28年にわたるアトピー治療で見えてきた 心と皮膚の深い関係
アトピー性皮膚炎は、非常に厄介な病気です。
世界アレルギー機構(WAO)によれば、この数十年の間に、全世界の都市部でアトピー性皮膚炎の患者数が増え続けています。
世界各国でアトピー性皮膚炎の研究は行われてきましたが、いまだに原因不明。
「アトピー性皮膚炎はアレルギー性の病気ではない」と、アメリカの国立衛生研究所と慶應大学の研究グループが2015年に発表して、私たちを驚かせました。遺伝、食物、ダニ、細菌感染などさまざまな要素が、アトピー性皮膚炎に関係すると考えられています。
この不可解なアトピー性皮膚炎の原因として、患者やその家族の心の問題にいち早く着目し、治療に取り入れているのが須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)。
須階医師の専門は皮膚科ですが、アトピー性皮膚炎の治療のために心理療法も学び、患者にカウンセリングを行っています。
皮膚の症状と心の問題はどのように関係するのか、普段の生活でどのような注意をしたらいいのか、須階医師に話を聞きました。
「じっくりとお話を聞くだけで
治ってしまうことがありました」
須階医師が開業したのは21年前。当時のアトピー性皮膚炎の治療では、小児科医・内科医の多くがアレルギーを引き起こす食品やダニなどの除去を患者に指導していました。一方、皮膚科医は厳しい食事制限による栄養不良を指摘し、スキンケアの重要性を強調。そんな中、心と体の結びつきを最重視した須階医師は、日本では少数派だったでしょう。
「患者さんの心の状態が症状に大きく関係していると気づいたのは、大学病院の外来に勤務しているときでした。教授が診断すると、それだけで症状が急激に改善する患者さんがいたのです。権威がある人だと、こんなに違うんだなと(笑)。
私たちのような若い医師でも、じっくりと時間をかけて患者さんのお話を聞くだけで治ってしまうことがありました」
須階医師は勤務医の頃に心理療法などを学び、開業時にカウンセリングも取り入れました。
カウンセリングには、患者の心配や悩みを聞き取って、気持ちに共感しながら理解を示すというイメージがあります。しかし、須階医師の話では異なります。
「人間には変化を嫌って、現状を変えたくないという心理があります。患者さんの中には、『アトピーを治したい』『治らなくて苦しい』と口では言っていても、心の奥底では『これまでどおりアトピーでいたい』と願っている人もいるのです」
子どもの場合は、アトピー性皮膚炎によって両親からの関心が得られる。大人なら、「アトピーで大変だね」と周囲にいたわられ、仕事量などを軽減してもらえる……こうしたアトピー性皮膚炎であることのメリットから、治ろうとしない患者がいるそうです。
「カウンセリングで患者さんの話にただ耳を傾けるのではなく、見方を変えてあげる。また、患者さんがご自分の感情に気づく方向に話を進めていくこともあるのです」
日記を書いて「自分」を知ることが
改善につながる
須階医師がセルフケアとして勧めている方法が日記を書くこと。1日を振り返って、次の項目を書き留めるとよいそうです。
○何をした後で、どの部分のかゆみが強くなったか
○何を食べた後で、どの部分のかゆみが強くなったか
○どんな天候で、どの部分のかゆみが強くなったか
○どんなときに、どの部分をかきむしっていたか
「患者さんの中には、これまでどんな治療法で治らなかったのか、大量にレポートを作成しているケースがあります。こうしたレポートはアトピーの改善にほとんど役立ちません。
それよりも、普段の生活を見直して自分の弱点を知る、言い換えれば自分で自分に気づくことが有効なのです」
須階富士雄(すがい ふじお)
1962年、東京都生まれ。89年、聖マリアンナ医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学皮膚科に入局。東京慈恵会医科大学附属柏病院・町田市民病院での勤務を経て、96年に芝皮フ科クリニックを開院。
※この記事は、2017年9月26日に須階医師をインタビューした内容をもとに作成しています。最新情報は須階医師に直接お尋ねください。
