「割り切れない性」と『自虐の詩』

男と女の間には、深くて暗い川があるのかどうだか……



男と女の割り切れなさが描かれている名作は『自虐の詩』(竹書房)ですね。

映画化されたほど有名な作品なので、わざわざ私が紹介するまでもないでしょう。







主人公の幸江は、あまりにも幸薄い女性として『自虐の詩』上巻で描かれています。

名前に「幸」が入っているのに……



ちゃぶ台をひっくり返すばかりの内縁の夫・イサオとの日々。

「愛」とか「恋」とか「打算」とかすべて超越した男と女の「生活」に、いいも悪いもないように思えてしまうのです。



幸江とイサオの隣の部屋に住むおばちゃんも、町内会長のデート商法(?)に引っかかっているようで、化粧品や羽毛布団、ルームランナーなど購入させられても、これも好きだから仕方がないと。



男と女の割り切れなさが4コマギャグマンガで笑えるという、素晴らしい作品が『自虐の詩』です。

毒親やヒモ男など、一般的な「女の不幸」を乗り越えてしまう主人公の幸江。



収入や学歴、家柄といった条件だけで私たちが幸せかどうかは決められないのだと思ってしまいます。

「稼げるから」「頭がいいから」相手を愛する価値があるという「商業主義的」な関係で男と女は成り立たないのでしょうね。



人を愛することと日々の生活。

ちょっと振り返るときにお勧めの作品です。


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