薬との付き合い方22 かぜ薬の成分 主に西洋薬

   ※この記事は「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」の「医薬品の本質」をベースに、個人的な勉強を目的として作成しています。

〇試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html


 かぜ薬を一定期間または一定回数使用して、症状の改善が見られない場合は医療機関を受診しましょう。
 特に、かぜ薬の使用後に症状が悪化した場合には、間質性肺炎やアスピリン喘息など、副作用の可能性があります。

 高熱、黄色や緑色に濁った膿性の鼻汁・痰、のど(扁桃)の激しい痛みや腫れ、呼吸困難を伴う激しい咳があれば、初めから医療機関で診療を受けましょう。また、慢性の呼吸器疾患、心臓病、糖尿病などの基礎疾患がある人の場合も、同様です。

 2歳未満の乳幼児には、医師の診断を受けさせることが優先。小児のかぜでは、急性中耳炎を併発しやすいので、症状が長引く場合は、受診させましょう。

副作用と関係する成分

偽アルドステロン症を生じることがある主な成分

グリチルリチン酸二カリウム
グリチルレチン酸
カンゾウ

腎障害、無菌性髄膜炎を生じることがある主な成分

イブプロフェン

眠気や口渇が現れることがある主な成分

抗ヒスタミン成分
※眠気については、鎮静成分でも現れることがある

便秘が現れることがある主な成分

コデインリン酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩

排尿困難が現れることがある主な成分

抗コリン成分(べラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド)
抗ヒスタミン成分
マオウ

(a)解熱鎮痛成分 発熱を鎮め、痛みを和らげる

□西洋薬

アスピリン→小児に対してはいかなる場合も使用しない
サリチルアミド→15歳未満の小児で水痘(みずぼうそう、インフルエンザにかかっているときは使用を避ける必要がある
エテンザミド→15歳未満の小児で水痘(みずぼうそう)、インフルエンザにかかっているときは使用を避ける必要がある
アセトアミノフ ェン
イブプロフェン→小児に対してはいかなる場合も使用しない
イソプロピルアンチピリン

□生薬

ジリュウ 地竜(乾燥させたミミズ)
ショウキョウ 生姜
ケイヒ 桂皮(シナモン)
ゴオウ 牛黄(牛の胆のう中に生じた結石)
カッコン 葛根(マメ科のクズの根)
サイコ 柴胡(セリ科の植物の根茎)
ボウフウ 防風(セリ科の植物の根茎)
ショウマ 升麻(キンポウゲ科の植物の根茎)
センキュウ 川芎(セリ科の植物の根茎)
コウブシ 香附子(カヤツリグサ科の植物の根茎)

photo by pavel danilyuk(Pexels)


(b)抗ヒスタミン成分、抗コリン成分 くしゃみや鼻汁を抑える

□抗ヒスタミン成分

クロルフェニラミン マレイン酸塩 (マレイン酸クロルフェニラミン)
カルビノキサミン マレイン酸塩 
メキタジン
クレマスチン フマル酸塩 
ジフェンヒドラミン 塩酸塩

□抗コリン作用 筋肉を収縮させる神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑える作用

ベラドンナ総アルカロイド
ヨウ化イソプロパミド

(c)アドレナリン作動成分 鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡張させる

□西洋薬

メチルエフェドリン塩酸塩
メチルエフェドリンサッカリン塩
プソイドエフェドリン 塩酸塩

□生薬

マオウ 麻黄(マオウ科の植物の地上茎)

※エフェドリンは麻黄から抽出された成分だそうで、すべてに依存性があるので要注意!

(d)鎮咳成分 咳を抑える

□西洋薬

コデイン リン酸塩 →依存性がある
ジヒドロコデイン リン酸塩  →依存性がある
デキストロメトルファン 臭化水素酸塩
ノスカピン
チペピジン ヒベンズ酸 塩 
クロペラスチン 塩酸塩 

□生薬

ナンテンジツ 南天実(メギ科の木の果実)


(e)去痰成分 痰の切れを良くする

□西洋薬

グアイフェネシン
グアヤコールスルホン酸カリウム
ブロム ヘキシン 塩酸塩 
エチルシステイン 塩酸塩 

□生薬

シャゼンソウウ 車前草(オオバコ)
セネガ ヒメハギ科の植物の根でアメリカ原産。もとは先住民族のセネカ族が、ガラガラヘビにかまれたときの応急処置に使ったらしい
キキョウ 桔梗(キキョウ科の植物の根)
セキサン 石蒜(ヒガンバナ科の植物の球根)
オウヒ 桜皮(バラ科の木の樹皮)


(f)抗炎症成分 炎症による 腫れを和らげる

セミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン

 どちらもタンパク 質分解酵素で、体内で産生される炎症物質(起炎性ポリペプチド)を分解します。
 また、炎症を生じた組織では、毛細血管やリンパ管にフィブリン類似の物質が沈着して炎症浸出物が貯留しやすくなります。セミアルカリプロティナーゼ、ブロメラインは、沈着物質を分解して、浸出物の排出を促し、炎症による腫れを和らげます。

 セミアルカリプロティナーゼには、痰粘液の粘り気を弱めて痰を切れやすくする働きにあります。

 どちらとも、フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用もあります。血液凝固異常のある人では、出血傾向を悪化させるおそれがあるので、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
 血液凝固異常がない場合でも、まれに血痰や鼻血などの出血性の副作用が出ることも。
 また、肝機能障害があると、代謝や排泄が遅れてしまって、副作用のリスクが高くなります。


トラネキサム酸

 体内で炎症を起こす物質の産生を抑えて、腫れを和らげます。
 固まった血液を溶かしにくくする働きがあります。ですから、血栓のある人 (脳血栓、心筋梗塞 、血栓性静脈炎など)や、血栓を起こすおそれのある人が使用する場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。

グリチルリチン酸二カリウム

 グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸。グリチルリチン酸を大量に摂取すると、偽アルドステロン症を生じる可能性があります。偽アルドステロン症のリスクが高いむくみ、心臓病、腎臓病、高血圧のある人や高齢者は、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
 そうでない人も、グリチルリチン酸の1日最大服用量が 40 mg 以上となる薬は長期連用を避けましょう。

 グリチルリチン酸はさまざまな薬に配合されているだけでなく、 甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広く用いられているので要注意。

(g)鎮静成分

□西洋薬

ブロモバ レリル尿素
アリルイソプロピルアセチル尿素

※すべてに依存性があるので要注意!

(h)制酸成分 胃酸を中和して胃腸障害の軽減

□西洋薬

ケイ酸アルミニウム
酸化マグネシウム
水酸化アルミニウムゲル

(i)カフェイン類 鎮痛作用を補助 ※眠気が解消されるわけではない

□西洋薬

カフェイン
無水カフェイン
安息香酸ナトリウムカフェイン

(i)ビタミン成分など

□西洋薬

ビタミンC(アスコルビン酸、 アスコルビン酸カルシウム )
ビタミンB 2 (リボフラビン、 リン酸リボフラビンナトリウム)
ヘスペリジン
ビタミンB 1 (チアミン 硝化物 、フルス ル チアミン 塩酸塩 、ビスイブチアミン、チアミンジスルフィド 、ベンフォチアミン、 ビスベンチアミン )
アミノエチルスルホン酸(タウリン)

□生薬

ニンジン 人参(ウコギ科のオタネニンジンの根茎)
チクセツニンジン 竹節人参(日本特産の多年草であるウコギ科のトチバニンジンの根茎)

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