107歳まで生きるかもしれない今の子どもたちへ~  そんなに急がなくてもいいかもしれない

 2020年の教育改革では、大学入試と学習指導要領が変わります。

 「グローバル社会で活躍できる人材の育成」を掲げる大学入試改革の一環として、「大学入学共通テスト」(改革案が出された当時は「大学入学希望者学力評価テスト」)が導入されます。
 従来のマークシート式に加え、国語と数学1、数学1Aで記述式問題を採用。自分の考えをまとめて論述する力が求められます。

 英語は「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価するため、英検やTOEICなど、大学入試センターが認めた民間検定試験を活用。2023年度までは移行期間として共通テストのマーク式と併存させ、2024年度からは民間試験に全面移行するようです。

 高校教育と大学教育、それをつなぐ大学入試を一体的に変えていこうという「高大接続改革」。
 グローバル化や人工知能(AI)の発達などで社会が変化する中、時代に対応する将来の人材(つまりは子ども)を育てるために、文部科学省は「学力の3要素」を掲げました。

(1)知識・技能
(2)思考力・判断力・表現力
(3)主体性を持ってさまざまな人と協働して学ぶ態度


 教育において、従来のように暗記を重視するのではなく、新たな価値を創造する能力を育もうとしているようです。
 例えば、小学校から高校まで、「アクティブ・ラーニング」(主体的・対話的で深い学び)が導入。
 教員が一方的に教えるのではなく、児童・生徒同士で話し合ったり教え合ったりする機会を授業の中で増やすのです。


 小学校では外国語活動(英語の聞く・話す)を3・4年生から学習するようになり、5・6年生の英語授業は「読む・書く」も加わります。
 加えて、情報通信技術(ICT)時代に対応した人材育成に向け、新たにプログラミング教育も導入されます。
 プログラミング教育は、算数や理科、総合的な学習の時間など、これまでの教科の中で実践されることになっています。ですから、「プログラミング」という教科ができて、プログラミング言語の使い方を覚えるわけではないとのこと。

「小学生段階におけるプログラミング教育のあり方について(議論の取りまとめ)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/07/1373891_5_1_1.pdf


 高校は27科目が新設・改定されます。
 18歳選挙権の導入で、「公民」の代わりに新たな必修科目になった「公共」では、社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、生き抜く力や地域の課題解決を主体的に担うことができる力を身に付けるため、討論や模擬選挙、模擬裁判なども取り入れて学習するようです。
 国際協力や防災を扱う「地理総合」とともに日本と世界の近現代を学ぶ「歴史総合」が新設され、必修科目になります。
 一方、世界史は必修から外れます。


 「日本史探究」「地理探究」「理数探究」など新科目に目立つ「探究」は、課題を探究する能力を育むことが目的のようです。


 また、学力試験に加え、調査書や志望理由書がこれまで以上に評価される方針で、「ポートフォリオ(活動記録)」の活用が不可欠なのだそうです。






 ここまで調べてきて、「アクティブ・ラーニング」について。
 子どもが通う小学校の授業参観の様子を見て、「無理だよ……」と思ったことがありました。たとえ高学年でも、「グループで話し合いなさい」と教師が伝えたところで、子どもたちは戸惑っていました。


 話し合いの土台となる共通の知識、動機となる日常的な疑問などが、子どもたちにはないからでしょう。せめて各グループに大人が1人入ってくれればいいのですが、その大人も話し合いの進め方に関する技術は必要です。
 職場の会議だって、時間の無駄になりがちなのですから。

 そもそも、大人もできていないアクティブ・ラーニングを、子どもに押し付けるのもどうなのでしょうか。



2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがよい。

 『LIFE SHIFT』の「日本語版への序文」には、こう書かれています。107歳。な、長い……
 「人間五十年」と言われていた戦国時代の2倍の人生です。
 社会は急速に変化していっても、子どもたちはもっとゆっくりと大人になっていい時代なのかもしれません。
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