細胞の内側でカリウムイオンが、外側ではナトリウムイオンが多いのはどうして?
○溶媒
水など、物質を溶かすもの。
○溶質
水などに溶けている物質。
物質が水に溶けると、物質を構成している原子や分子の周りを、溶媒の分子が取り囲んで、バラバラにされてしまいます。
例えば食塩NaClを水に溶かすと、食塩を構成している原子であるナトリウムNaと塩素Clのそれぞれの周りを水H2Oが囲んで、引き離されてしまいます。
そしてナトリウムはもともとプラスの電荷を持っているのNa+、塩素はマイナスの電荷を持っているのでCl-として、「電離(イオン化)」するのです。
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| http://e.sci.osaka-cu.ac.jp/yoshino/edu/water/chapter07.pdfより |
ただし、エタノールのように原子が引き離されず、分子のままで水の分子が取り囲むケースもあります。これは「水和」です。
○溶液
溶媒が溶けた溶質。溶液の中で濃度は均一。つまり、濃い部分や薄い部分は存在しません。
○拡散
濃度の違う溶液を混ぜたときに、濃度の濃い側の溶質が薄いほうへ移動して、均一になっていくことです。
※イオン独立移動の法則
溶液中にたくさんのイオンが溶けている場合、それぞれのイオンはそれぞれに濃度の低いほうへ移動して、溶液中で均一になろうとすること。
○濃度勾配
混ぜ合わせる溶液の濃度の差。濃度勾配が大きいほど、拡散しようとする力が強くなります。
○半透膜
溶媒だけを通して、溶質を通さない膜。
○浸透圧
半透膜を隔てて濃度の異なる溶液が接した場合、薄いほうから濃いほうへ溶媒が移動しようとして生じる圧力。
○選択的膜透過性
溶媒の中でも特定の物質だけを通す膜の性質。
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人の体には、体重の約60%の水が存在するといわれています(成人男性の場合)。つまり、体重が60kgならば、水は36kg=36リットルということ。
体内の水分である「体液」には、細胞膜の内側にある「細胞内液」と、外側にある「細胞外液(組織液、細胞間液)」に区別されています。
細胞内液の量は細胞外液の2倍で、体重が60kgだと細胞内液が 24 リットルあるのに対し、細胞外液は 12 リットルになるわけです。
細胞内液と細胞外液では、浸透圧は変わりません。ところが、細胞内液は細胞外液よりも2倍多いということは、細胞内のほうが溶質が多いからなのでしょうか。
※モルは6.02×10の23乗個の集団
細胞内液や細胞外液に含まれている電解質は、プラスかマイナスの電荷を帯びているため、引き寄せ合ったり反発し合ったりしています。
そしてイオン独立移動の法則で、細胞内液や細胞外液の中では均一で存在しています。プラスとマイナスの偏りはなく、電気的に中性が保たれています。
ところが、なんらかの理由でプラスとマイナスに偏りを生じさせて、プラスとマイナスを引き離したとしましょう。すると、プラスとマイナスが引き寄せ合い、すぐに戻ろうとします。
プラスとマイナスを引き離したときには、その間で「電位差」が生じたことになり、電圧が生まれます。
細胞の内と外を隔てている細胞膜。これは溶媒である水は通しますが、溶質のイオンは通さないという、「選択的透過性」の「半透膜」です。
そのために電荷を帯びたイオンは、細胞膜にある特別な通路「イオンチャネル」しか通れません。
○イオンチャネル
カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、塩素チャネルなど→1種類のイオンのみ選択的に透過させるイオンチャネル
カチオンチャネル→多くの種類の陽イオンを通すイオンチャネル
ここで本題。
ナトリウムイオンNa+とカリウムイオンK+は、どちらもプラスの電荷を1つ持っているイオンでありながら、細胞の内側でカリウムイオンが、外側ではナトリウムイオンが多いのはどうしてでしょうか。
一つの考察は、細胞内で合成される酸、例えば核酸のリン酸、たんぱく質のカルボン酸などの中和にカリウムイオンが必要ということ。
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細胞内の酸を中和するために海水中から陽イオンである K+ を取り込んだのかもしれない.海水中の陽イオンとしては Na+ も利用できそうであるが,Na+ は海水中に多量にあるのでこれを細胞内に取り込もうとすると一気に多量に流れ込み,細胞内液を瞬く間にアルカリ性にしてしまう危険性がある.そうなるとせっかくできた細胞内の反応系は反応を停止してしまう.しかし K+ だと海水中での濃度が非常に低いため細胞内に取り込まれる量は制限され,せいぜい酸を中和するのに必要な量ぐらいしか入らなかったのではないだろうか.あるいは,そのように調節することも容易であったと思われる.
---「細胞内外の K+ と Na+ の濃度勾配の必然性に関する一考察」より
生物は海で生まれ、最初は単細胞だったのですが、海水にはナトリウムイオンが大量に含まれ、カリウムイオンはそれよりも少ない状態です。
そして細胞外液は、海水の組成と濃度に似ているのだそうです。
海水と隔てて細胞が生命活動を行うに当たり、海水と組成・濃度を変えることで電気というエネルギーを生み出したのでしょうか。
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| http://www.auburn.edu/academic/classes/biol/1020/bowling/ppt/chapter25.pdfより |
■参考資料
http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1769.pdf


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