どうして月経痛が起こるのだろうか ~子宮内膜症 その2 手術と対症療法<西洋薬>

 子宮内膜症の中で、最も治療法が明快なのは異所性子宮内膜症です。肺やへそなどに増殖した子宮内膜組織を取り除きます。

 しかし、そのほかの骨盤子宮内膜症・チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症)・子宮腺筋症については、非常に判断が難しいのではないでしょうか。
 骨盤子宮内膜症で癒着が見つかったとしても、はがそうとして臓器を傷つけたり、はがしたとしても再発しやすかったりするので、さまざまな判断が求められるからです。

 悪性化しやすいとされているチョコレート嚢胞についても、病変部だけを取り除くか、卵巣を摘出するかの判断も必要です。

 卵巣と子宮を取り除いてしまえば子宮内膜症とは決別できますが、女性ホルモンの分泌が止まって更年期症状が現れます。そして当然の話ですが、妊娠を希望している人には勧められません。

 子宮筋腫と同様に、自分がライフサイクルでどの地点にいるのかを確認して、治療法を検討することになるでしょう。


手術の種類

卵巣などは残しておきたい(保存的手術)→癒着をはがしたり、チョコレート嚢胞の病変部だけを取り除いたり、腹膜病変の焼灼を行ったりする

妊娠を希望しないし、根治させたい→卵巣・子宮全摘術

対症療法<西洋薬>

こちらについては、以下を参照してください。

どうして月経痛が起こるのだろうか ~子宮筋腫 その3 薬物療法と対症療法<西洋薬>
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2020/06/3.html


子宮筋腫と子宮内膜症は、過多月経や月経痛など症状が重なっていて、エストロゲンの働きで症状が悪化する点でも似ています。
 そして20年前の資料ですが、子宮筋腫の5~7割が子宮内膜症を合併しているといわれていました。



 子宮に関する病気でさまざまな医師を取材し、ネット情報も調べてきましたが、やはり「女性としての体に向き合う必要がある」という思いを強くしました。
 思春期は勉強やスポーツ、社会人になってからは仕事、そしてどの世代も"見られる側としての"女性の性ばかりを意識して、"子どもを生む"女性の性についてはないがしろにされてきたのではないでしょうか。

 賢く、有能でなくてはいけない。
 かわいらしくあらねばならない。
 優しくなるべきだ。
 愛される存在でありたい。


 そんな観念にガチガチになって、「月経は邪魔」「女は損」「胸は大きく、ウエストは細く」「男に気に入られなきゃ」などと、"子どもを生む"女性の性は、むしろ疎まれているようにも思えます。

 同様に観念ガチガチで、「経腟分娩でなければお産とは呼べない」「ピルは不自然で女性の体に悪い」と真顔で話す女性たちにも会ってきました。

 観念。
 女性の体にとって一番厄介な存在かもしれません。
 
 これを手放すには、体からのアプローチ、つまり養生が効果的なようです。特に体を動かすこと。ヨガでも太極拳でもウォーキングでも、なんでもかまいません。運動を取り入れて温かい血液を巡らせることは、痛みだけでなく、こり固まった観念を取り除くためにも効果があるようです。

◇関連記事
どうして月経痛が起こるのだろうか ~東洋医学の養生と漢方薬 その3(タイプ別養生術)
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2020/06/3_16.html

女性としての体に向き合うと、最終的に女性としての幸せをつかむことになる
https://sceltadelmetodo.blogspot.com/2019/03/blog-post_39.html



文/森 真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

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