薬との付き合い方13 ドラッグデリバリーシステム 

 ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html



 すべての細胞は必要な物質を取り込み、老廃物を排出する機能を持っています。この仕組みを利用して、薬を目標とする細胞などに効果的に送り届けることをドラッグデリバリーシステム(DDS:Drug Delivery System)といいます。


 ドラッグデリバリーシステムに関係しているのが、①受容体、②トランスポーター、③酵素です。


①受容体(レセプター)

 タンパク質などの大きな分子(細胞外物質、リガンド)が、細胞膜上の受容体(レセプター)に結合すると、物質を取り込む現象(エンドサイトーシス)が起こります。そして、細胞膜が落ちくぼんで大きな分子を包み込んで、取り込んでいます。


②トランスポーター

 トランスポーターとは、細胞膜に存在する膜タンパク質です。

 細胞は、脂質二重膜である細胞膜で覆われています。そのため、脂溶性の低分子物質は細胞膜を簡単に通過できるのですが、グルコース、アミノ酸といった水溶性の物質は通過できません。こうした物質を取り込むのがトランスポーター。

 トランスポーターには細胞内から不要な物質を運び出すという働きもあります。

③酵素

 酵素は、物質の化学変化を促進するタンパク質です。

国立研究開発法人科学技術振興機構内ページより


 薬の成分は、血液に乗って運ばれ、細胞の外側にある液体(細胞外液)に染み出して、受容体やトランスポーター、酵素の働きで細胞の外から中へと移動します。

 そして細胞外液の薬の成分の濃度があるラインを越えると、効果は頭打ちになるのですが、副作用や毒性が強くなります。

 ですから、薬の成分が細胞に取り込まれやすく、なおかつ副作用や毒性が抑えられるラインを見極めることが大事。ただ、細胞外液の薬の成分の濃度は調べられないので、血中濃度を測定するわけです。


 薬の血中濃度には、効果が現れない「無効域」、効果が発揮される「有効域」「治療域」、毒性が現れる「危険域」「中毒域」があります。薬の使用量・間隔は、「有効域」「治療域」に収まるように設定されています。


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薬の効果とリスク=用量ー反応関係=薬物曝露時間(薬物と体が接触してる時間)×曝露量(薬物が体の中に入っていった量)


〇無作用量  何の影響も見られない投与量
〇最小有効量 薬理効果が現れる最小の投与量
〇治療量上限(最大耐用量) 効果は強いが、有害反応が出る一歩手前の投与量
〇中毒量 効果よりも有害反応が強く現れる投与量
〇最小致死量(LD0) 死に至らせる最小の投与量
〇50%致死量(LD50) 動物の半数が死亡する投与量
〇確実致死量(LD100) 動物のすべてが死亡する投与量

※最小有効量~治療量上限が「治療量(臨床用量)」
※最小致死量~確実致死量が「致死量」
時事メディカル中毒〔ちゅうどく〕 より

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