【ほったらかし投資勉強会】投資の原則2「分散」は「AかBか」ではなく「AもBも」

  私は過去に日本航空の株式を所有していて、2010年に経営破綻したときに大損をしました。
 おそらく、東日本大震災の際には、東京電力の株式を持っていた人は打ちひしがれていたでしょう。

 日本航空と東京電力。交通インフラやライフラインに関係する企業ということで、経営破綻や東日本大震災の前には安心・安全と思われていたものです。
 だからといって「やっぱり株式投資は危ない」というわけではありません。安心・安全と思い込まれている企業の株式ばかりを持つのが、危ないのです。

 リターンはコントロールできないが、リスクはコントロールすることができる

 リスクを減らするために行うのが、分散です。
 「安心・安全か、不安か」だけでなく「高成長か、低成長・マイナス成長か」についても、両方に分散投資するのです。「AかBか」ではなく「AとBに」半分ずつ投資をするということです。
 『ほったらかし投資術』の著者の一人の山崎元さん(2024年没)が新米ファンドマネージャーだったときに、ベテランファンドマネージャーに次のように言われたのだそうです。
「山崎君、無理に勇ましく、どちらかに決めなければならない、というものではないのですよ」

 根拠のない賭けは、なるべく避けるべきなのです。

 わからないものを、わかったことにして無理やり決定するのではなく、「わからないなら、どうするか」を考えるのが上策で、そうなると「わからないから分散する」という結論に至ります。

 なお、分散させるのは、投資の対象となる企業が「安心・安全か、不安か」「高成長か、低成長・マイナス成長か」です。投資をするタイミングやインデックス・ファンドの商品ではありません。

 手元に12万円がある場合、年初に一度に12万円投じるか、年初から年末まで毎月1万円ずつ投資するかの選択があります。後者は「ドルコスト平均法」と呼ばれています。

 その1年間が下げ相場であれば、一括投資が不利で、運用期間中の平均投資額が少なくなるドルコスト平均法のリスクが小さくなります。逆に、上げ相場なら、ドルコスト平均法は著しく不利になります。

 身も蓋もない言い方で恐縮だが、ドルコスト平均法は「平均買いコスト」に投資家の視点を集中させることで、投資対象が値下がりした時の「気休め」をあらかじめ提供している投資方法なのだ。

 また、行動経済学的な説明としては、行動をルール化しておくと失敗した時に気が楽だからだという理由がある。自分で判断して高値を買ってしまうと後悔するかもしれないが、ドルコスト平均法だと、少なくとも最高値で全額を買うことがないし、投資の失敗があっても、自分ではなく、採用したルールが悪かった、あるいは、いいと言われる方法を採用したのだから仕方がない、という諦めが付くという「自分への言い訳効果」だ。これは、行動経済学でよく使われる用語でいうと「後悔回避」の表れだ。 


 なお、積立投資が多くの人に勧められているのは、将来への貯蓄と投資を同時に行えるからです。

 繰り返しになりますが、分散させて意味があるのは投資する対象。タイミングではありません。


■ 『ほったらかし投資術』 以外の主な参考資料
1 先のことは誰にもわからない
2 世の中にうまい話はない

『経済ってそういうことだったのか会議』 著/佐藤 雅彦、竹中 平蔵  日本経済新聞社

意味ある分散・無意味な分散投資とは、投資から人生まで
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