【専門家インタビュー】希望する人に300円程度で飲み物を出すときでも、営業許可っているんですか?
コーヒーに関する資格も取ったし、たくさんの人に自慢のコーヒーを飲んでもらいたい。子どもが巣立ったから、自宅の一部をレストランにしたい。趣味のお菓子作りを生かして、菓子工房兼カフェを開きたい……
このような夢を抱いている人は少なくないようです。もしかしたら、すでに始めてしまっている人もいるでしょう。
ただ、何気なく行っている飲食に関連したお金のやり取りが、実は法に触れているかもしれません。
「食品衛生法は食品の安全性を確保するためにあるのですが、まったく知らないで開業した人がいる可能性はありますね。『そのお店は大丈夫なのかな』と疑ってしまうような話を聞いたこともあります」と行政書士の高橋求さんは話します。
飲食に関連する衛生について規定しているのが食品衛生法。この法律に基づき、都道府県が営業施設の衛生基準を定めています。
市川市で当てはめれば、国の法律をもとに、千葉県が営業施設の衛生基準を決めて、市川保健所が飲食店営業や喫茶店営業などの営業許可を出すということになります。
今回は、飲み物も含め食品を取り扱うときに留意しておきたいことを、高橋さんに聞きました。
食品が
まず、5つのケースについて、飲食店営業や喫茶店営業といった営業許可が必要かどうか考えてみましょう。
<ケース1>
無料のフラワーアレンジメントの教室を開き、希望者には300円でハーブティーを出している。
<ケース2>
会費が1000円のヨガ教室を開き、参加者にハーブティーを無料で自由に飲める状態にしている。
<ケース3>
自宅で料理教室を開き、作った総菜を近所の人に販売している。
<ケース4>
多くの友人たちに頼まれるから、自宅でケーキを作ってあげる代わりに、材料費と手間賃をもらっている。
<ケース5>
月に1回、出張料理人を呼んでホームパーティを行い、割り勘にしたケータリング費用にプラスして会場費をもらっている。
高橋さんの見解は、次のとおりです。
<ケース1>営業の許可が必要な可能性が非常に高いので、すぐに保健所へ。
<ケース2>念のために保健所に相談。許可は不要と言われる可能性が高い。
<ケース3>料理教室に参加した生徒たちに料理を食べさせるだけならば、営業許可は不要と考えられる。しかし、たとえ少額でも総菜を販売していたら営業に当たる可能性が高いので、すぐに保健所へ。
<ケース4>手間賃をもらっているために、趣味ではなく営業と見なされる可能性が高い。すぐに保健所へ。
<ケース5>月に1回という頻度で行い、継続して利益を出しているので、営業と見なされる可能性が高い。テーブルやいすといった設備で飲食をさせているので、たとえ自分が料理をしていなくても営業許可が必要になる場合はある。すぐに保健所へ。
「食を軽く見てはいけません。食品が人の命を奪うことだってあるんですから」と、高橋さんは注意を促します。
しかし、主婦は毎日のように料理をしているし、ホームパーティで手料理を持ち寄ることは珍しくありません。料理上手の人がちょっとお金をもらって料理を作ってあげたり、自分がこだわったコーヒーを100円ぐらいで提供したりすることぐらい、許可など必要ないように思えます。
「多くの人がそう思うのかもしれませんね。
そもそも『許可』とは、誰でもできるようなことを、いったん、日本に住む人全員に禁止するところから始まります。そして、ある一定の条件を満たした場合、禁止を解除するんです。
料理やコーヒーを入れることなどは、普段の生活で多くの人がやっています。ただ、利益を出すために繰り返し行っていたら、話は変わります。衛生に関する知識や技術が足りなくて、食中毒や異物混入を起こしたり、法令等で認められていない添加物を入れたり、誤った食品表示をしたりする可能性が高まるからです。
設備についても同じことが言えて、自分では清潔にしているつもりでも食中毒対策にはなっていないこともあるんです。
ですから、誰でもできるような食品営業をいったん禁止にして、衛生に関する知識や技術、設備が一定の条件を満たした場合には禁止を解除する、つまり許可を出すということになっています」
高橋さんによると、「営業」には「利益を出す」「継続・反復して行う」という意味があるそうです。
先に挙げた<ケース1>と<ケース2>では、ハーブティーという食品で継続的に利益が出ているか、単なる無料サービスかで判断が違ってくることになります。
「年1回のお祭りやバザーで、地域の人がかき氷などを売るときも、念のため、保健所に相談することをお勧めします。反復性がないので営業とは見なされないでしょうが、注意事項を教えてもらえるので食の安全性が守れるはずです」
