こむら返りの予防と治療の両方に効果がある漢方薬「芍薬甘草湯」

 こむら返りとは「足がつる」という現象で、突然、ふくらはぎの筋肉が収縮して、激痛が走ります。その原因はまだよくわかっていませんが、夏は脱水が、冬は冷えが関係していると考えられます。
 運動をしている最中だけでなく、寝ているときにこむら返りが起こることもあります。



 夜間のこむら返りについては、高齢者に多く見られます。その理由として、加齢による「肝」の衰えが考えられると、漢方の専門家である薬剤師から聞きました。

 漢方では、体の中を「気血水」が巡り、肝・心・脾・肺・腎の「五臓」がきちんと働くことで、生命活動が営まれていると考えられています。


 加齢に伴う体の機能の低下は、生まれたときに腎に備わっていた気が減ってきたことで現れます。そして腎と関係の深い肝に影響が及び、目がかすんだり、爪がもろくなったり、筋肉が弱くなったりするのです。

 そのため、たとえ気持ちは若くても、年齢を重ねると疲労や脱水からの回復が遅くなり、夜になってからこむら返りが起こりやすくなると、薬剤師は話していました。

 そして、薬剤師から特効薬として紹介されたのが、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。筋肉の収縮を緩めて痛みを止める「緩急止痛」の効果があり、昔はおなかが差し込むような痛み(腹直筋の痙攣)に使われていたとのこと。

 芍薬甘草湯に使われている生薬は、芍薬と甘草の2種類だけです。このようなシンプルな漢方薬は「鋭く効く」とされていて、こむら返りが始まってから飲んでも、すぐに効果が実感できるのです。
 生薬の芍薬には「補血」という効果があり、筋肉に血を補うことで収縮を緩めるように働きます。
 そして甘草は、文字どおり甘みがあって、体に潤いを与えます。また、さまざまな生薬を調和する働きがあることから、漢方薬によく使われているだけでなく、甘味料としても使われています。そのために注意が必要なのは、甘草の取り過ぎが招く偽アルドステロン症です。
 偽アルドステロン症とは、アルドステロンというホルモンが、あたかも過剰に分泌されているかのような症状が現れることです。症状には、むくみや高血圧、吐き気、動悸が挙げられます。
 さまざまな漢方薬を飲んでいる人は、甘草を取り過ぎるリスクが高いので注意が必要です。自分が飲んでいる薬の種類を記録して、薬局で相談するといいでしょう。

 私の先輩に当たる医療ライターが、深夜、こむら返りが起こったときに芍薬甘草湯を飲んだところ、すぐに痛みが引いたと話していました。
 それで私も、枕元には芍薬甘草湯と、水の入った水筒を置いて寝ています。以前にこむら返りを経験したときに、軽いパニック状況に陥ったのですが、芍薬甘草湯があれば安心できます。




 

 芍薬甘草湯はこむら返りのおよそ7割に効果を発揮するそうで、効かないタイプには「水毒」が関係しているとのこと。水分が全身をきちんと巡らず、一部にたまってしまうことで、むくみや冷えとともにこむら返りが引き起こされるわけです。
 水毒によるこむら返りには、関節の腫れやむくみを取り除く効果もある「九味檳榔湯(くみびんろうとう)」を、薬剤師はお勧めしていました。

 漢方薬のほかに、こむら返りを予防する方法として、こまめに水分を補給することと、足の血行をよくしておくことが挙げられます。足のマッサージやストレッチを心がけるとよさそうです。

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