薬との付き合い方14 全身的に現れる薬の副作用

   ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html



 全身的に現れる薬の副作用には、
1)ショック(アナフィラキシー)
2)重篤な皮膚粘膜障害
3)肝機能障害
4)偽アルドステロン症
5)体の抵抗力の低下など
があります。


 2)重篤な皮膚粘膜障害である皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、発生は非常にまれですが、いったん発症すると多臓器障害の合併症など命の危険にさらされることがあります。

 また皮膚症状が軽快した後も、目や呼吸器に障害が残ることもあります。

 ですから、以下の症状が続いたり、急激に悪化したりしたら、薬の使用をやめて、すぐに皮膚科の専門医を受診しましょう。

○ 38℃以上の高熱 
○ 目の充血、目やに(眼分泌物)、まぶたの腫れ、目が開けづらい 
○ 唇の違和感、唇や陰部のただれ 
○ 排尿・排便時の痛み 
○ のどの痛み 
○ 広範囲の皮膚の発赤 


 特に、両目に現れる急性結膜 炎(結膜が炎症を起こし、充血、目やに、流涙、かゆみ、腫れを生じる病態)は、皮膚や粘 膜の変化とほぼ同時期か、半日から1日ほど先行して生じます。急性結膜 炎の症状が現れたときは、皮膚粘膜眼症候群か中毒性表皮壊死融解症の前兆である可能性を疑うことが重要。 

 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、原因となる薬の使用開始後2週間以内に発症することが多いのですが、1カ月以上たってから起こることもあります。


1)ショック(アナフィラキシー) 

 ショック(アナフィラキシー)とは、アレルギー反応の一種で、反応がとても早く現れます。以前に、ある薬でじんましんが出た人は、同じ薬でショックが起こる可能性が高くなります。

 主なショック症状は、以下のとおり。 

〇顔や上半身の紅潮・熱感
〇皮膚のかゆみ、じんましん
〇唇や舌・手足のしびれ感
〇むくみ (浮腫)
〇顔面蒼白、吐き気
〇手足の冷感
〇冷や汗
〇息苦しさ・胸苦しさ
重篤副作用疾患別対応マニュアル より


 病態は急速に悪化することが多く、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難などが現れ、死に至るケースもあります。

 通常、2時間以内に病態が急変するため、すぐに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要があります。

 ただし、本人や周囲の人が焦ってしまうと、適切な対処ができません。冷静になることが大切です。


2)重篤な皮膚粘膜障害 

 (a) 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群、SJS) 

 38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、やけどのような水疱といった激しい症状が、短時間のうちに全身の皮膚、口や目などの粘膜に現れる病態です。

 発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されています。発症機序の詳細は不明。発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は困難です。

 処方薬の抗菌薬、解熱消 炎鎮痛薬、抗けいれん薬、また総合感冒薬(かぜ薬)のような市販の医薬品でも見られることがあるとのこと。

重篤副作用疾患別対応マニュアル より


(b) 中毒性表皮壊死融解症(TEN、ライエル症候群) 

 38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上にやけどのような水疱、皮膚の剥離、びらんなどが認められ、かつ、唇の発赤・びらん、目の充血などの症状を伴う病態。

 皮膚粘膜眼症候群と関連のある病態と考えられていて、中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型と考えられています。発生頻度は、人口100万人当たり年間0.4~1.2人と報告されています。発症機序の詳細は不明。発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は困難です。


3)肝機能障害 

 薬の有効成分または代謝物が肝臓にダメージを与えて起こる中毒性のものと、有効成分に対するアレルギー性のものがあります。

 軽度の肝障害の多くが、自覚症状がなく、健康診断などの血液検査(肝機能検査値の悪化)で初め て判明します。主な症状は、倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚のかゆみ、吐き気です。 吐きけ等があ 黄疸とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留して、皮膚や白目が黄色になる病態。また、血液中のビリルビンが尿に排出されて、尿の色が濃くなることもあります。 

 肝機能障害が疑われた時点で、薬の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要。ほうっておくと、肝不全になって死ぬリスクが出てきます。

 薬のほかにも、健康食品、ダイエット食品として購入された無承認無許可医薬品を使って、重い肝機能障害が起こることもあります。


4)偽アルドステロン症 

 体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないので、偽アルドステロン症と呼ばれています。

 甘草を使った漢方薬には、必ず、 偽アルドステロン症 の注意が促されていますね。

 主な初期症状は、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、む くみ(浮腫)、のどの渇き、吐き気・嘔吐。病態が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行 困難、痙攣などを生じます。 

 小柄な人や高齢者で生じやすく、原因とのなる薬を長期にわたって使用したときに発症する場合もあります。

 そして、複数の薬や、薬と食品との相互作用が起きることがあります。甘草は名前のとおり、甘い草で、お菓子にも使われている場合があります。ですから、知らないうちに大量に甘草を摂取していることもあるそうです。

 「なんかおかしい」と思いながらも重症化させてしまう例が多いとのこと。十分に注意しましょう。


5)体の抵抗力の低下など

 薬が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵 抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、のどの痛み、口内炎、倦怠感などが出ることがあります。 かぜの症状と見分けることが難しいため、薬が原因とは気づきにくいようですね。進行すると重症の細菌感染を繰り返し、命のリスクも。思い当たったらすぐに薬の使用をやめ、血液検査ができる医師の診断を受ける必要がります。

 ステロイド性抗炎症薬や抗がん薬で体の抵抗力が落ちることが知られています。

 ほかにも、薬が原因で血液中の血小板が減少し、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)や口腔粘膜の血腫などの内出血、経血が止まりにくい(月経過多)などが現れることがあります。脳内出血といった重篤な病態への進行を予防するため、症状に気付いたら薬の使用を中止して、早期に医師の診療を受ける必要があります。

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