薬との付き合い方12 薬が体内に入ってくるルート

※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html


 薬の作用には、全身作用と局所作用があります。

〇全身作用  有効成分が消化管などから吸収されて血液中に入り、全身を巡って効果を発揮(効果が出るまでに、ある程度時間がかかる)
〇局所作用  特定の部位に効果を発揮(薬を使うのは特定の部位なので、効果が早く現れる)


 膨潤性下剤や生菌製剤などのように、有効成分が腸で働くことが限定されていれば局所作用です。一方、胃腸に作用する薬でも、有効成分が血液中に入ってから効果を発揮するのであれば、全身作用になります。


 薬が体に入って来るか、ルートは以下の3つです。
① 消化管からの吸収 
② 粘膜からの吸収
③ 皮膚からの吸収 


① 消化管吸収

 内服薬の中でも錠剤、カプセル剤などの固形剤の場合、多くが胃で有効成分が溶け出します。ただ、「腸溶性製剤」は腸で溶け出すように作られています。そして、「徐放性製剤」といって、服用後の作用を持続させるため、有効成分がゆっくりと溶出するように作られているものもあります。


 薬の有効成分は主に小腸で吸収されます。このとき、濃度の高いほうから低いほうに拡散していく形で、小腸が吸収しています。小腸が積極的に薬の成分を吸い取っているわけではないのですね。

 

 有効成分が吸収される量や速度は、小腸の中にある物(食べた物)やほかの薬の作用の影響を受けます。

 成分によっては消化管の粘膜を傷つける可能性もあるので、薬を飲むタイミングを食前・食後などと決めているわけです。


 膨潤性下剤や生菌製剤など、口から飲んでも腸にだけ働きかけてほしい薬の場合、成分がそのまま便となって排泄されることになります。しかし、腸から吸収されてしまって、血液中に移り、副作用が出ることもあります。




② 粘膜からの吸収

 粘膜から有効成分を吸収する場合、静脈血は肝臓を経由せずに心臓に戻ります。つまり、有効成分が肝臓で代謝されずに、全身に送られるのです。ですから、早く作用が現れますが、副作用のリスクも気をつけなければなりません。

 それから、粘膜が傷ついている場合は、有効成分が急激に吸収されることになるため、薬の使用を控えます。

〇坐剤
  肛門から薬を挿入し、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させます。直腸の粘膜下には静脈がたくさん分布していて、有効成分は簡単に血液中に入ります。ですから内服するよりも全身作用が早く現れます。
〇舌下錠、咀嚼剤
 抗狭心症薬の ニトログリセリン (舌下錠、スプレー )や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤、ニコチンガム)などは有効成分が口腔粘膜から吸収されます。
〇点鼻薬
 一般用医薬品には、全身作用を目的にした点鼻薬はありません。鼻水を止めるなど鼻腔粘膜に効くように作られた薬です。
 しかし、鼻腔粘膜の下には毛細血管がびっしりと張り巡らされているので、点鼻薬の成分が血液に移りやすい状態です。
〇点眼薬
 目の粘膜に使う点眼薬は、鼻涙管を通って鼻腔粘膜から吸収されることがあります。そのため、鼻涙管のある目頭を押さえて点眼し、成分が鼻に流れるのを防ぐ必要があるケースもあります。
〇うがい薬
 のどの粘膜に使う含嗽薬(うがい薬)では、その多くが 唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、 咽頭粘膜から吸収されにくい状況です。

③ 皮膚吸収 

 塗り薬、貼り薬は、局所的な効果を目的とするものがほとんどです。「肩が凝って痛いから湿布薬を貼る」という感じですね。

 ただ、有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する薬は、皮膚に傷があったりすると、急激に吸収が進むこともあります。薬を使う皮膚の状態をチェックすることが大事なのですね。



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