事業に失敗したから思うこと「ファンづくりに励むよりも、仕事のスキルを磨きましょう」

 「自分のファンになってもらいなさい」という言葉をよく耳にします。
 お客さんが自分のことを好きになって、応援してくれることがビジネスにつながるという意味ですね。


 ただ、店舗経営に失敗した経験から、ちょっと違うかもしれないと私は思うのです。
 応援してくれる人ではなく、宣伝に協力したりサービス・商品を買ってくれたりする人のほうが重要ではないでしょうか。


 私が開いていたお店には、近所の友達や昔の仕事仲間が来てはくれました。
 「がんばって」と声もかけてくれました。
 私のことを、少なからず、嫌いではなかった人はけっこういると思います。


 しかし、応援してくれる友達がいることと、仕事とは別。


 私自身のファンなんてどうでもいいんです。芸能人ではないので。
 極論を言えば、嫌われていたって、かまいません。
 私が作るサービスや商品、つまりが私が仕事をした結果に対するファンが必要なのです。
 「性格はあまりよくないけれども、きっちり仕事してくれるから、また頼もう」という人間関係が、仕事のベースです。


 アピールすべきは、「自分がどんな人間か」「どんな苦労をしてきたか」「どんなにがんばってきたか」ではなく、経験とスキル。あの有名ドラマのナレーションにある「専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器」ということですね。


 ということは、自分磨きや友達作り、長い自己PR作りよりも、コツコツと実力をつけて、仕事の結果を周りに認めてもらうことのほうを優先したほうがよさそうです。


 先日引退を表明したイチロー元選手が、次のように語っていました。



「生きざまでというのはよくわかりませんが、生き方と考えるならば、あくまで測り(はかり)は自分の中にあって、自分なりに測りを使って限界を見ながら、ちょっと超えていくということを繰り返していく。そうすると、いつの日からか、こんな自分になっているんだという状態になって。だから少しずつの積み重ねでしか自分を超えていけないと思うんですよね」




「一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて続けられないと僕は考えているので、地道に進むしかない。進むだけではなく、後退もしながら、あるときは後退しかしない時期もあると思いますが、自分がやると決めたことを信じてやっていく。それが正解とは限らないし、間違ったことを続けてしまうこともあるんですけど、そうやって遠回りすることでしか、本当の自分に出会えないという気がしています」





 そういう後ろ姿と、すばらしいプレーを見て、結果としてファンができています。
 プレーがヘニャヘニャだったら、ファンは生まれなかったのではないでしょうか。


 あのイチロー元選手だって、小さいことを積み重ねが大事だと語っているのです。
 ましてや私はもっと大事にしなければと、テレビで会見を見ながらしみじみ思った次第です。
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