薬との付き合い方16 消化器系に現れる薬の副作用

※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html



 精神神経系に現れる副作用には

(a) 消化性潰瘍
(b) イレウス様症状(腸閉塞様症状)
(c) その他

があります。


(a) 消化性潰瘍

 胃や十二指腸の粘膜には、内部から外部に向けて、6つの層があります。

粘膜層
粘膜筋板
粘膜下層
固有筋層
漿膜下層
漿膜

 粘膜層の上には胃の粘液があり、粘液で食品を溶かしているわけです。

国立がん研究センターがん情報サービス より


 消化性潰瘍は、薬の副作用で胃や十二指腸の粘膜組織が傷ついて、傷の一部が粘膜筋板を超えてしまった状態である。

 消化性潰瘍では、以下の症状が現れます。

〇胃のもたれ
〇食欲低下
〇胸やけ
〇吐きけ
〇胃痛
〇空腹時にみぞおちが痛くなる
〇便が黒くなる(消化管出血があるため)


 ただ、自覚症状が乏しい場合も珍しくありません。突然の吐血・下血で発見されることもあります。


(b) イレウス様症状(腸閉塞様症状)

 「イレウス」は、便やガスのうまく排出されない状態。腸自体は詰まっていなくても、薬で腸管運動がマヒしてしまって、以下の症状が現れることがあります。

〇激しい腹痛
〇ガス腹(おならが出なくて苦しい状態)
〇嘔吐
〇腹部膨満感を伴う著しい便秘


 おなかが痛いので、水を飲んだり何か食べたりする気になれないときには、脱水症状になることもあります。また、腸内細菌の異常増殖で全身状態の衰弱が急激に進行する可能性があります。 963

 小児や高齢者、そして普段から便秘傾向の人は、イレウス様症状が起こりやすいといえます。

 それから、下痢をしていた人が薬などで治療して便秘になってしまい、それをほうっておいてイレウス様症状が引き起こされることもあります。


(c) その他

 薬が原因で以下の症状が現れたら、すぐに服用をやめます。

〇吐きけ ・ 嘔吐
〇食欲不振
〇腹部(胃部)不快感
〇腹部(胃部)膨満感
〇腹痛
〇口内炎
〇口腔内の荒れや刺激感な


 また、以下の症状が続いたり、症状が悪化したときにも、すぐに使用をやめます。

〇口渇
〇便秘
〇軟便、下痢
〇肛門部の熱感等の刺激(浣腸剤や 坐剤の使用によって現れる)
〇排便直後の立ちくらみ(浣腸剤や 坐剤の使用によって現れる)
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