自分のかかとの幅に合わせて靴を選ぼう! 外反母趾や足裏のつらい痛みへの対処法をプロが伝授
義肢装具士の大平吉夫さんは、足を見ただけでその人の運動能力がわかるのだそうです。ちなみに、足の甲が高く、土踏まずのアーチも高い「ハイアーチ」の場合、体の柔軟性が低く、運動でケガをしやすいとのこと。結果として、パフォーマンスも低くなってしまいます。
足の形は普段履いている靴や生活習慣の影響を受けますが、顔と同じように、生まれつき決まっている部分が大きく影響します。一人ひとりで異なる足の個性に合わせて靴を選び、インソール(靴の中敷き)を使うことで、日常生活を支障なく過ごせるだけでなく、自分の能力を最大限に発揮させることができそうです。
適切な靴とインソールで
ケガを予防できる
身長が高いか低いか、太りやすいか筋肉質か、近視になりやすいかどうかなど、身体的な特徴は遺伝の影響を大いに受けています。足の形についても、親からの遺伝が関係していると大平さんは話していました。
「ただ、遺伝だからといって、あきらめる必要はありません。近視の場合、視力に合ったメガネをかければ、支障なく日常生活を送れるようになりますよね。足も同じように、靴とインソールを使うことで全身のバランスの調整ができます。メガネのフレームに当たるのが靴、レンズに当たるのがインソールなのです」
ハイアーチの人でも、適切な靴とインソールでケガを予防できます。
自分の親がハイアーチだったり、足の痛みに悩んでいたりしていれば、自分も同じ傾向があると考えて早めにケアを行いましょう。また、自分自身が足の変形や症状を抱えているときは、子どもの足にも注意を払いたいものです。
すでに足の痛みが起こってしまった状態でも、インソールで改善することは可能だ。症状に合わせたケアを大平さんが教えてくれました。
○外反母趾で痛みが生じているケース
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がり、親指の付け根が飛び出した状態です。そして、かかとから足の裏側を通って足の親指につながっている筋肉が、縮んで硬くなっています。
外反母趾になると、足の裏側の親指の付け根が痛くなるほか、飛び出した部分が靴で圧迫されたりこすれ合ったりして痛みが生じます。
足の裏の痛みについては、インソールで軽減できます。
そして大平さんが勧めてくれたのが、足の筋肉や腱を軟らかくするために、足の指を広げる体操。手の指を足の指の間に挟んで広げる体操も有効です。
ただ、足の指でグー、チョキ、パーを作る「足指じゃんけん」については、グーと足の指を内側に閉じる動きが筋肉や腱を縮ませるので、避けたほうがよいとのことでした。
○足がズキッと痛むケース
かかとや土踏まずがズキッ、ピキッと痛むときは、アキレス腱とふくらはぎの筋肉が硬くなって土踏まずがつぶれ、足の裏の腱に負担をかけている可能性が高いといえます。そのため、土踏まずをサポートするインソールを使用すると同時に、アキレス腱とふくらはぎを柔軟にするストレッチを行うとよいでしょう。
〇全身の血流を促す「ふくらはぎストレッチ」で足の痛みも解消!
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html
なお、ピリピリ・チリチリした痛みは、筋肉とは別の原因で起こっていることが多いため、病院を受診したほうがいいでしょう。
自分のかかとの幅に合わせて
靴を選ぼう
最後に、すべての人に共通して心がけたほうがいいことを大平さんに尋ねたところ、「靴選び」という答えが返ってきました。
「多くの人が、足幅ばかり気にしています。『外反母趾だから、ゆったりした靴を選んでいます』と話す人は少なくありません。しかし、靴を選ぶときに最初に気をつけてほしいのは、自分のかかとの幅に合わせることなんです」
冒頭で述べたとおり、足には個性があります。かかとが大きい人もいれば小さい人もいます。それぞれのかかとの幅に合わせて、ぴったりと合う靴を選ぶのが第一条件なのです。「かかとが合わない靴は、パカパカと脱げてしまうので、足の指に力が入って筋肉が縮こまってしまいやすいんです」と大平さん。
かかとの幅が合ったうえで、足の甲と足幅がフィットする靴を選ぶとよいそうです。
スニーカーの場合は、靴底の厚さもチェック。つま先部分よりもかかとのほうが1~2㎝ほど高くなっていると、安定感が増して、歩くときの体重移動がスムーズになるとのことでした。
「靴はデザインが重視されやすいのですが、自分の足に合わないために痛みや動きにくさが生じると、日常生活にも支障が出てきます。もっと自分の足の個性を大事にして靴を選び、インソールを利用してほしいと思います」
大平吉夫(おおひら よしお)
日本フットケアサービス株式会社 代表取締役社長。1993年 中部リハビリテーション専門学校卒業。1993年 有限会社えびす義肢共同設立 。2002年 米国Langer Biomechanics社 バイオメカニクス研修 。2005年 米国San Antonio Foot&Ankle Center Dr,Glenn A.Ocker,DPM(足病専門医)と顧問契約締結、米国Integrity Orthotic Laboratories ,Inc との装具製作技術提携を開始。2006年 日本フットケアサービス株式会社設立。
※この記事は、2018 年4月6日に大平吉夫氏をインタビューした内容をもとに作成しています。最新情報は大平氏に直接お尋ねください。
