章」を検討するために、改めて論文の書き方を検索しました。すると、高校や大学のサイトが大量にヒット。どうやら教育機関では、論文の書き方を積極的に広めていきたいようですね。
 以下、サイトの情報を引用します。太字は『クラナリ』編集人によるものです。

 まず、論文の構成は、次のとおり。
部(part)>章(chapter)>節(section)>段落(paragraph)
※段落は、項(subsection)と呼ぶことも

論文の形式に決まったものはありません.ここではとりあえず,おかしくない形式を紹介しようと思います.

論文の構成は,大きいものから,部(part),章(chapter),節(section),小節あるいは項(subsection)となります.通常,10ページぐらいのものなら章立てをせず,節立てから始めます.20~50ページクラスになれば,章立てをするのが普通です.10~20ページであれば,書く人の判断によります. 

 前述の「はじめ・なか・おわり」のは、「序章(どうしてこの文章を書いたのか、など)」「各章」「終章(結論など)」と対応します。

 章立てて最も大きな単位は、「部」で、以下「章」「節」「項」というようになります。すなわち、例えば、「第2部―第3章―第1節―第3項」のような階層になるわけです。ただし、このうち、「部」は、数十枚単位の論文ではまず使われません。博士の学位論文のような大部のものに限られるようです。

 次に、これを組み合わせて、例えば、
   序 章  研究の目的と方法
       第1節 目的
       第2節 方法
       第3節 先行・関連研究
       第4節 資料
   第1章 ~の分析
       第1節 ~について
       第2節 ~について
       第n節 本章のまとめ
   第2章 ~の分析
   終 章
       第1節 結論
       第2節 残された課題
 のように組み上げます。このうち、序章と終章は、ほぼ決まったようなものです。
 序章では、まず何が問題なのかを述べます、そして、自分の研究が何を目的としたものなのかを位置付けます。次に、自分が問題とすることを解決するために自分が選んだ方法はどういうものかを説明します。そして、これまで、どのような研究があったのかをまとめます。

 終章も、ほぼ決まったものです。第1節で全体の結論を総括的に述べ、第2節では、何をやりのこしてしまったかを反省しつつ、今後の課題を述べていきます。こんなことをやりたかったのにできなかった、こんなことをやってみたら面白かった(面白いはずだ)というようなことを述べるわけです。

 論文で重視されているのが、パラグラフライティング。その基本は、「1パラグラフ1トピック」です。1つのパラグラフには、1つの話題(トピック)だけを書くというルールです。
 加えて、次のポイントがあるとのこと。

ルール①各パラグラフで扱う話題は1つに
ルール➁話題の要約文はパラグラフの先頭に!
ルール③先頭の文だけであらすじを成立させる!
ルール➃話題文を補助する文だけをそのパラグラフ内に!
ルール➄適切に接続語を置く!

いきなり長い文章を書き始めるのではなく,アウトラインから決めて,パラグラフの大枠を定めるようにするとよいでしょう.

 アウトラインを決める際には、コンサルティング会社のマッキンゼーがMECE(ミッシー)という考え方が役に立ちそうです。"Mutually Exclusive Collectively Exhaustive"の略語で、「モレなく、ダブリなく」という意味です。
 そして、図にして検討することがポイントですね。文字を羅列していても、整理はしづらいものです。



 また、「先頭の文だけであらすじを成立させる!」と、読み手の負担が減るとのこと。

ポイントは「各段落の先頭行だけを抜き出せば正しい要約ができあがるようにする」ことです.

パラグラフライティングは,文章のまとまりを作るルールと,各まとまりの中での文の配置のルールに則って文を書く方法です.そのルールを簡単に言えば,「共通の話題で括れる内容は一つのまとまりとする」というものと,「各まとまりの先頭には最も重要な文を置き,それ以後にはその文の補足説明のための文を置く」というものです.このまとまりのことをパラグラフと呼び,各パラグラフの先頭の文のことをトピックセンテンス(話題文)と呼びます.

【例文1】 『 』がトピックセンテンスである。
・序論
『私は、高校生に制服は必要ないと考える。』理由は以下の2点である。
・本論
『1つめは、服装は、自己表現の一つであると考えるからである。』
具体例、自身の体験など
『2つめは、毎日の天気や気温に応じたものを着た方がよいと考えるからである。』
具体例、自身の体験など
・結論
『以上のように、高校生に制服は必要なく、着たいものを着るべきであると考える。』

 上記の例文のように、論文は、最初に主張を提示してから、その主張が正しいことを論証する文章です。
 主張がわからない、あるいはそもそもない(卒論などで書かされているだけ)のは、論文とはいえないのですね。

 

□参考文献
実践テクニカルライティングセミナー
※とてもわかりやすく、お勧め!
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