薬との付き合い方4 副作用

  ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html


薬の副作用 ~世界保健機関(WHO )
「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」

 上記の定義だと、通常よりも多い量の薬を使って体に害が及んだ場合には、「副作用」という言葉は使わないのですね。

 薬の副作用には、①薬理作用による副作用と②アレルギー(過敏反応)があります。それぞれについて見ていきましょう。

①薬理作用による副作用

 「薬理作用」とは、薬が私たちの体の機能(生理機能)に影響を与えること。
 薬の薬理作用は、多くの場合、1つだけではなく、複数あります。例えば、炎症を鎮めて腫れや痛みを抑える「アスピリン」。熱を下がる作用や血液を固まりにくくする作用、そして胃の粘膜の防御機構を抑える作用もあるわけです。
 患者が訴える頭痛を抑えるために、医師がアスピリンを処方したとしましょう。このときの「痛みを抑える」は「主作用」で、薬を飲むことで期待される有益な反応です。
 しかし、アスピリンによって患者の胃の調子が悪くなってしまったら(有害事象)、これを薬の副作用として扱うわけです。
 よかれと思って処方したのに、頭痛は治まったものの胃の調子が悪くなる、あるいは別の病気の治療の妨げになることもあります。

②アレルギー(過敏反応)

 「免疫」は私たちの体に備わっている防御機能。体の外から有害な細菌やウイルス、花粉などが体の中に入ってきたとき、そして体の中でがん細胞ができたときなど、細菌やウイルス、がん細胞などを排除して、正常な細胞を守っています。排除する際に、炎症や痛み、熱などが発生するのですが、それは通常の免疫反応。
 ところが、免疫反応が激しくなると、炎症で強いかゆみやヒリヒリした痛みが現れたり、高熱が発生したりします。これがアレルギー反応。涙が止まらない、目や鼻がかゆい、ブツブツと湿疹が出てきたなど、反応はさまざまです。
 アレルギーは、どんな物質でも起こる可能性があります。花粉症はその名のとおり花粉が原因だし、日光を浴びると炎症が起こる光線過敏症(日光アレルギー)もあれば、小麦や卵、牛乳などを食べるとアレルギー反応が起こる人は少なくありません。アレルギー反応を引き起こす物質を「アレルゲン」といいます。
 薬もアレルゲンになり得ます。また、普段は大丈夫なのに、疲労や病気などで体の抵抗力が落ちているときにアレルギー反応が出ることもあります。
 アレルギーには、体質的・遺伝的な要素が関係しています。生まれつきアレルギーを起こしやすい人や、親など親類にアレルギー体質の人がいる場合には、薬を使う上で注意が必要です。 
 さらに、以前に薬でアレルギーを起こした人は、その薬は避けましょう。
 薬の中には卵や牛乳が原材料の場合もあり、こうした食品にアレルギーがある人には使用しません。
 加えて、薬の有効成分ではなく、黄色4号(タートラジン)、カゼイン、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、ピロ硫 116 酸カリウムなど)といった添加物がアレルゲンになることも報告されています。

副作用が出やすい人

アレルギーのある人
過去にひどい副作用を経験したことがある人
肝臓や腎臓など、薬の成分を代謝・排せつする臓器に疾患のある人
複数の薬を飲んでいる人
妊娠している女性、妊娠の可能性のある女性、授乳中の女性
高齢者


 当然の話ではありますが、薬の副作用が起こらないようにしたいもの。そのために重要なのは、以下の3点です。
〇副作用が起きる仕組みや起こしやすい要因の認識
〇副作用と関係する体質や体調などの把握
〇適切な医薬品の選択と適正な使用

 薬が私たちの体に及ぼす作用は、すべてが解明されているわけではありません。上記3点に十分注意しても、副作用が生じることがあるのです。
 ですから、「副作用はあって当たり前」ぐらいの気持ちで、副作用の兆候を認識できるようにしたいもの。副作用で体調を大きく悪化させてアナフィラキシーを起こさないためにも、早期発見・早期対応が重要です。
暮らしに役立つ情報(政府広報オンライン)より



 一般用医薬品については、比較的軽い症状を改善させるために、薬剤師などの専門家ではない私たちが、自分の判断で使っています。薬をやめたとしても、もともとの症状は軽いので、さほど生活に支障はないはずです。
 ですから、副作用の兆候が見られたらすぐに薬を使わないほうがよいということになります。そして医師や薬剤師などに相談をしましょう。
 一般用医薬品の販売に携わっている人は、どのように副作用が現れたのかなどを購入者や家族から聞いて、薬に関する情報提供を行うだけでなく、すぐに医療機関を受診するように告げる必要があります

 副作用は、すぐにわかるものだけでなく、血液や内臓機能に影響を及ぼして自覚症状が出ない場合もあります。薬を長期にわたって使うときには、現時点では異常が感じられなくても、医療機関を受診したほうがいいでしょう。

暮らしに役立つ情報(政府広報オンライン)より


 医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページには、薬を使う際に必要な情報がアップされているだけでなく、副作用の情報を公表されています。

■参考資料
薬の副作用かな?と思ったらすぐに医師にご相談を!
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