全身の血流を促す「ふくらはぎストレッチ」で足の痛みも解消!

 まず、力を抜いた状態のふくらはぎを触ってみましょう。そしてギュッと力を入れた状態のふくらはぎを触ってください。
 硬さに変化はありましたか?

 力を入れても抜いても軟らかい場合は、ふくらはぎの筋肉が衰えている可能性があります。
 ただ、「固く引き締まっているから大丈夫」というわけでもありません。筋肉の柔軟性が失われて、「血液を押し出す」という働きができていない可能性があります。
 加えて、足の裏や腰などにも負担がかかっているでしょう。

 今回、ふくらはぎと血流、そして足・腰との関係について考えてみます。

ふくらはぎの筋肉は
血液を押し戻すポンプ
 「足は第二の心臓」と言いますが、ここでの「足」はふくらはぎを指しています。

 心臓から上を流れる血液は、重力に従って心臓に戻ります。
 しかし、心臓から下の血液は、重力に逆らわなければ滞ってしまうのです。

 重力に逆らって血液を流しているのが、ふくらはぎの筋肉です。筋肉が縮む・緩むを繰り返し、ポンプのように静脈を圧迫して血液を心臓に送り戻しています。乳搾りと同じ原理なので、「ミルキングアクション」とも呼ばれています。

 ミルキングアクションのカギが、筋肉の柔軟性。
 いつもフニャフニャ、またはカチカチの状態では、縮む・緩むがうまくできません。
 ふくらはぎの筋肉を柔軟にして、ミルキングアクションがきちんと行われる状態にすることが大切です。

 もう一つ、私たちの体で主に熱を生み出すのは筋肉です。体の熱産生の約6割が筋肉で行われているそうです。
 体の中で大きい筋肉は大腿四頭筋、大殿筋、内転筋といった下半身の筋肉です。

 全身の冷えを取るには、下半身の筋肉が動くことで温められた血液を、全身に巡らせる必要があるのです。

 つまり、ふくらはぎの筋肉が柔軟になれば、温かい血液が全身を巡り、体調が改善しやすくなるわけです。

ふくらはぎに違和感があれば
循環器科を受診
 「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」は女性に多く見られる病気です。その名のとおり、足の静脈が膨らんでボコッとこぶのようになってしまいます。そして痛みやしびれといった症状が現れることがあります。
 静脈の弁が壊れることが原因ですが、どうして弁が壊れるのかはわかっていません。

 「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」は、血液の塊である血栓が静脈の中にできて、詰まったことで起こります。「エコノミークラス症候群」とも呼ばれています。
 静脈に詰まっていた血栓が押し出され、肺の血管に詰まって肺塞栓症を招き、急死する危険性があります。

 深部静脈血栓症の初期症状として、ふくらはぎが腫れて痛み、違和感が現れることもあります。
 マッサージなどの施術を受けても、ふくらはぎの違和感が繰り返し起これば、深部静脈血栓症を疑って、循環器科を受診しましょう
 「エコノミークラス症候群」という呼び名から、長時間飛行機を乗った直後に起こると思っている人もいます。しかし、半年ほどたってから深部静脈血栓症が起こったケースもありました。
 また、仕事と趣味でパソコンに向かって長時間作業している座りっぱなし人にも起こっています。

 こうした病気を予防するには足の血流をよくすることも大事です。

ふくらはぎが固くなると
足や腰に痛みが出る
 ふくらはぎの筋肉が硬くなると、優しく着地できなくなり、ドンと足の裏が衝撃を受けます。こうして土踏まずのクッション作用が働かなくなり、足の裏が痛くなる「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」が発症する可能性があるのです。

 また、歩くときの衝撃が腰に伝って腰痛を引き起こすわけです。

 こうした足底腱膜炎と腰痛は、湿布やマッサージでは解消しません。
ふくらはぎを軟らかくする必要があります。

 ふくらはぎストレッチは気持ちのよい範囲内で行います。

 筋肉を伸ばす気持ちよさよりも、痛みのほうが勝っている場合は、逆に筋肉は伸びません。脳が痛みを感知して、筋肉を収縮させるほうに働くのです。

気持ちよく伸ばすのが
ポイント
ふくらはぎストレッチを行っているときは、ふくらはぎの内側と外側でどちらのほうがイタ気持ちよさを感じるのか、確かめましょう。また痛みが強い場合は、ふくらはぎ全体の筋肉ではなく、部分的に偏って筋肉を使っている可能性が高いと言えます。こうした筋肉の癖が、ふくらはぎに注意を向けながら伸ばしていくことで解消されます。

○筋肉を柔軟にして血流を改善する「ふくらはぎストレッチ
1 両足のつま先を正面に向けて立つ
2 片足を後ろに引き、つま先だけを床に着け、前足のひざの上に両手を置く
※このとき、骨盤と両足のつま先は正面に向ける
3 後ろに引いた足のかかとをゆっくりと床に着けていく



4 後ろに引いた足のひざを曲げながら、ゆっくりとかかとを上げる
骨盤や足をひねらないようにする

5 3と4を5回繰り返し、もう片方の足も同様に行う

○壁を使って行う「ふくらはぎストレッチ
1 壁の前に立ち、両手をついて、ひじを伸ばす
2 片足を後ろに引き、つま先だけを床に着ける
※このとき、骨盤と両足のつま先は正面に向ける
3 後ろに引いた足のかかとをゆっくりと床に着けていき、両手で壁を押す
4 後ろに引いた足のひざを曲げながら、ゆっくりとかかとを上げる
骨盤や足をひねらないようにする
5 3と4を5回繰り返し、もう片方の足も同様に行う
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