フリーランスのお金の話

 「これは『やりがい搾取』ではないか……」
 あるパンフレット制作会社で働いていたときに驚きました。
 その会社はプランナーがコンセプトを詰めないままにデザインに入る上、「修正は〇回目から有料」という料金体系にしていないので(何回でも無料)、クライアントから何度も修正が入ります。

 「これやって」「やっぱりやめた」というクライアントの思い付きに、若いデザイナーが振り回されている様子を見て、「いかんでしょ」と親目線で苦々しく思っていました。

 短期バイトで校正者という身分では何も言えなかったため、『クラナリ』では仕事の進め方と料金のつけ方について、じっくりと検討することにしていました。

 実は、ネット上でデザイン料金の目安を発表した人がいました。

平成の終わり汁さん
@anmain2525
https://note.mu/h_n_o_z/n/nd7c6d4d2b162
平成の終わり汁さん作成


 平成の終わり汁さんも説明されているとおり、あくまでも目安です。基本的に打ち合わせその他で料金は変わります。

 また、雑誌や書籍の基準は、一般的に、この図表よりはるかに低いです。図表・写真中心か文字中心かでも異なりますし、「ページいくら」ではなく「1冊いくら」とグロスで相談することが多々あります。

 そしてデザイナーだけでなく、すべての世界に共通していると思うのですが、新人は安く、名が売れている人は高くなります。
 わかりやすいのが美容師の世界。同じ「髪を切る」「セットする」という作業でも、美容師によって料金は雲泥の差。
 同じことがデザイナーでもカメラマンでもイラストレーターでも、さまざまな分野で当てはまるわけです。

 また、名が売れている人だからといって、自分(クライアント)が求めている形で仕事をするとは限りません。好き・嫌いにも似た感覚が関係してくるため、「料金が高い=満足度が高い」わけでもないのです。

 平成の終わり汁さんの発表には賛否両論がありました。『クラナリ』としてはもちろん賛成の立場なのですが、「誤解が生じるので危険」という立場の人の気持ちは、わからなくもありません。

 ただ、思うのです。
 「お金がいくらかかるかわからないから、誰にも頼めない」という不安や心配をぬぐい去らないと、クリエイターという仕事は消えていくのではないかと。

 出版業界は右肩下がり。
 IT技術の進歩で写真もイラストも参入者が増加。
 ストックフォト・イラストが便利でクライアント側は基本的に0円。
 デザインソフトが優秀で素人でも使用可能……
 環境は悪化していませんか。

 一方で、以前よりも起業のハードルが下がり、有償・無償問わず活動を始めようとする主婦にも多数会ってきました。
 そんな人がクリエイターに依頼しやすい環境になれば、新しいジャンルでの仕事が生まれるのではないでしょうか。

 主婦感覚として、「すべて時価」というお寿司屋さんの腕がよかろうとも、皿で値段がわかる回転寿司のほうが安心なので、利用するわけです。
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