悪質と判断されたら
では、知らなかったとはいえ無許可のままで食品営業を行っていたら、どうなるのでしょうか。
「無許可で営業を行った場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられると、食品衛生法で定められています。とても重い罰則ですよね。
ただ、いきなり刑罰が科せられるわけではありません。最初は保健所から注意が入ります。こうした注意を無視し続けるなどして悪質と判断されたら、行政処分を受けたり刑罰が科せられたりするんです」
こうした状況になってしまえば、うわさも立つでしょうし、もはや市川で生業をつくるどころではありません。
高橋さんのお話から、食べ物や飲み物を取り扱う仕事は、非常に責任が重いのだとわかりました。また、食事そのものではなく、テーブル・いすといった食事のための設備や場所を提供するだけでも、営業許可が必要になる場合があることには驚きました。
「もう一つ、許可さえ取れれば後はどうでもいいというわけではありません。私が仕事で訪れた飲食店で、キッチンがひどく不潔だったこともありました。
食品衛生法は、食品衛生上の危害の発生を防ぐことが目的。ですから許可が取れた状態を維持し続けることが重要なんです。
さらに、今年の6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律では、原則としてHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理に取り組むことが盛り込まれました。つまり、衛生管理の目が厳しくなってきているということです。
規模の大小は関係なく、食品に関する仕事に取り組むのならば、食品衛生法についても正しく理解してほしいですね」
次回は、自宅で飲食店を開業する前に知っておきたい法律について、高橋さんに聞いたお話を紹介します。
●プロフィール
行政書士 高橋 求
たかはし もとむ
1967年、埼玉県生まれ。会社員歴24年(システムエンジニア20年、経理担当4年)を経て、2014年に市川で行政書士事務所を開設。行政書士業務だけではなく、情報システムや事業の管理に関する事案での相談も受けている。
■たかはし行政書士事務所 http://www.takaoffice.jp/index.html
このような夢を抱いている人は少なくないようです。もしかしたら、すでに始めてしまっている人もいるでしょう。
ただ、何気なく行っている飲食に関連したお金のやり取りが、実は法に触れているかもしれません。
「食品衛生法は食品の安全性を確保するためにあるのですが、まったく知らないで開業した人がいる可能性はありますね。『そのお店は大丈夫なのかな』と疑ってしまうような話を聞いたこともあります」と行政書士の高橋求さんは話します。
飲食に関連する衛生について規定しているのが食品衛生法。この法律に基づき、都道府県が営業施設の衛生基準を定めています。
市川市で当てはめれば、国の法律をもとに、千葉県が営業施設の衛生基準を決めて、市川保健所が飲食店営業や喫茶店営業などの営業許可を出すということになります。
今回は、飲み物も含め食品を取り扱うときに留意しておきたいことを、高橋さんに聞きました。
食品が
人の命を奪うこともある
まず、5つのケースについて、飲食店営業や喫茶店営業といった営業許可が必要かどうか考えてみましょう。<ケース1>
無料のフラワーアレンジメントの教室を開き、希望者には300円でハーブティーを出している。
<ケース2>
会費が1000円のヨガ教室を開き、参加者にハーブティーを無料で自由に飲める状態にしている。
<ケース3>
自宅で料理教室を開き、作った総菜を近所の人に販売している。
<ケース4>
多くの友人たちに頼まれるから、自宅でケーキを作ってあげる代わりに、材料費と手間賃をもらっている。
<ケース5>
月に1回、出張料理人を呼んでホームパーティを行い、割り勘にしたケータリング費用にプラスして会場費をもらっている。
高橋さんの見解は、次のとおりです。
<ケース1>営業の許可が必要な可能性が非常に高いので、すぐに保健所へ。
<ケース2>念のために保健所に相談。許可は不要と言われる可能性が高い。
<ケース3>料理教室に参加した生徒たちに料理を食べさせるだけならば、営業許可は不要と考えられる。しかし、たとえ少額でも総菜を販売していたら営業に当たる可能性が高いので、すぐに保健所へ。
<ケース4>手間賃をもらっているために、趣味ではなく営業と見なされる可能性が高い。すぐに保健所へ。
