『闇金ウシジマくん』で考える、日本社会によくいる「みんながいいっていうものだけ選んできた」女性たち
「自分が選んできたものが 本当に心から望んだものか 自信がないんです……」
『闇金ウシジマくん』(著/真鍋 昌平 小学館)26巻の登場人物である上原まゆみが、電話で占い師に告白した内容です。


周囲からは何の問題もなさそうに見える女性が抱える心の隙間。
それは、人生に対する確信のなさなのです。例えば貧しくて一日中働き通しだったり、鬼に襲われる危険に満ちていたり、戦場で弾丸から逃げ回ったりする必要もない、平和な日本の、比較的恵まれた女性たちに共通する感情かもしれません。
上原まゆみ、27歳。ライフスタイル誌『ノマド』の編集者で趣味はパワースポット巡り。他人が見れば、至極まっとうな人生を歩んできたように見えるまゆみだが、振り返ってみれば、学校も会社も男もみんながいいっていうものだけを選んできたのが自分の人生じゃないか…?恋も仕事も結婚もすべてに充実したいアラサー女性が“人生の曲がり角”に立つ。アロマ、盛り塩、波動水…占い師に頼り、生き惑うまゆみの前に“白馬の王子様”が現れるが――
余裕があるからこそ、女性たちは生き惑うのです。自分が抱える「確信のなさ」を埋めるために、上原まゆみは占い師に頼りました。
上原まゆみについては、基本的には真面目な人物。仕事もしっかりこなすし、「至極まっとうな人生を歩んできたように見える」わけですが、自分が選んできたことに自信が持てないのです。
こんな人生でよかったのかな……
今の、この状況でいいのかな……
彼(あるいは夫)のこと、本当に好きなのかな……
そんな悩みを身近な人に吐露したり、気持ちを相手にぶつけてみたり、趣味などで発散させて適当にごまかしたりできないから、占い師などの商売人に傾倒してしまいます。
真面目といえば真面目なのですが、目の前の状況や相手から逃げているという点で逃避。
自分の人生に責任を負おうとしない女性たち。親や夫など家族に押し付ける女性たち。
そのために、他人を支配することが大好きな商売人に取り込まれていったり、近くにいる職場の上司や家族などをモラハラ人間にしていったりするのかもしれません。
結局のところ、世の中の多くの人が、自分が選んできたものが本当に心から望んだものか、そして自信があるかなどとは関係なく、その日一日を暮らしているのだと思うわけです。
インナーチャイルドを癒して
ハイヤーセルフに出会って
自分が選んできたものが揺るぎなく
本当の私を生きる
という「スピリチュアルあるある」についても、実際は確かなものではありません。
インナーチャイルドが妄想や記憶違いなのか……
ハイヤーセルフが妄想や記憶違いなのか……
「本当の私」が妄想や記憶違いなのか……
そんな疑いもあるわけですから。疑い始めると切りがなくて、洗脳されてしまったほうが楽という側面もあります。
私たちの心というのも、実に頼りないものです。天気次第で変わってしまいますからね。ですから、自分の心を、それほど大げさにとらえないほうがよさそうです。「私らしさ」なんて、自分ではなく他人が決めることですし。
なお、『闇金ウシジマくん』26巻から始まる「洗脳くん」シリーズは、北九州監禁殺人事件(2002年)がモチーフにされているのだそうです。
〇北九州監禁殺人事件(2002年)

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