足の形は普段履いている靴や生活習慣の影響を受けますが、顔と同じように、生まれつき決まっている部分が大きく影響します。一人ひとりで異なる足の個性に合わせて靴を選び、インソール(靴の中敷き)を使うことで、日常生活を支障なく過ごせるだけでなく、自分の能力を最大限に発揮させることができそうです。
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足は顔と同じで一人ひとり異なる |
適切な靴とインソールで
ケガを予防できる
身長が高いか低いか、太りやすいか筋肉質か、近視になりやすいかどうかなど、身体的な特徴は遺伝の影響を大いに受けています。足の形についても、親からの遺伝が関係していると大平さんは話していました。
「ただ、遺伝だからといって、あきらめる必要はありません。近視の場合、視力に合ったメガネをかければ、支障なく日常生活を送れるようになりますよね。足も同じように、靴とインソールを使うことで全身のバランスの調整ができます。メガネのフレームに当たるのが靴、レンズに当たるのがインソールなのです」
ハイアーチの人でも、適切な靴とインソールでケガを予防できます。
自分の親がハイアーチだったり、足の痛みに悩んでいたりしていれば、自分も同じ傾向があると考えて早めにケアを行いましょう。また、自分自身が足の変形や症状を抱えているときは、子どもの足にも注意を払いたいものです。
すでに足の痛みが起こってしまった状態でも、インソールで改善することは可能だ。症状に合わせたケアを大平さんが教えてくれました。
○外反母趾で痛みが生じているケース
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がり、親指の付け根が飛び出した状態です。そして、かかとから足の裏側を通って足の親指につながっている筋肉が、縮んで硬くなっています。
外反母趾になると、足の裏側の親指の付け根が痛くなるほか、飛び出した部分が靴で圧迫されたりこすれ合ったりして痛みが生じます。
足の裏の痛みについては、インソールで軽減できます。
そして大平さんが勧めてくれたのが、足の筋肉や腱を軟らかくするために、足の指を広げる体操。手の指を足の指の間に挟んで広げる体操も有効です。
ただ、足の指でグー、チョキ、パーを作る「足指じゃんけん」については、グーと足の指を内側に閉じる動きが筋肉や腱を縮ませるので、避けたほうがよいとのことでした。
○足がズキッと痛むケース
かかとや土踏まずがズキッ、ピキッと痛むときは、アキレス腱とふくらはぎの筋肉が硬くなって土踏まずがつぶれ、足の裏の腱に負担をかけている可能性が高いといえます。そのため、土踏まずをサポートするインソールを使用すると同時に、アキレス腱とふくらはぎを柔軟にするストレッチを行うとよいでしょう。
〇全身の血流を促す「ふくらはぎストレッチ」で足の痛みも解消!
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html
なお、ピリピリ・チリチリした痛みは、筋肉とは別の原因で起こっていることが多いため、病院を受診したほうがいいでしょう。
自分のかかとの幅に合わせて
靴を選ぼう
最後に、すべての人に共通して心がけたほうがいいことを大平さんに尋ねたところ、「靴選び」という答えが返ってきました。
「多くの人が、足幅ばかり気にしています。『外反母趾だから、ゆったりした靴を選んでいます』と話す人は少なくありません。しかし、靴を選ぶときに最初に気をつけてほしいのは、自分のかかとの幅に合わせることなんです」
冒頭で述べたとおり、足には個性があります。かかとが大きい人もいれば小さい人もいます。それぞれのかかとの幅に合わせて、ぴったりと合う靴を選ぶのが第一条件なのです。「かかとが合わない靴は、パカパカと脱げてしまうので、足の指に力が入って筋肉が縮こまってしまいやすいんです」と大平さん。
かかとの幅が合ったうえで、足の甲と足幅がフィットする靴を選ぶとよいそうです。
スニーカーの場合は、靴底の厚さもチェック。つま先部分よりもかかとのほうが1~2㎝ほど高くなっていると、安定感が増して、歩くときの体重移動がスムーズになるとのことでした。
「靴はデザインが重視されやすいのですが、自分の足に合わないために痛みや動きにくさが生じると、日常生活にも支障が出てきます。もっと自分の足の個性を大事にして靴を選び、インソールを利用してほしいと思います」
大平吉夫(おおひら よしお)
日本フットケアサービス株式会社 代表取締役社長。1993年 中部リハビリテーション専門学校卒業。1993年 有限会社えびす義肢共同設立 。2002年 米国Langer Biomechanics社 バイオメカニクス研修 。2005年 米国San Antonio Foot&Ankle Center Dr,Glenn A.Ocker,DPM(足病専門医)と顧問契約締結、米国Integrity Orthotic Laboratories ,Inc との装具製作技術提携を開始。2006年 日本フットケアサービス株式会社設立。
※この記事は、2018 年4月6日に大平吉夫氏をインタビューした内容をもとに作成しています。最新情報は大平氏に直接お尋ねください。
文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
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