<ケース5>月に1回という頻度で行い、継続して利益を出しているので、営業と見なされる可能性が高い。テーブルやいすといった設備で飲食をさせているので、たとえ自分が料理をしていなくても営業許可が必要になる場合はある。すぐに保健所へ。
「食を軽く見てはいけません。食品が人の命を奪うことだってあるんですから」と、高橋さんは注意を促します。
しかし、主婦は毎日のように料理をしているし、ホームパーティで手料理を持ち寄ることは珍しくありません。料理上手の人がちょっとお金をもらって料理を作ってあげたり、自分がこだわったコーヒーを100円ぐらいで提供したりすることぐらい、許可など必要ないように思えます。
「多くの人がそう思うのかもしれませんね。
そもそも『許可』とは、誰でもできるようなことを、いったん、日本に住む人全員に禁止するところから始まります。そして、ある一定の条件を満たした場合、禁止を解除するんです。
料理やコーヒーを入れることなどは、普段の生活で多くの人がやっています。ただ、利益を出すために繰り返し行っていたら、話は変わります。衛生に関する知識や技術が足りなくて、食中毒や異物混入を起こしたり、法令等で認められていない添加物を入れたり、誤った食品表示をしたりする可能性が高まるからです。
設備についても同じことが言えて、自分では清潔にしているつもりでも食中毒対策にはなっていないこともあるんです。
ですから、誰でもできるような食品営業をいったん禁止にして、衛生に関する知識や技術、設備が一定の条件を満たした場合には禁止を解除する、つまり許可を出すということになっています」
高橋さんによると、「営業」には「利益を出す」「継続・反復して行う」という意味があるそうです。
先に挙げた<ケース1>と<ケース2>では、ハーブティーという食品で継続的に利益が出ているか、単なる無料サービスかで判断が違ってくることになります。
「年1回のお祭りやバザーで、地域の人がかき氷などを売るときも、念のため、保健所に相談することをお勧めします。反復性がないので営業とは見なされないでしょうが、注意事項を教えてもらえるので食の安全性が守れるはずです」
悪質と判断されたら
刑罰が科せられる
では、知らなかったとはいえ無許可のままで食品営業を行っていたら、どうなるのでしょうか。「無許可で営業を行った場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられると、食品衛生法で定められています。とても重い罰則ですよね。
ただ、いきなり刑罰が科せられるわけではありません。最初は保健所から注意が入ります。こうした注意を無視し続けるなどして悪質と判断されたら、行政処分を受けたり刑罰が科せられたりするんです」
こうした状況になってしまえば、うわさも立つでしょうし、もはや市川で生業をつくるどころではありません。
高橋さんのお話から、食べ物や飲み物を取り扱う仕事は、非常に責任が重いのだとわかりました。また、食事そのものではなく、テーブル・いすといった食事のための設備や場所を提供するだけでも、営業許可が必要になる場合があることには驚きました。
「もう一つ、許可さえ取れれば後はどうでもいいというわけではありません。私が仕事で訪れた飲食店で、キッチンがひどく不潔だったこともありました。
食品衛生法は、食品衛生上の危害の発生を防ぐことが目的。ですから許可が取れた状態を維持し続けることが重要なんです。
さらに、今年の6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律では、原則としてHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理に取り組むことが盛り込まれました。つまり、衛生管理の目が厳しくなってきているということです。
規模の大小は関係なく、食品に関する仕事に取り組むのならば、食品衛生法についても正しく理解してほしいですね」
次回は、自宅で飲食店を開業する前に知っておきたい法律について、高橋さんに聞いたお話を紹介します。
●プロフィール
行政書士 高橋 求
たかはし もとむ
1967年、埼玉県生まれ。会社員歴24年(システムエンジニア20年、経理担当4年)を経て、2014年に市川で行政書士事務所を開設。行政書士業務だけではなく、情報システムや事業の管理に関する事案での相談も受けている。
■たかはし行政書士事務所 http://www.takaoffice.jp/index.html


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