世界アレルギー機構(WAO)によれば、この数十年の間に、全世界の都市部でアトピー性皮膚炎の患者数が増え続けています。
世界各国でアトピー性皮膚炎の研究は行われてきましたが、いまだに原因不明。
「アトピー性皮膚炎はアレルギー性の病気ではない」と、アメリカの国立衛生研究所と慶應大学の研究グループが2015年に発表して、私たちを驚かせました。遺伝、食物、ダニ、細菌感染などさまざまな要素が、アトピー性皮膚炎に関係すると考えられています。
この不可解なアトピー性皮膚炎の原因として、患者やその家族の心の問題にいち早く着目し、治療に取り入れているのが須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)。
須階医師の専門は皮膚科ですが、アトピー性皮膚炎の治療のために心理療法も学び、患者にカウンセリングを行っています。
皮膚の症状と心の問題はどのように関係するのか、普段の生活でどのような注意をしたらいいのか、須階医師に話を聞きました。
「じっくりとお話を聞くだけで
治ってしまうことがありました」
須階医師が開業したのは21年前。当時のアトピー性皮膚炎の治療では、小児科医・内科医の多くがアレルギーを引き起こす食品やダニなどの除去を患者に指導していました。一方、皮膚科医は厳しい食事制限による栄養不良を指摘し、スキンケアの重要性を強調。そんな中、心と体の結びつきを最重視した須階医師は、日本では少数派だったでしょう。
「患者さんの心の状態が症状に大きく関係していると気づいたのは、大学病院の外来に勤務しているときでした。教授が診断すると、それだけで症状が急激に改善する患者さんがいたのです。権威がある人だと、こんなに違うんだなと(笑)。
私たちのような若い医師でも、じっくりと時間をかけて患者さんのお話を聞くだけで治ってしまうことがありました」
須階医師は勤務医の頃に心理療法などを学び、開業時にカウンセリングも取り入れました。
カウンセリングには、患者の心配や悩みを聞き取って、気持ちに共感しながら理解を示すというイメージがあります。しかし、須階医師の話では異なります。
「人間には変化を嫌って、現状を変えたくないという心理があります。患者さんの中には、『アトピーを治したい』『治らなくて苦しい』と口では言っていても、心の奥底では『これまでどおりアトピーでいたい』と願っている人もいるのです」
子どもの場合は、アトピー性皮膚炎によって両親からの関心が得られる。大人なら、「アトピーで大変だね」と周囲にいたわられ、仕事量などを軽減してもらえる……こうしたアトピー性皮膚炎であることのメリットから、治ろうとしない患者がいるそうです。
「カウンセリングで患者さんの話にただ耳を傾けるのではなく、見方を変えてあげる。また、患者さんがご自分の感情に気づく方向に話を進めていくこともあるのです」
日記を書いて「自分」を知ることが
改善につながる
須階医師がセルフケアとして勧めている方法が日記を書くこと。1日を振り返って、次の項目を書き留めるとよいそうです。
○何をした後で、どの部分のかゆみが強くなったか
○何を食べた後で、どの部分のかゆみが強くなったか
○どんな天候で、どの部分のかゆみが強くなったか
○どんなときに、どの部分をかきむしっていたか
「患者さんの中には、これまでどんな治療法で治らなかったのか、大量にレポートを作成しているケースがあります。こうしたレポートはアトピーの改善にほとんど役立ちません。
それよりも、普段の生活を見直して自分の弱点を知る、言い換えれば自分で自分に気づくことが有効なのです」
須階富士雄(すがい ふじお)
1962年、東京都生まれ。89年、聖マリアンナ医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学皮膚科に入局。東京慈恵会医科大学附属柏病院・町田市民病院での勤務を経て、96年に芝皮フ科クリニックを開院。
※この記事は、2017年9月26日に須階医師をインタビューした内容をもとに作成しています。最新情報は須階医師に直接お尋ねください。

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